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その古い喫茶店は

その古い喫茶店の看板は電気をつけた瞬間にちかちかと点滅して、灯りが安定するまで数秒かかる。

様々な時間が流れてきたことの、証明のように。

早起きできた休日にトーストを食べに行くこともあれば、

夕暮れ時にひと休みしながら、おやつを食べるときもある。

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『古き良き』という枕詞を耳にするようになったのはいつからだろう。

古ければ良い、というわけではないけれど
過去の時代を感じさせるものに驚くほどリラックスすることがある。

店員さんが愛想が良いというわけでもないのに、
むしろ「そこも含めて雰囲気がある」とさえ思う。

居心地のよさは、“気合いを入れなくて良い”というのがいちばんしっくりくるかもしれない。

町が移ろいゆく中で、昔と同じように
ただただ人を受け入れる不思議な場所。

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※表紙画像と、本文の画像はそれぞれ別のお店のものです。
が、どちらも年季の入ったすてきなお店です。

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