山下舜平大、プロ初登板からオール先発で5連勝、NPB2人目の快挙
オリックス・バファローズの3年目、20歳の右腕・山下舜平大(しゅんぺいた)が「ポスト山本由伸」に名乗りを上げている。
6月1日、本拠地・京セラドームでの対広島カープ戦に先発すると、6回を投げ99球、被安打4、6奪三振、1四球、1失点(自責点0)に抑え、今季無傷の5勝目を挙げた。
山下舜平大、プロ入り前から一軍デビューまで
山下は福岡大大濠高校では2年生からエースを務め、甲子園出場経験はないものの、2020年のドラフト会議でオリックスから1位指名を受け入団。
190cmの長身から投げ下ろすストレートとカーブが評価された。
新人の2021年はファームで18試合に登板、2勝9敗、防御率5.48、東京五輪2020期間中のエキシビションマッチでは巨人戦でリリーフで登板し、1回3失点と非公式ながら一軍登板を果たした。
飛躍が期待された2年目の2022年は、成長痛と腰痛の影響でファームでも8試合登板に留まり、一軍公式戦での登板機会はなかったものの、クライマックスシリーズのファイナルステージと日本シリーズ第4戦、第5戦ではベンチ入りを果たした。
オフには両足首の手術を行った。
一見、遠回りしたようが、故障中に、投球フォームに大谷翔平のようなショートアームを採り入れ、球速アップを図った。
山下はプロ3年目を迎えた今季、春季キャンプで「バファローズ」の先輩でもある野茂英雄氏からフォークを伝授された。
オープン戦の初登板となった阪神タイガース戦(3月4日)では自己最速の158キロをマークするなど結果を残し、WBC日本代表選出でチームを離れていた山本由伸、宮城大弥に代わり、開幕投手候補に躍り出た。
そして、開幕戦となった3月31日、ベルーナドームでの対埼玉西武ライオンズ戦でプロ初登板・初先発のマウンドに上がった。
プロ初登板で開幕投手
「プロ初登板の開幕投手」は昨季2022年に、日本ハムの新人投手・北山亘基がNPB史上14人目の快挙を果たしたが、プロ2年目の以降の投手だと、1リーグ時代の1938年秋の鈴木芳太郎(南海、2年目)1943年の片山栄次(大和軍、2年目)1946年の松川博爾 (グレートリング、3年目)に次いで、77年ぶり4人目となり、2リーグ分立後は山下が初めてとなる。
山下は西武打線を相手に、5回1/3を投げ、7奪三振、1失点と好投したが、勝ち負けはつかなかった。
続いて、4月11日の楽天モバイルパークでの東北楽天イーグルス戦で、5回を投げ10奪三振をマーク、無失点に抑えてプロ初勝利を挙げた。
山下はその後も先発で好投を続け、3連勝をマークすると、プロ初登板の5回から、5月1日、京セラドームでの対福岡ソフトバンクホークス戦の5回、周東佑京にライトスタンドに運ばれ、ホームランを許すまで、連続イニング無失点を24イニング1/3にまで伸ばした。
そして、5月23日の対楽天戦(ほっともっと神戸)では自身3度目となる7回を投げて無失点、今季4勝目をマークしていた。
山下のストレートの平均球速は154キロと、パ・リーグでは佐々木朗希(ロッテ)に次いで2位で、球種もストレートが60%近くを占める。
他の球種はカーブが30%弱で、フォークが10%。
ここまでストレートとカーブだけでこれだけの成績を挙げているということだ。
オリックス投手のデビューから5連勝は5人目
オリックスの投手がプロ初登板から無傷の5連勝を挙げるのは前身の阪急ブレーブスを含めても5人目。
阪急ブレーブス時代に、西田稔が1957年から1958年にかけて6連勝、1959年に安藤治久が5連勝、オリックスになってからは戎信行が2000年に5連勝、小松聖が2007年から2008年にかけて5連勝している。
しかし、山下のように5試合すべて先発で勝利したのは球団史上、初めてである。
プロ初登板からオール先発で5連勝はNPB史上2人目
なお、山下のように「プロ初登板からオール先発で5連勝」という記録は、2015年に読売ジャイアンツの高木勇人(現・神奈川フューチャードリームス)が記録しており、NPB史上2人目である。
山下は規定投球回数(50回)には達していないが、7試合に先発登板して42回2/3を投げ防御率0.84と、文句のつけようがない投球を見せている。
山下は新人では一軍登板がなかったため、プロ2年目の今季、新人王の有資格者である。このまま好投を続ければ、パ・リーグ新人王も見えてくる。
まずは次回登板で、プロ初登板から先発で6連勝というNPB新記録が懸かっており、どこまで連勝を伸ばすことができるか、次回登板も注目である。