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今更ながら仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVERを。

2018年12月22日、私はスクリーンの前に座っていた。
「もしかしたら」という期待と「多分無理だろうな」という不安を胸に。

その日は「仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」の公開日である。平成に制作・公開された最後の仮面ライダー映画だ。

なぜ今さら「仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」について書き連ねているのかというと、「シン・エヴァンゲリオン」を観た余韻の中でこの当時の感情がシンクロしたからである。


8歳のころ仮面ライダークウガが始まった。
歳を重ねるにつれ周りは次々と仮面ライダーを卒業していく中、飽きることなく見続け、卒業のタイミングを失った私。気づけば生まれたばかりの息子と共に仮面ライダーを見るようになっていた。
正確に言えば、まだ興味のない息子を半ば強引に付き合わせていた。

「仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」は冬映画の恒例として当時の現行作品の「仮面ライダージオウ」と前作「仮面ライダービルド」のクロスオーバー作品である。

「仮面ライダージオウ」は平成仮面ライダーシリーズの20周年記念作品にして、改元に重なるためテレビシリーズでは平成最後の作品だ。
記念作品ということもあり、レジェンドゲスト(過去作品の出演者)が続々と登場し、仮面ライダーディケイド(平成10周年記念作品)の時には見られなかった豪華な共演に毎週大人げないほど大興奮した。

そうなると当然、「仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER」にも多大な期待を抱くことになる。クウガ・電王・Wが取り扱われるらしい、ゲストは誰が出るんだろう。良くないと思いながらも、気になるあまりネタバレ情報などを探り安心感を得ようとしていた。

ファンといいつつ、映画はほとんどレンタルや配信待ちをしていた。子供たちに紛れて観ることに若干の負い目を感じていた。しかし今回は胸騒ぎがした。仮面ライダー映画で初めて公開日の初回上映を観る決意をした。

そこで冒頭に戻る。期待と不安。物語中盤、電王が登場しいつものイマジンズの声。そして変身解除。その時点でも「ああ、逆光でシルエットはごまかすのかな、声はウラタロスが当てればいいし」なんて思っていた。子供の頃であればこんな邪推をせずに素直に見れたかもしれない。嫌な大人になってしまった。

しかしそこには、正真正銘、良太郎 (佐藤健)が立っていた。
理解が追いつかなかった、応援上映でもないのに湧き上がる歓声、すすり泣く声、気づけば視界が潤んでいた。

憧れのヒーローから娯楽作品へ。実在すると信じていた時期もあった。フィクションだと受け入れて楽しむ余裕もできた。この20年間で「仮面ライダー」ヘ向ける私の眼差しと想いは変わった。でもその瞬間は、再びヒーローに純粋に憧れるあの頃へ戻れた気がする。

後で見返すと短い出演シーンだったが、その時は劇場の空気と余韻でとても長い時間、良太郎を見ていた感覚だった。モモタロスから良太郎へ向けた台詞。それは紛れもなく私が良太郎、佐藤健へ送った言葉であり、これまでヒーローとその仲間、対峙する敵を演じてくれた役者さん、作り上げたスタッフへの言葉だった。

別に平成仮面ライダーを見続けた20年間が苦しかった訳ではない。でも、凄く報われた気がした。周りが卒業していく中、見続けていて良かったと。そうでなければ、2年近く経っても思い出して鳥肌が立つようなこの感覚は味わえなかった。


そこでエヴァに戻る。想い続けて、追いかけ続けていれば良かった、という後悔。好きなんて人それぞれ、大きさや深さなんて関係ない、かもしれない。でも後悔せずにはいられない。

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