ロッテ・谷保恵美さんのメモリアルゲームを振り返る


千葉ロッテマリーンズで場内アナウンスを担当してきた谷保恵美さんが、2023年シーズン限りで「引退」した。

谷保恵美さんは北海道帯広市出身、札幌女子短大を卒業後、1990年にロッテ・オリオンズに経理担当で入社、その後は球団事業本部広報部に所属すると、1991年、ロッテ二軍本拠地のロッテ浦和球場でアナウンス業務を任され、同年8月9日、川崎球場での一軍公式戦であるロッテ対日本ハム戦で一軍デビューを果たした。
翌1992年にロッテが千葉・幕張に本拠地を移転し、千葉ロッテマリーンズとなった後も、千葉マリンスタジアム(現ZOZOマリンスタジアム)の主催試合で場内アナウンス業務を続け、特に1996年10月1日の公式戦から1試合も休まずに継続、2022年には公式戦2000試合、公式戦1800試合連続に到達、2023年10月のクライマックスシリーズファーストステージ第3戦となった対ソフトバンク戦を以って、場内アナウンス業務から退くことになった。

谷保さんは、マリーンズが1992年の開幕戦から2023年のシーズン公式戦最終戦までに挙げた、ホームでの公式戦通算1086勝のすべてを放送室で見届けたことになる。

谷保さんが場内アナウンスを担当した最初の公式戦を始め、節目となる試合を振りかえってみよう。

千葉マリンスタジアムで初の場内アナウンス担当 
1991年7月22日 ジュニアオールスターゲーム

第28回の「ジュニアオールスターゲーム(現・フレッシュオールスターゲーム)」は、千葉マリンスタジアムで開催された。

当時のロッテオリオンズの本拠地は川崎球場であり、ロッテの千葉・幕張への本拠地移転は協議中であったが、同年7月31日にNPBのオーナー会議でロッテ・重光昭夫オーナー代行が正式に移転を表明した(同日、ロッテ主催による千葉マリンスタジアム初のパ・リーグ公式戦となるロッテ対西武戦が開催された)。

始球式は地元・千葉・佐倉出身の長嶋茂雄氏が務めた。

イースタンリーグ先発はロッテの榎康弘(東海大甲府高校、1990年ドラフト6位)。3回を投げ、2奪三振、1失点という内容だった。
試合は2-1でウェスタンリーグが勝利、MVPは中日の種田仁(上宮高校、1989年ドラフト6位)が受賞した。

一軍公式戦デビュー 1991年8月9日 対日本ハムファイターズ戦(川崎球場)


日本ハムの先発は、シーズン初先発の有倉雅史、ロッテの先発はプロ4年目の伊良部秀輝で始まった。
日本ハムは2回に8番・渡辺浩の1号ソロと1番・白井一幸の4号2ランホームランで3点を先制したが、ロッテは5番・堀幸一の14号ホームランなどで有倉をKOした。さらにロッテは7回、3番・愛甲猛の3号3ランホームランでダメ押しとし、日本ハムは8回に、藤王康晴がシーズン1号となるソロホームランを放ったが反撃もここまでで、ロッテが16安打で、14-5と大勝した。

この試合、3番の愛甲猛が3安打6打点と大暴れした。
勝利投手は32歳のベテランの井辺康二が4回途中から3番手でリリーフ登板し、最後まで投げ切って、シーズン4勝目を挙げたが、翌年オフに現役を引退。これが現役最後の勝利となった。
また、ホームランを放った藤王も翌年1992年オフに現役引退し、これが現役最後のホームランとなった。

千葉マリンスタジアム本拠地初の公式戦 1992年4月4日 対オリックス・バファローズ戦 


ロッテが本拠地を千葉・幕張に移転して「千葉ロッテマリーンズ」として初めてとなる1992年のシーズン開幕戦、谷保恵美さんは千葉マリンスタジアムの放送室で迎えた。

新監督・八木沢壮六が率いるロッテの先発は小宮山悟、オリックス先発は星野伸之。
オリックスが4回に先制され、小宮山は粘りの投球を続けたが、7回に1点、9回にも1点と3点を失い、一方、ロッテ打線は星野の前に散発5安打、11奪三振と奮わず、千葉移転後初の開幕戦は小宮山が3失点完投も0-3と完封負けで黒星スタートとなった。

千葉ロッテマリーンズ初勝利 1992年4月7日 対ダイエー戦

新生・千葉ロッテ2試合目となったこの試合のロッテの先発は牛島和彦
牛島は中日からロッテに移籍後の1987年・1988年と、2年連続でパ・リーグ最優秀救援投手のタイトルを獲得、1989年に先発に転向し、自身初の規定投球回に達して、シーズン12勝を挙げたが、1990年、1991年は右肩痛で未勝利に終わっていた。

ロッテは4番のマイク・ディアズのタイムリーで先制すると、5回にもダメ押しとなる1号3ランホームランを放ち、4打点の活躍、投げては牛島は5回に味方のエラーから1点を失ったが、9回、126球を投げ切り、10奪三振の力投で1失点完投で実に924日ぶりの勝ち星を挙げた。
これが千葉ロッテマリーンズとしても初勝利、そして八木沢荘六監督の初白星でもあった。

千葉マリンスタジアムでの初メイン担当試合 1992年4月17日 対西武ライオンズ戦


千葉マリンスタジアムでの一軍公式戦で、谷保恵美さんが初めてメインで場内アナウンスを担当した試合。

ロッテ先発は小宮山悟、西武は工藤公康という両エースの対決。
ロッテは5回、工藤から先制、1点を追う西武は7回、小宮山を捉え、代打・鈴木健と5番・デストラーデのタイムリーで勝ち越したが、ロッテが8回においつき、試合はそのまま延長戦へ。

ロッテは延長11回裏2死から、7番・初芝清がレフトへ劇的なサヨナラタイムリー安打を放ち、ロッテが3-2で勝利した。
7回途中からから登板した新人の河本育之(新日鉄光、1991年ドラフト2位)がプロ初勝利を挙げた。


連続試合開始 1996年10月1日 対近鉄バファローズ24回戦

ロッテの先発は伊良部秀輝、近鉄の先発は酒井弘樹。
ロッテは2回、8番・酒井忠晴のタイムリー安打で先制、3回にも、3番・堀幸一の16号ソロホームランで2-0とした。
伊良部は6回まで近鉄打線を無失点に抑え、7回にタフィ・ローズにタイムリー安打を浴び、1点差に迫られたが、8回を被安打3、8奪三振、1失点に抑え、9回は2番手の成本年秀がピンチを招いたが、1回を無失点に抑えて2-1で逃げ切った。

勝利投手は伊良部で10勝目で3年連続二けた勝利に到達、セーブは成本で22個目を挙げた。
この年、伊良部は防御率2.40で最優秀防御率のタイトルを、成本は30セーブポイントで最優秀救援投手のタイトルを獲得したが、チームは60勝67敗で5位に沈み、江尻亮監督は1年で退任した。
伊良部はそのオフ、MLB移籍を表明し、サンディエゴ・パドレスとの三角トレードでニューヨーク・ヤンキースに移籍した。

公式戦1700試合 2018年5月18日 対福岡ソフトバンクホークス5回戦

ロッテ3-2ソフトバンク

ロッテは2-2でむかえた5回裏、ソフトバンク先発の東浜巨から中村奨吾が勝ち越しのタイムリー安打を放ち、投げては先発の涌井秀章が7回2失点、大谷智久、内竜也のリレーで3-2で逃げ切った。
勝利投手は涌井秀章。
ヒーローインタビューに呼ばれた涌井はこう語った。

「きょうはいつもお世話になっている谷保さんの場内アナウンス担当1700試合目の大事な試合だったので勝てて良かったです。おめでとうございます」

公式戦1500試合連続 2018年6月1日 対広島カープ1回戦

ロッテ4-6広島

https://2689web.com/2018/inter/MC1.html


公式戦1800試合 2019年7月30日 対オリックス・バファローズ13回戦

ロッテ4-1オリックス

https://2689web.com/2019/MB/MB13.html

ロッテは3回2死二塁のチャンスで、3番・鈴木大地がセンター前にタイムリー安打を放ち、先制、5回にもレオニス・マーティンのソロホームランで追加点を挙げると、先発の岩下大輝が7回途中まで被安打1、1失点、松永昂大、東條大樹、唐川侑己、益田直也のノーヒットリレーで4-1と逃げ切った。
お立ち台に上がった鈴木大地が谷保恵美さんを招き、ウイニングボールを手渡した。

「谷保さんの記念の試合。打席で打てるのはその声があるから。引き締まるし、これからも続けてほしい」

千葉移転後、マリンスタジアム通算1000勝 2021年8月31日 対西武ライオンズ戦


ロッテが本拠地移転後、マリンスタジアムで通算1970試合目となったこの試合、ロッテは先発の美馬学が7回1失点と好投し、打線も4番のレオニス・マーティンが先制となる2点タイムリー二塁打と23号ソロホームランを放って、5-1と快勝した。

試合終了後、谷保さんが

「本日の勝利でZOZOマリンスタジアム1000勝でございます」

とアナウンスした。

公式戦2000試合 2022年7月17日 対ソフトバンク・ホークス13回戦

ロッテ3-5ソフトバンク


公式戦1800試合連続 2022年7月30日 対オリックス・バファローズ17回戦

ロッテ4-6オリックス


公式戦2100試合(最終試合) 2023年10月7日 対オリックス・バファローズ戦

ロッテ1-4オリックス






この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?