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「なんかとんでもなく苦しいのだけど」ワーホリ延期ツイートに共感のいいねを集めてしまった話

 フォロワー100人そこそこで、別に何かを狙ったわけでもないのにいいねが100個ついたツイートがあります。弱小ツイッタラーなので通知がたくさん来てビビった。

苦。

ここまで共感のいいねが集まって、みんな同じように悩んでるのかと思って、苦。励ましのリプライもいただいた。ありがとうございました。

・ワーホリってなんや

ワーキングホリデー、2国間の協定に基づいて、青年(18歳~25歳、26歳、29歳または30歳)が異なった文化(相手国)の中で休暇を楽しみながら、その間の滞在資金を補うために一定の就労をすることを認める査証及び出入国管理上の特別な制度である。原則として、各相手国ごとに一生に一度しか利用できない。(Wikipediaより引用)

 つまり、ざっくりというと18歳から30歳までの期間に一生に一回、語学学校に通う(通学期間は限られる)もよし、居心地のいい仲間とつるんで楽しい思い出作るもよし、異文化でキャリアの経験を積む(各国の規定による)もよし、異国の空気を吸いながら旅行して回るもよし。まずはカナダ、次は韓国、そのあとはオランダ…と複数か国をはしごすることも可能。

 留学は費用が掛かるし、高い語学力を求められることも多いが、ワーキングホリデーは現地で働くことができるため費用を抑えられ、原則1年間滞在できる。費用は滞在国や語学学校に通う期間や目的、住む地域や自身の語学力などによって大きく変わってくるが、メジャーなカナダ・オーストラリア・ニュージーランドなどでは1年間暮らすのに最低100万円~300万円ほど用意しておく場合が多いようである。

なんて素敵な制度!!でも、年齢制限があり、30歳の誕生日までに申請し、一年以内に渡航しなければならない(30歳ギリギリで行くことを「ギリホリ」というらしい)。ほぼ20代だけのスペシャルな制度である。そのため大学生はもちろん、社会人になって仕事をやめていく人も多い。学生は休学したり、もしくは新卒就職をあきらめたり。社会人はキャリアを途切れさせ、結婚や出産などのプレッシャーを華麗にかわし。人生における貴重なチャンスのカードの一枚である。どちらにしても横並びが正義、せーの!の合図で一斉に走り出すのが古典的スタンダードなじゃぱにーずかるちゃーからは一歩はみ出してしまう道を選ぶことになる。どれほどの付加価値をつけるかは完全に自分の行動次第という諸刃の剣。

 前回の記事でも書いたが、私も2020年6月からオーストラリアにワーキングホリデーしに行く予定だった。Twitterのアカウントもワーホリ用アカウントなんか作っちゃって、昼食毎日300円で過ごすなどして貯金しちゃって、心は南半球のエメラルドグリーンの海をぷうかぷかと遊泳していた。グレートバリアリーフに潜ってファインディング・ニモの景色を見に行こう、大声で泣くコアラの声を聴きに行こう、カンガルーと戯れよう……。洋服買うのもオーストラリアにもっていけるかどうかを重視し、ファンデーション塗りたくらなくても健康的な顔色になるためスキンケアに気を使い、カメラを新調するかiPhone買い替るか本気で迷い、ワーホリ経験者のブログを読み漁り、周りの人には「来年オーストラリアに行くんです~」と神妙な顔して言いふらした。楽しみで楽しみで仕方なかった。

 そして2020年2月、新型コロナウイルスの流行。そのあとのことは書かなくてもわかります。オーストラリア行きは約1年先に延期になりました。

・「ワーホリいつ行けるか本当にわかんないし」

 本当にわからん。春頃は「まあ夏には収まって秋ごろには渡航できるんじゃないか」というのが希望を含んだ大方の予想だった。しかし、9月現在、オーストラリアに関してはほんとにわからん。日本国内でも、オーストラリア国内でもコロナの波は未だに引かない。しかも、ワーキングホリデービザはその性質上留学ビザや就労ビザに比べて優先順位は低い。

 年明けたらとか、夏までにはとか、希望と予想も聞こえてきてはいるが、もうそんなん信じて一喜一憂するのにも疲れた。一応来年5月という予定にはしているが、正直無理だと思っている。

 それに「国境が開いた、ビザ下りた、さあ行こう!!」とも個人的には思っていない。理由はいくつかある。オーストラリア国内も経済状況が悪化しており、コロナ禍以前のように語学力に不安のある人間が普通にアルバイトを見つけられるとは思えないため、想定以上に費用が掛かること。国境が開いたとしてもおそらくは一部の国だけだろうし、そんな中渡航しても語学学校のクラスメートは国籍が偏ったり日本人ばかり…という状況になりそうなこと。そもそも語学学校がオンラインだったり、アクティビティ開催無しだったり、国内でも移動制限かけられたりしたら高いお金と貴重な時間を費やしていく意味がかなり薄れること。

 なにをするにもリスクは付きものだけど、やっぱり自分が納得した状況を見計らっていきたい。留学ビザに変えようとか行先を変えようとかも、今のところは考えてない。だから、いつ行けるか本当にわかんない。苦。

・「それまで職歴ブランクにするのもよくないし」

 そもそもワーホリに行くことで職歴が1年ブランクになる。それは初めから覚悟の上だし、未来の転職活動時に「2020年3月末に自己都合により退職とありますが、退職してからこれまで具体的に何をされていたんですか?」「はい、1年間オーストラリアにワーキングホリデーに行っておりました。現地では、語学のほかに~~をしており、その経験は必ず御社に貢献することができると確信しております!」などと述べることができる。

 ワーキングホリデーの経験が転職にプラスになるかマイナスになるかは自身の経験と志望する業種や企業によって異なるだろうが、「タイミングが悪かったとはいえ、海外にも行けず、仕事も見つからず、家にずっと居ました。」がプラスになるということはほぼないだろう。

 家にいる間に無駄にならないように勉強すればいいとか、職歴ブランクなんか重視しないところに転職すればいいとか、解決策はいくらでもあるだろうが全部そんなに簡単なことでもない。日本語ネイティブ生まれも育ちも日本の若い女が1年やそこら海外にいたからと言って、履歴書を重視する日本企業が転職の候補先から完全に消えることはないと思う。そうなるとやはり職歴ブランクにするのもよくない。苦。

・「将来見通せない事務とか飲食店バイトとかも長期になるならやりたくない」

 だったら働けばいいじゃねえか、まったくもってその通りです。事務職とかバイトを見下す意図はないです。事務作業してくれる方がいるから滞りなく社会が動いているし、バイトがいなかったら500円でランチなんかできない。いつもお世話になっています、ありがとうございます。

 でも、そういうことが言いたいんじゃなくて。職歴ブランクを回避するために正規雇用を探そうと思っても、来年にはワーホリに行きたいから辞めます、というモチベーションでは難しい。「そのうち辞める」を前提にすると時給の安い派遣事務か飲食店バイトくらいしか思いつかない。

 まず私は前職の事務が性に合わなすぎて逃げるように辞めた。わざわざもういちどやりたくないし、事務職は(業務によるが)誰にでもできるし、現在どんどん自動化がすすめられている。5年先はコンピュータにできない細やかな心配りとAIより高精度な長年の勘を備えた「スーパー事務員さん」しか生き残れないのではないかと思っている。

  飲食店バイトももちろん好きでずっと続けたいしホスピタリティマスターを目指しますという方も中にはいるが、基本は基本的には数か月~数年の学生バイトが前提だろう。そんな飲食店バイトもコロナ禍ゆえに求人がない。働き盛りの学生バイトすら働けていない。てかバイト面接で落ちたし。

 3か月期間限定でゴリゴリ働きます!!と割り切れるならそれでもいいのだが、いつまで続くかわからない。わからないから決断できない。仮に渡航をあきらめたとしたら何が残る?好きでもない仕事に安い時給と将来性のないスキルのために自分の時間を切り売りするくらいなら家で勉強でもしたほうが有意義なんじゃないかと、悩む。将来見通せない事務とか飲食店バイトとかも長期になるならやりたくない。苦。

・「手に職つけるために学校行くなら金がかかる」

 低時給の仕事しか見つからないのは単純に人に求められるスキルがないからだ。だったらスキルをつければいい。看護師でも美容師でも何でもいいし、フォークリフトでもフィナンシャルプランナーでも、webデザインでもプログラミングでもなんでもいい。要は「私はこのような即戦力たる技術が、スキルが、資格があります!」と主張できるものを身に着ければよい。ハイ解決。

本屋で数千円で参考書買ってきて一日8時間みっちりお勉強。この程度で身に着けられるのならそうする。でもそんなのほとんどなくない??結局実践経験だの人脈だのが必要になる。だったら学校に通ったほうがいいよ。業界へのつながりを作るためにも、そっちのほうが絶対に効率がいい。

でも学校ってお金がかかる、そして時間も。時間はあるからいいとして、お金。貯めたお金はワーホリ資金なんだよ。しかも税金と生活費でどんどん目減りしていくんだよ。息をするだけで金がかかるんだね。

お金かけずにスキルを身に着ける方法はある。ハローワークで紹介してもらえる職業訓練校とか、奨学金付きのスクールとか、探せば見つかる。でもそういうのは、身に着けたスキルで一定期間決められたところで働かないといけない。だから来年ワーホリ行きたいんだって…

やりたくないことから逃げるために、やってみたいことを探すためにワーホリを志したのに、生きるためだけに時間と自由を費やすのはなんか本末転倒。だったら結局手に職つけるために学校行くなら金がかかる。苦。

・「金がなくなれば貯めなおすまでワーホリいけない」

 シンプルに。お金がないと行けないのです。働いても大した金額は稼げず、息をするだけで月に数万飛んで行き、金を稼ぐスキルを手にするために数十万消え去る、いつまで続くかわかんない。シンプルに苦しい。

 しかも以前みたいにLCCで片道5万、ジャパレスでバイトして生活費を賄って、、、というふうにはいかないだろう。航空券も生活コストも保険料も高くなることくらい予想はつく。すり減った貯金分貯めればいいわけではなく、働かなくても死なない程度には貯えを用意しておくか、断続的な収入を確保しておかなければならないなと感じる。金がなくなれば貯めなおすまでワーホリ行けない。 苦。

そう考えると、ほんとにいつ行けるかわかんねえな・・・(以下無限ループ)

・苦しいなあ

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ワーホリに行けること、行こうと決意できたこと、それ自体がめちゃくちゃ恵まれていて贅沢な体験だと思う。

最低限のお金があり、キャリアを一度途切れさせてもあとは何とかなるだろうという謎の自信があり、年齢制限にも引っかからず、家族や自分の健康に大きな心配がない、だからこそ行こうと決断できたのに。

準備はできていた、なのに自分にはコントロールできない問題で動けないことがもどかしい。そして時間がたつとともに、行動を制限する見えない鎖が太く強くなっていく。何もしないうちにお金もどんどん減っていく。

別にワーホリにこだわらなくてもいいじゃん。ほかにやりたいこと、やるべきこと見つけて先にそっちに打ち込めばいいじゃん。そうなんだけど。でも何年かけてつかんだ夢だと思ってんの?簡単に諦めたら数年分の自分を否定するみたいで、受け入れたり気持ちを切り替えるのにも時間がかかってる。

何にもしないわけにはいかないけどさ。動きながら考えるタイプだから、動かなかったら考えすぎて逆に動けなくなるんだね。

とにかく苦しい。どうしたらいいのかわかんない。どの道を選べばいいの。そしてこの苦しさは別に自分だけのものじゃなかった。

自分じゃどうすることもできない理由で夢や目標への道が大きくゆがんでしまったみんなの共通する苦しみなんだな。

ゆっくり、自分が納得できるまで悩んで苦しんで考え抜いた結論なら、どんな結果になっても後悔することってないと思う。

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