自己責任、についての個人的体験(妊婦のワクチン接種についての悩み)
私はわりと、こうしたいああしたいがはっきりしていて、こう思うからこれを選択する、と考えて決めて進む、ということが多いと思っていました。
先日、千葉県で妊婦の方がコロナに感染し、自宅で早産、赤ちゃんが亡くなるというニュースを目にして、深い悩みに陥りました。
職域接種
6月頃、勤務先で職域接種の話がありました。いったん社員全員分は確保できないということで、会社から「重要部署」とみなされた部署の、「職務上重要な人物」から(という表現だったかは曖昧ですが、)、各部署で名簿を提出して接種する人を決めていくというやり方でした。この時点では、各部署の半分くらいの人数が接種できる、という状況だったように記憶しています。
私の部署はたしかに1日停止すると会社全体というか、取引先にも影響がある部署だったので、「重要部署」と判断されたようでした。次に、誰が接種するかという話では、私の部署の場合は「接種したい人からどうぞ」という感じで、上司が「あなたが先にうって」とか、指定してくる感じでもありませんでした。会社にとっての重要人物がみんなの前で選別されなくて、少しほっとしました。そして接種したい人数が、部署に割り当てられた枠数でおさまり、もう一人接種できる、という話で部長が加わったりしました。
市町村でできる人は、家から行きやすいという理由で職域接種はしなかったり、少しようすを見て接種するかどうか自体を考えたいという人もいました。
私はその時点で妊娠がわかっていて、「おなかの子どもにどんな影響が出るかわからない」「自分が接種したことで子どもに何か起きたら、責任が負えない」と考えました。一般的にも、「妊婦は自己責任で」というような流れがあり、職場の他の妊婦さんも接種は希望していませんでした。
医療関係の知人に相談したところ、「周囲がみんな接種してくれれば大丈夫だから、迷っているならば、もう少しようすをみてもいいと思う」と言われ、この時点では接種は希望しないことにしました。
その後、たしか7月頃、職域接種のワクチン数が追加され、社内で希望する人は全員接種できます、という状況になりました。このときも私の考えは変わっていなくて、接種は希望しないことにしました。
どの部署の人も接種できるようになり、この頃、かなりうちたい願望が強かった人たちが、なんとしても早く予約をとりたい、という動きを社内で見るようになりました。同じ社内のワクチン管轄の部署に恫喝のような電話を入れている姿、予約開始時間にピリピリしている姿、うれしそうに接種会場に向かう姿は、気持ちのよいものではありませんでした。市町村で先に接種できそうな年齢の方たちが我先にと接種枠を勝ち取って行く中で、近くで若手の感染者が出たりしているのを、ぼーっと見ていました。
千葉のニュース
8月。上記の千葉のニュースを最初に知ったとき、大変なことが起きたなあと思いました。そのときは、どこか他人事でした。でもしばらくこのニュースに触れているうちに、自分がコロナに感染したら、どうなるのだろう、と考え始めました。
今、かかっている産院は総合病院ではないので、コロナ病床はもちろんなく、他の病院へ行くことになると考えられるものの、産科もある市の大きい総合病院はひとつだけ。そこが満床だったら?すぐに入院はできない。運ばれるまでに時間がかかる。運ばれないかもしれない。たくさん血が出るかもしれない。赤ちゃんが苦しくて出てきてしまうかもしれない。家で産まれてしまったら、きっと助からない。このニュースはまったく他人事ではなく、自分の話だと思いました。
数ヶ月前の自分が「しばらくようすをみよう」と先送りにした判断を、改めて考えることになりました。
このニュースの前後から、妊婦の感染者が増えている、妊娠後期の妊婦は重症化しやすいので積極的にワクチンを接種してください、というニュースがどんどん流れはじめました。私はもうすぐ出産を控えていて、時期としては妊娠後期、すでに産休に入っていました。数日間、不安な気持ちでいろいろな情報を調べたり、泣きながら悩んだり、接種するとしても、いまさら接種の予約なんてできないのでは?と、考えたりなどしていました。それから、できるだけ外には出ない生活を始めました。
市町村の予約枠
そして、赤ちゃんの命を守らなければ、と意を決して、私はワクチンをうつことにしました。よいことも悪いことも後々の影響はわからないけれど、そしておおげさかもしれないけれど、私も赤ちゃんも死んではいけない、と思ったのです。
うつかうたないかは、それぞれの妊婦さんが決めることで、私はかかりつけの産科に相談し、うつことにしました。私の場合、助産師さんと話し、「産婦人科の学会も今は接種を推奨しているから、予約がとれるなら接種した方がよい」と言われました。
しかし、なかなか接種の予約がとれないのです。
妊婦の優先枠を設けて対応する市町村が出てくる中、私の住む市は特に優先枠はなく、市のシステムであいていたら予約ができる、という感じでした。接種すると決めてから数日間、何度も予約システムにログインするも、全日程が埋まっていて、一瞬あきが出たと思ったらすぐに埋まってしまう、という状態の繰り返しでした。
市のコールセンターにも駄目もとで電話してみましたが、ずっとつながらないという感じで、市も対応が本当に大変なんだろうな、と思いました。
幸いにも、コールセンターに何回かかけている中で、ネットもポチポチみていて、あきが出た日をクリックしたところ、急に予約がとれました。そしてコールセンターは、最後まで一度もつながりませんでした。電話はつながらなかったけれど、予約がとれて、本当にありがとうございます、という気持ちでした。
予約がとれた会場は、同じ市内とはいえ聞いたこともない場所で、当日初めて行く市民センターでした。
私の勤務先の職域接種は先週で終了していて、なかなか市町村で予約がとれない中、職域のチャンスの恩恵は大きかったなと感じました。後悔はしていませんが。
市町村の一般枠で幸いにも予約がとれた日、市から郵送で、妊娠後期の妊婦さん優先で接種枠を設けた、というお知らせが届きました。
妊婦枠の日程は、私が予約できた日程より少しだけ先の日程で、2回目の接種が確実に出産後になってしまう日程でした。どちらにせよ2回目の接種がいつできるのかはわかりませんが、出産前に1回目だけでも接種できることをありがたく思って、接種会場に向かいたいと思います。
私の判断
こんなときに妊娠した方が悪い、という言葉を見かけました。本当にひどい言葉だなあ、と思いました。
「こんなとき」に産まれてきてくれるから、本当に待ち遠しいし、貴重で大切な命だなあと思います。よくも悪くも、ワクチンの影響が今後どんな形で表れるかわからないし、コロナのこういった状況下で産まれてくることで、今までと異なるどんなことが起きるのかわかりません。自分で調べて、機会を探して判断して、つかみに行かないといけない、と感じています。
産まれるまであと数週間、自分が気をつけるしかないですが、どうか無事に赤ちゃんに会えますように。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?