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引越しがもたらしたもの

年末の土曜日、突然引越しを決めた。小さいけれど緑に囲まれた庭がとても気に入っていて、あと1年は住むつもりだったから、本当に突然のことだった。(ここに書くつもりはないが、もちろん理由はある。)翌週の水曜に新居の契約を済ませ、土曜には9割がたの荷物を運び込んだ。引越し先が旧居から1kmほどの距離で、家具を含め、持ち物が少ない3人家族だからできたことだ。短期間で終わらせたのは、数ヶ月前に、日曜発、タイ行きのチケットを取っていたことも大きかった。

本来は持ち物の要不要を考えてから、引越しのパッキングをするのが理想だが、今回はなんせ、時間がなかった。明らかなゴミ以外は持ち物のすべてを梱包し、段ボールに詰め、車で運び、段ボールから取り出して、ざっくりと関連しそうな場所に仮置きし、段ボールを持ち帰って次の荷物を詰める、という作業を繰り返した。

空港から帰ってきたら、ざっくり仮置きされた荷物たちが待っていた。帰国後、3日。時差の関係で朝、起きるのがつらく、夜はなかなか眠くならない中、ひたすら収納に取り組んだ。正確には、夜のフライトで上手く眠れないまま戻ってきた午後早くから、スーツケースを空にし、洗濯機を3回まわした後、動線と物の置き場所について黙々と考え、手を動かし続けた。

新しい家で、新しい暮らしをデザインしよう。そう思った。これまでも収納を考えるのは大好きで、心地良い暮らしを追い求めて来たけれど、もっと自分の好きと快適さに忠実に。どちらかというと真面目でストイックになりがちだけど、好きなこと、楽しいこと、気持ちが良いと感じることを大事にしよう。

収納のゴールは、持ち物すべてに居場所を与えることだ。そこに、好きかどうかという判断基準をプラスすると、これまでとは違う結果が生まれる。便利だけど見た目が好みでない収納道具は使わない。本来なら四角い容器がぴったりだけど、丸い方が好きだからこっちにする。合理性と視覚への心地良さを秤にかけて、日々の小さなしあわせのために後者を優先する。

なんて楽しいんだろう。自由だ。

旅行前の突発的な引越しは大変だったけれど、リフレッシュした頭で新しい収納を考えることが出来たことは、予想外の嬉しい結果をもたらした。収納にセオリーはあるけれど、自分の心の声に従って、それを無視しても構わない。自分と家族がしあわせなら、なんでもありだ。年末から始まった慌ただしさは、それを知るために必要な一連の流れだったのかも知れない。




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