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バウアーとファンのお陰でNPBオールスターゲームの「権威」は守られた


NPBの「マイナビオールスターゲーム2023」の最後の出場者を選ぶ、「プラスワン投票」の結果が発表され、セ・リーグは横浜DeNAベイスターズのトレバー・バウアー、パ・リーグはオリックス・バファローズの山本由伸がそれぞれ最多得票を獲得しました。


MLBのオールスターゲームは選手をセレブリティ扱いする



「プラスワン投票」で山本由伸が選ばれたことに、色々ご意見はあるでしょうが、僕は本当によかったと思います。

先日、開催された海の向こう、MLBのオールスターゲームは、今年も大谷翔平がフィーチャーされていたこともあり、日本の民放テレビの情報番組でも盛んに取り上げられており、普段、MLBに興味がない人も目に触れる機会があったかもしれません。

MLBのオールスターゲームは毎年、1試合のみですので、試合の開催が廻ってくるチャンスは原則、30年に1度しかありません。
「原則」というのは、新しい本拠地球場が建設されたりすると、そこに優先的に開催することがあるので、実際はもっと長いスパンになる可能性があります。

今回のオールスターゲームの開催地は、シアトル・マリナーズのフランチャイズである、ワシントン州シアトルでしたが、シアトルの街を上げての大歓迎でした。
毎回のことですが、オールスターゲームに選出された選手たちは、コーディネートされた私服で家族を伴ってレッドカーペットを歩きます。


試合の前日には目玉として「ホームランダービー」も独立して開催されます。
要はMLBのオールスターゲームは文字通り、すべてが詰まった「お祭り」、フェスなのです。

僕も2004年、ヒューストンで開催されたオールスターゲームに足を運んだことがあります。
ミニッツメイドパークの外野ポール際の、視界が遮られるようなよくない席に200ドルを払ってでも、独特の雰囲気を味わえてよかったと、いまでも思い出します。

地元のヒューストン・アストロズのエースを張っていたロジャー・クレメンスが投げ、ランディ・ジョンソンが投げ、イチロー、松井秀喜が打つというのは格別なものがありました。

そして、プロ野球選手のキャリアを振り返った時に、「オールスターゲーム選出〇回」というのは誇れるものです。

メジャーリーガーは現役の間も、現役引退後にも、キャリアを紹介される時に、必ず、"5-time All-star"(オールスターゲーム5回選出)のように肩書がつきます
(他の米国のプロスポーツでもそうでしょうが)

山本由伸は来季、MLBへの移籍の可能性が高まっています。
NPBのオールスターゲームの舞台で山本由伸を見るのはこれが最後になるかもしれません。
そして、山本由伸のキャリアに「オールスターゲーム5度連続選出(2018、2019、2021、2022、2023年)」という勲章が加わってよかったと思っていますし、オールスターゲームの「権威」も守られたと考えます。

NPBはオールスターゲームの「魅力」「価値」向上に励め



一方で、前回のブログでも書きましたが、NPBはオールスターゲームの「魅力」「価値」を上げるための努力を怠らないで欲しいと思います。

確かに、NPBのように、収益確保のためにオールスターゲームを開催しているという「お寒い」事情にある組織に、そこまで求めるのは酷かもしれません。
しかし、まだまだやれることはあるはずです。


またファンにとっても、NPBでも「セ・パ交流戦」が定着したこともあり、セ・リーグとパ・リーグで対抗するオールスターゲームに新鮮味が薄れているのは仕方がありません。

しかしながら、MLBの例でもわかるように、オールスターゲームの「価値」は、開催される試合のみにあるのではありません。
MLBでもリーグを跨いだ交流戦である「インターリーグ」をより発展させ、今季からはすべてのチームと対戦するように日程が組まれるようになりました。
(一説には、MLBがそのような変更を行ったのは、大谷翔平らのスーパースターが各フランチャイズを廻れるようにしたのではないかというのもあります)

それでもオールスターゲームが存在する理由・意義というのは、リーグを代表する選手たちがファンから「尊敬」を集めることができるよう、最大限の「特権」を与え、その「栄誉」を称えるのがその主旨なのです。

選手にとってもオールスターゲームの選出されるのは名誉である以上に、疲労を圧してでも出場するほどの価値はもはや、ないのかもしれません。

監督の立場かしても、ペナントレース後半を見据えて、自軍の主力選手を休ませたいという気持ちも分かります。

確かに、シーズン前半を戦ってきた疲労の蓄積もあるでしょうが、それはレギュラーを張っている選手であれば皆同じです。

それ以上に、選手同士との交流を通じて、自分のプラスになるようなもの、チームにプラスになるような何かを持ち帰って欲しいと思いますし、監督も選手を快く送り出して欲しいのです。

最近では、チームを超えた選手の交流も盛んですので、あえてオールスターゲームのベンチでなくても、という向きもあるかもしれませんが、若くして選出された選手には、他チームのスタープレイヤーのオーラ・立ち居振る舞いを間近で見て欲しいと思います。

「広報役」バウアーとファンに感謝



今回、トレバー・バウアーがソーシャルメディアやYoutubeなどを通じて、自分をオールスターゲームに選んで欲しいという「活動」を行っていましたが、バウアーがここまでオールスターゲームの選出に拘るには、上述の通り、それなりの「理由」があるのです。

NPBは、オールスターゲームの「広報役」を図らずも務めてくれたバウアーに感謝すべきです。

僕はバウアーのこれまでの行動をすべて肯定しているわけではありませんが、公平に見てこれだけは評価すべきだと思っています。

同時に、山本由伸をオールスターの舞台に送り込みたいというファンの投票行動にも拍手を送りたいと思います。

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