千葉ロッテの「偏愛」ドラフト指名選手候補

今年もNPBのドラフト会議が開催されます。
今回はコロナ禍も明けて久々に有観客で行われるということで、入場を初めて有料にするにもかかわらず争奪戦もすごかったようです。

パ・リーグ2位で終えた千葉ロッテですが、吉井理人・新監督が指揮を執った今シーズン前半は、先発・リリーフの投手力と若手野手の台頭もあり、接戦を拾って、一時は首位に立ちました。
しかし、夏場からはポランコ以外の打者が深刻な長打力不足、打線につながりを欠いて得点力不足、それに佐々木朗希など先発投手陣の相次ぐ離脱で失速し、最終戦でなんとか2位を確保しました。
今季のロッテ、吉井監督に対して、ファンや評論家からは戦力の割には、よく戦った、という声も多かったようです。

しかしながら、今季、主軸を務めた本塁打王のポランコ、先発ローテの一角のC.C.メルセデス、最優秀中継ぎ投手のペルドモらの来季契約が不透明な中、来季こそ、中堅・若手の底上げがなければ、大幅な戦力ダウンも懸念されます。
ロッテのようにあまり資金力で勝負できないチームにとっては、ドラフトで獲得する選手は、戦力補強の大きな柱となります。

ロッテの今オフの補強ポイントを挙げれば、以下の優先順位になるでしょうか。

①先発ローテーション入りできる投手
②外野手(荻野貴司・角中勝也の後継者、高部瑛斗・藤原恭大のライバル)
③二塁手(中村奨吾の後継者)
④クローザー候補(益田直也の後継者)
(ほかに「打てる捕手」などもありますが、これは現有戦力の底上げで)

これらの補強ポイントを加味しながら、ロッテのドラフト戦略を考えてみましたが、同窓の先輩・同学年選手との「縁」と、千葉という「地縁」を活かして、「偏愛的」に候補選手をリストアップしてみました。




1位 常廣羽也斗 大分舞鶴ー青山学院大学 投手



今年は「佐々木朗希世代」の大学生投手が豊作といわれるが、競合覚悟で1位指名をしたいのは青山学院大学の常廣羽也斗だ。
すでに常廣には、広島カープが1位指名を明言している。
では、数ある有望な大学生投手の中でも、なぜ、常廣かといえば、「即戦力」でもありながら、まだまだ成長途上の「素材型」でもある点だ。
佐々木朗希を大事に育成してきたロッテには、相思相愛になれるうってつけの候補だ。

常廣がプロ入りすれば、公立の大分舞鶴高校では初のプロ野球選手の誕生となる。
ロッテには青山学院大学の先輩として東條大樹がおり、二人で、ZOZOマリンスタジアムに強いラオウこと杉本裕太郎(オリックス)を封じる姿を見せたい。

はずれ1位 廣瀬隆太 慶應義塾高ー慶應義塾大 内野手



はずれ1位には慶應の廣瀬を推したい。
慶應義塾大学では主将を務め、一発の魅力を秘めた長打力のある内野手で、今秋の東京六大学野球リーグでは、慶應の先輩である高橋由伸(元巨人)の持つ本塁打記録・23本塁打を超えることを期待されていた(現在19本塁打で足踏み)。
しかも、サード、セカンド、ファーストを守れる。

廣瀬もどこかの球団に1位指名される可能性は高いが、大学生投手に指名が集中した場合、はずれ1位で指名できる可能性がある。

ロッテには慶應義塾高校・大学の先輩・植田将太がいるが、廣瀬がプロ入りすれば、慶應幼稚舎出身初のプロ野球選手が誕生する。
キャプテン・中村奨吾は、慶應の永遠のライバル、早稲田出身。
サードの安田にとっても、セカンドの中村にとってもおおいに刺激になる存在になれるだろう。

はずれはずれ1位 竹田祐 履正社ー明治大ー三菱重工West



はずれはずれ1位には、社会人の竹田を推したい。
竹田祐は履正社では安田尚憲の同級生で、3年春のセンバツ甲子園大会では3試合連続完投勝利で決勝進出に貢献。
決勝では「大阪頂上対決」として話題となった大阪桐蔭戦で9回途中まで投げたものの、藤原恭大(ロッテ)に2本のホームランを浴びるなど、8失点でノックアウト。

プロ志望届を提出せず東京六大学の明治大に進学した。
明治大では丸山和郁 (ヤクルト)と同期で1年生の春からリーグ戦で登板を果たし、4年間で通算11勝をマーク。しかし、プロ志望届を提出したものの無念の指名漏れとなり、社会人の三菱重工Westへ。

竹田は高校・大学のライバルたちはすでにプロの道に進んでいるが、満を持してプロの舞台で才能を爆発させたい。
ロッテには履正社で同級生だった安田の他にも、明治大学の先輩、岡大海、三菱重工Westの先輩である八木彬がいる。

2位 猪原隆雅 大冠高ー 日本体育大ーミキハウス 外野手



2位には社会人外野手の猪原を推したい。
大阪府立・大冠高校の捕手として、3年時の2017年は主将を務め、夏の大阪大会では公立校として19年ぶりに決勝進出を果たす立役者となった。
この時、決勝で立ちはだかったのが、藤原恭大らを擁した大阪桐蔭である。
大冠は8-10で大阪桐蔭に敗れ、惜しくも甲子園は逃した。

日本体育大学でも主将を務め、社会人・ミキハウスに進んだ。
もしも、はずれはずれ1位で竹田を指名できれば、高校時代、激戦区・大阪でライバルだった大阪桐蔭・藤原、履正社・安田と竹田、大冠・猪原の4人が同じチームでプレーすることになり、プロでは「先輩」の安田・藤原にも刺激を与えるだろう。

3位 松本健吾 東海大菅生ー亜細亜大学ートヨタ自動車 投手



3位にはトヨタ自動車の松本を推したい。
松本は東海大菅生高のエースとして2017年の夏、西東京大会の決勝・早稲田実業戦で清宮幸太郎(日本ハム)を1安打に封じ、甲子園への出場を決めると、甲子園では2回戦で完投勝利、準々決勝では8回1失点の好投で、ベスト4に導いた。

亜細亜大学では2年生でエースにのしあがったが、3年では公式戦登板なし、4年秋には不振に陥り、ドラフトで指名漏れの悔しさを味わい、トヨタ自動車に進んだ。

今年の夏の都市対抗野球2回戦、トヨタ対ENEOS戦では、トヨタが3-1とリードした7回から松本が登板し、3回を被安打1本、無失点と好投した。
特に9回2死一塁では、一発が出れば同点という場面で、ドラフトの目玉、度会隆輝と対戦、150キロに迫る直球を連発してファウルで粘られながら、9球目で打ち取り、昨年の同大会で最優秀選手にあたる「橋戸賞」を受賞した度会とENEOSを封じ込めた。
クローザータイプであるため、ルーキーからいきなり「勝利の方程式」に食い込める可能性もあり、ゆくゆくは益田直也の後継者として横山陸人とクローザーを争うこともできるだろう。
ロッテには亜細亜大学トヨタの先輩の藤岡裕大、もう一人、トヨタ自動車の先輩である荻野貴司がいるのも心強い。


4位 桃谷惟吹 履正社―立命館大 外野手



桃谷惟吹は中学時代、森友哉(オリックス)に憧れ、大阪桐蔭への進学を目指したが果たせず、履正社へ。履正社では井上広大(阪神)と同期に。
高校2年夏のときの2018年の北大阪大会・準決勝で、根尾昂(中日)や藤原恭大らを擁する大阪桐蔭と対戦、桃谷も先発出場したが、チームは9回2死までリードしながら逆転負けを喫した。
(大阪桐蔭はセンバツ優勝に続いて、夏の甲子園でも北大阪代表として優勝し、春夏連覇を果たした。)

桃谷は高校3年夏、甲子園に出場を果たすと、不動の「1番・センター」として、1回戦の茨城・霞ケ浦高校戦で先頭打者ホームランを放ち、準決勝までの5試合すべて第1打席に安打を放つという、甲子園史上初の記録を打ち立て、履正社の決勝進出に大きく貢献した。
決勝では春のセンバツ1回戦で対戦して敗れた石川・星稜高校戦で、エース・奥川恭伸(ヤクルト)と対戦、5打席ですべて初球を打ち、5打数2安打と活躍、センバツでの雪辱を果たし、履正社に初めて優勝旗を持ち帰った。

立命館では1年生からベンチ入りして、4年では副将を務める。

ロッテには履正社の先輩である安田尚憲もおり、高校時代にしのぎを削った藤原恭大と外野手レギュラー争いも面白い。

5位 古屋敷匠眞 八戸工大一高ー法政大学ーセガサミー 投手



古屋敷匠眞は八戸工大一高では2年生で早くも、1年先輩の種市篤暉(ロッテ)とダブルエースとして頭角を現した。
甲子園には届かなかったが、150キロを超える速球主体で三振を奪える投手としてプロスカウトからも注目された。

法政大学では左腕・山下輝(ヤクルト)、右腕・三浦銀二(DeNA)と同学年。
古屋敷は4年生の春、DeNA二軍戦で好投するなど、二人を上回る評価もあった。
しかし、8月に新型コロナウイルスに感染、復帰したものの、球速がガタ落ちし、リーグ戦で通算0勝と、結果を残せず指名漏れの憂き目にあった。

ロッテでは「種市先輩」とのリレー、あるいは先発ローテーションの柱への期待を込めたい。

6位 早坂響 幕張総合 投手



早川響(おと)は千葉県松戸市出身、ZOZOマリンスタジアムから徒歩圏内の地元の公立校・幕張総合高校で一躍、ドラフト候補に躍り出た右腕。
3年生の夏の千葉大会の初戦には、NPB11球団のスカウトが押し寄せ、5回戦の専大松戸戦では、センバツで登板したエース・平野大地と投げ合い、敗れたものの、延長戦を含む4試合すべて完投で同校初のベスト16に貢献した。
特に34イニングで30奪三振と高い三振奪取力を見せた。

早川は2年生の5月までは捕手であったが、監督からの勧めで投手に転向すると、プロも指導する北川雄介氏が運営する都内のトレーニング施設で、ピッチデザインの指導を受け、球速が30キロもアップ、最速150キロを超える「速球派」に生まれ変わった。

もっと早い巡目で他球団から指名が入る可能性もあるが、地元・千葉ロッテに入団して、フランチャイズプレイヤーとして育成を期待したいところ。

ロッテには幕張総合の2学年上の先輩で、同校初のNPB入りを果たした捕手の村山亮介が育成選手として在籍している。

7位 長尾光 ノースアジア大学明桜ー埼玉武蔵ヒートベアーズ



長尾光は仙台市出身ながら、明桜のエースで4番だった2学年上の山口航輝(ロッテ)に憧れ、越境で明桜高校野球部に入部すると、1年生秋から山口を継いでエースナンバーを与えられた。
3年生の春からは野球部総監督に元ヤクルト投手の尾花高夫が就任、同級生投手の佐々木湧生、橘高康太と共に指導を受けて、さらに能力を開花させた。

2020年に新型コロナウイルスの感染拡大の影響で全国大会が中止となり、代替大会となった秋田県大会では優勝を果たした。
同じく代替大会の東北大会の準決勝では、仙台育英と対戦し、延長10回タイブレークの末、1-2で敗れた。
その秋のドラフトで指名漏れを味わい、「(大学進学して)4年間は待っていられないと思った」と、翌2021年春にBCリーグ・埼玉武蔵ヒートベアーズに入団。
1学年後輩の風間球打はソフトバンクから1位指名された。
長尾にとって今季が早くもBCリーグ3年目。
憧れの山口先輩がいるロッテから指名があれば、今までの苦労も報われよう。

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