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RubyKaigi 2024デザインを担当した話

はいさ〜い!「B/43(ビーヨンサン)」を提供するスマートバンクでコミュニケーションデザイナーをしているmmitoです✌️
2024年5月に沖縄で開催された「RubyKaigi 2024」。これはプログラミング言語Rubyに関する国際テックカンファレンスであり、今年も世界各国から1,000人以上のエンジニアが集いました。

実は、本カンファレンスのデザインを同僚のゆっきーさんと一緒に担当する機会をいただきました。

https://rubykaigi.org/2024

このnoteでは、RubyKaigi 2024デザイナーになった経緯、メインデザイン作成フロー、デザイン意図、その他の作成物などを紹介します!


RubyKaigi 2024デザイナーになった経緯

2023年10月末、私が働くスマートバンクはKaigi on Rails 2023でRuby Sponsorとして協賛し初ブース出展をし、デザイナーもブース手伝いとして参加していました。

1日目担当のゆっきーさんが、RubyKaigi 2018デザイナーの@machidaさんから「RubyKaigiのサイトビジュアルや会場デザイン作成に興味ありませんか?」とお声がけをいただきました。

2日目担当の私にもRubyKaigi Chief Organizerの@a_matsudaさんを、引き合わせていただき前向きに検討することとなりました!

正直なところ、最初は国際テックカンファレンスのデザインを担当できるのか…?というプレッシャーを感じていましたが、上司の@takejuneさんに相談した結果「良い経験になるだろうから」と背中を押してもらいました。

そんな経緯を経て最終的にゆっきーさんと2人でRubyKaigi 2024のデザイナーをお受けすることにしました。

メインデザインの作成フロー

正式にお話を受けたのはKaigi on Rails 2023後の10月末でしたが、実は2023年内にはサイト公開をしたいという相談を受け、急ピッチでリサーチとメインデザインの案出しを進めることになりました。

また、11月末に@a_matsudaさん、2023デザイナー兼Organizer@attsumiさんとの引き継ぎ会が設定されました。

丁度いい機会なので、引き継ぎを待たずにその会でデザイン提案をしてフィードバックを受けることを目標にしました。

STEP1.リサーチとデザイン方針決定

初手では、直近の国内外のカンファレンスデザインを収集し、意図せず似たデザインを作成してしまわないようにインプットを行いました。

また、デザイン作成方針を立てる上で、RubyKaigiは毎年開催地を変更するカンファレンスである事に着目しました。そのため、「開催地域への想いを馳せ、プロポーザルを出すモチベーションを高め、RubyKaigiに参加したいと思えるキービジュアルであるべき」という方針を立てました。

この方針に基づき、2024年の開催地である「沖縄」をテーマに案出しを進めました。

STEP2.開催地「沖縄」について知る

案出しをする上で、私自身が沖縄に行ったことがないという壁にぶち当たりましたorz

沖縄への理解が浅いままそれっぽいデザインを作成してしまうと、Rubyistsが思い描く「沖縄らしさ・沖縄開催への期待」と乖離が生じてデザイン方針から外れる懸念もありました。

デザイン方針
開催地域への想いを馳せ、プロポーザルを出すモチベーションを高め、RubyKaigiに参加したいと思えるテーマデザインであるべき

また、現地の方に受け入れられるデザインであって欲しいと強く思いました。そのため、手をすぐに動かしたい気持ちを抑えて、ネットリサーチにプラスして以下のような本を数冊買って沖縄理解を深めました。

STEP3.デザインの案出し

🎨メインカラー
沖縄の歴史・文化を調べていく中で、琉球王国における民族衣装「琉装」が目を引きました。
琉装の色には決まりがあり、男女共に黄色(チールジー)が最上位色です。その黄色がとても美しかったのです。

琉球では黄色地の衣裳は「チールジー」とよばれ、王家のみが使用できる格の高い色として特別な意味を持っていました。輝くばかりの鮮やかな黄色の衣裳は、石黄(せきおう)という高価な輸入色材や、鬱金(うこん)、黄檗(きはだ)などの染料で染められました。

http://www.rekishi-archive.city.naha.okinawa.jp/archives/91376

琉装はおめでたい祝いの席などで正装として着用するのが習わしでした。現代の沖縄でも結婚式や成人式などのハレの日に着用する人が多いです。紅型などを施したデザインや鮮やかな色彩も印象的で、これは交易が盛んだったアジア諸国の影響を受けているともいわれています。

https://www.orionbeer.co.jp/story/ryuso/

このように、黄色は琉球王国の歴史と文化に深く根ざしたものであり、特別な意味を持っています。
最終的に、RubyKaigiというハレの日、太陽がさんさんと照る沖縄のイメージにも合い、「最も尊ばれていた黄色がRubyKaigiに最適だ」とメインカラーを黄色に決定しました。

🖼メインシンボル
メインとして扱うRubyシンボルに関しても、沖縄とRubyを上手く組み合わせたいと頭を悩ませていました。再度、沖縄の伝統や歴史について調べていく中で「八重山ミンサー」を知りました。

八重山ミンサーは、かつて通い婚が主流だった八重山地域で婚礼の“しるし”として女性から男性へ贈られるものでした。「五」と「四」をデザインした絣模様の両側には細長い線の縁取りがあり、「いつ(五)の世(四)までも、足繁く通ってください」という花嫁の願いを表現しているといわれています。
現代の沖縄でも「いつの世までも、末永く幸せに」という意味を込めて、プレゼントや結婚式の引き出物などに使用されることがあります。

https://www.orionbeer.co.jp/story/yaeyama-minsa/

この八重山ミンサーの説明を見てビビッときました。ミンサー柄の「五」と「四」の模様が示す「いつの世までも、末永く幸せに」という想いは、Rubyコミュニティの持続的な発展と強い結びつきに通じるものがあります。

そこで、ミンサー柄を取り入れることで、「Rubyのさらなる発展を願い、考えや想いを共有するRubyKaigiの持続的な情熱」を表現できるのではないかと考え、以下のシンボルを作成しました。

STEP4.初回提案

そして、目黒にある「なんちち食堂」で、沖縄に想いを馳せながらデザイン引き継ぎ会&食事会が行われました。

当初の目標通り、引き継ぎだけでなくRubyKaigiのメインデザインの案を共有しました。最終デザインとは少し異なりますが、初回時のデザイン案はこちらです。他にもいくつかの案がありましたが、特に推したのはミンサー柄のシンボルを採用したデザインです。

全体的に良さそうと好反応いただけた上で改善箇所などご指摘いただき、以降の調整や共有は全てのOrganizerが参加する「RubyKaigi会議」でとなりました。

STEP5.RubyKaigi会議参加・方向性確定

初回提案時にいただいたレビューを反映させつつ、RubyKaigi会議では沖縄現地Organizerから見て不快にならないか、違和感を感じる点はないか観点で更なるレビューをいただきデザインを詰めていきました。

STEP6.最終メインデザイン

最終的に以下のロゴとシンボルを用いたメインデザインが完成しました👏👏
シンボル周辺のモチーフには、ハイビスカス、ゴーヤ、シーサー、シークワーサー、首里城などの沖縄らしい要素を用いました。

首里城に関しては、復興の途中ではありますが、変わらず沖縄のシンボルであることを踏まえると欠かせないモチーフとして選定しました。

その他制作物

もちろんメインビジュアル作成だけでなく、他にも作成物は多くありました。私とゆっきーさんがメインで手を動かしつつ、2023デザイナー兼Organizer@attsumiさんにもサポートいただきながら制作を進めました。

役割分担としては、以下のように分担をしつつ、レビューなどは相互に行っていました。

後半は私mmitoがメインで担当した作成物を一部ピックアップして紹介して行きます。ゆっきーさん担当分は別途noteで発信していただきます!

那覇空港とゆいレールの広告

@attsumiさんに調整いただき那覇空港とゆいレールの広告掲載をしました。ちなみに、「Haisai」は沖縄方言での挨拶です!

沖縄方言で、時間帯に関係なく用いる軽いあいさつの語。やあ。こんにちは。

https://kotobank.jp/word/はいさい-682244

私も現地入りし、初めて訪れた那覇空港で自分が作成したデザインに迎え入れられるという不思議な体験をしました。
そして、多くの人の前でお披露目されているメインデザインを見て、胸がいっぱいになりました🥲

スタンプラリー台紙

例年RubyKaigiでは企業ブースを巡るスタンプラリー施策があり、会場のチェックイン時に名札ケースに入れてお渡しします。

名札の写真with弊社エンジニア@osyoyu

名札ケース(A6)と同じサイズでスタンプラリー台紙を作成してしまうと取り出しづらいので、B7でゆとりを持たせて取り出しやすく設計しました。これにより、スムーズでありがたかったという声をいただきました!

また、スタンプラリー自体のデザインに関してもシンプルに1個の台紙で全てのスタンプが収集できる案も最初出しましたが、シンプル過ぎて面白みにかけるなと思いボツに。最終的にはRubyistsが楽しくスタンプラリーしてるイメージで最終デザインを仕上げていきました。

■初期のシンプル草案

■最終的なデザイン
20個のスタンプ達成でスタンプラリー景品のピンバッジがもらえます。

追加コンテンツとしてExtra Stageを用意し、景品は無いのですが全38のブースを達成したい人向けに用意しました。

そして私は全ブースをコンプリートしました!👏各社のサービスを体験してお話したり、凝ったノベルティをもらえてとても楽しかったです。

ピンバッジ

前述のスタンプラリー達成の景品が、こちらのピンバッジです。業者は例年お願いしているキラメックさんに今年もお願いしました。色を特色のPANTONEで指定したので、とても発色良く仕上がりました。

エントランス装飾

来場したRubyistsをお迎えしたのが、このエントランス装飾。メインビジュアルをそのまま使うのでは味気ないと感じたため、「RubyKaigi 2024に来たぞ!!!」という気持ちをより盛り上げるために、ポップなデザインで仕上げました。
SNSなどでエントランス装飾をバックに写真を撮っていただけているのを見て、非常に嬉しかったです!

演台

会場の大劇場、小劇場、大スタジオでSpeakerの登壇に用いる演台のデザインも担当しました。

演台のサイズ感が劇場ごとに異なったため、それぞれに合わせてメインビジュアルの要素を分解して配置しました。
個人的には弊社エンジニア3名が奇跡的に各劇場で登壇することとなり、演台と共に記録に残せて感無量でした!

@chobishiba
(左)@ohbarye、(右)@osyoyu

世界地図

Rubyistsがどこから来たのかを示すための世界地図のデザインも作成しました。付箋が色々な国に貼られているのを現地で見て、本カンファレンスが国際テックカンファレンスであることを改めて実感しました。

ゴルフ🏌️コンペサムネイル

https://connpass.com/event/313639/

現地Organizerの@aokabin_さん主催のゴルフコンペのサムネイルは、当初サムネイル未設定だったのでお声がけして作らせていただきました!
シーサー(Organizerたちは「ルー」と「サー」と呼んでいる)を登場させたく、横から見た描写に若干苦戦しながらも、ゴルフをしている姿を描きました。

余談ですが、同じく現地Organizerの@hanachin_さんにルーサーを粘土で作っていただけて、とても嬉しかったです!!めちゃ可愛い。。

最後に

いかがでしたでしょうか?
改めて振り返ると、Kaigi on Rails 2023でお声がけいただいて、約1ヶ月ほどで沖縄理解を深めてメインデザインを考えて、その後も他の制作物を作り…そして本番の5月を迎えました。とても感慨深いです。

例年はもっと早い段階でデザイナーが確定しており、今年度は少し特殊な状況でした。短期間での準備は大変ではありましたが、その分多くの学びと達成感を得ることができました。

右も左もわからない中でサポートいただけた同僚のゆっきーさん初め、Organizerの皆さんには感謝しかありません。
また、会場でも多くのRubyistsからデザインを褒めていただけて改めて、RubyKaigi 2024に関われて良かったと心の底から思いました。

もし今後、自分もRubyKaigiを盛り上げたい!というデザイナーさんがいらっしゃいましたら、ぜひコンタクトを取ってみてください。
デザインを通じて、Rubyコミュニティに貢献できる素晴らしい機会が待っています🌺

そして、現職のスマートバンクもRubyKaigi 2024のHydration Sponsorとして参加し、私はコミュニケーションデザイナーとして体験設計やクリエティブ作成を担当していました。
こちらもこだわった点が多く、是非紹介したいので近いうちにnoteを公開します!

総勢15人で3000杯以上のドリンクを提供しました🥤

お読みいただきありがとうございました!