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リビングルームの話

ふとリビングを見渡す。
この部屋にあるもの。
何度か海外引越しを繰り返してきたのでものは少ない方だ。
そしてほぼ全てが夫と暮らしだしてから買ったもの。
夫も私もインテリアには割とこだわっている方だと思うのだけど、部屋に何か物を増やすときは一緒に買いに行くか、それ以外の場合はお互い了解を取ってから購入するようにしている。以前夫が一人暮らしをしていた時は私があまり好まない絵だったりオブジェだったりがあったのだけど、一緒に暮らすようになって何度か引越しするうちにそういったものは段々と姿を消していき(私がこっそり捨てたわけじゃないですよ)二人が納得して揃えたものだけになった。
先日映画スラムダンクのポスターを入手したので額に入れて眺めていたところ、それはリビングと寝室には置かないでと夫からNGが出たので渋々次男の部屋に飾ることに。チッ、と夫に聞こえるように舌打ちはしておいた。

なので、家具から小物ひとつひとつに至るまで、どういった経緯で我が家に来たものかという説明ができる。旅先で買ったものだったり、友達から貰ったプレゼントであったり、どの店でどんな店員から買ったものかなど、ひとつにつき2、3分にまとめたエピソードを語ることはできるくらいには把握している。
寛げる自宅で、これ好きじゃないな、嫌だなというものが日々視界に入ってくるのは何気にストレスだと思うので、毎日目に入るものは自分たちが心地よい物を揃えた方がいいに決まってる。高価なものはほとんどないけれど、時々「やっぱりこれ買って良かったなぁ」なんて改めて思ったりもしてしまうくらい、どれもお気に入りだ。

大きな家具は、ソファーやベッドといった体の使い心地を気にしなければいけないもの以外は特に新品に拘らず、というかむしろヴィンテージを好んでいるといってもいいかもしれない。ヴィンテージ、アンティーク家具が豊富なヨーロッパに住んでいたというのもあるけれど、新品よりも古いものの方が私たちの好みのデザインが見つかることが多かった。ヴィンテージで安価に購入できたものが思いがけず高価な値段で取引されている掘り出し物だったりする楽しみもおまけについてくる。

我が家のリビングで一番存在感を発揮している北欧製のヴィンテージのサイドボードは、わざわざデンマークまで行って手に入れたものだ。
コペンハーゲンの中心地から少し離れた寂れた地区にあった広い倉庫に、これでもかと並んだ北欧家具には大興奮で、探していたとても状態の良いローズウッドのサイドボードを購入することができた。当時住んでいたフランスでも同じものを売っていたが、家具の値段に旅行代と輸送費を足してもデンマークまで買いに行った方が安かった。そしてローズウッドはワシントン条約で規制対象となっているので新しく家具が作られることはなく、ローズウッドのビンテージ家具の価格はどんどん値上がりしており、私たちのサイドボードも今では購入時(約10年前)の4倍の値段になっているというから、幅が2メートル近くありとても大きいので引越し業者さん泣かせの家具なのだけれど、この先も手放すことはないだろう。

木目が美しいのです

と、二人で作ってきたこのインテリアを見渡して、もし夫と離婚するようなことになったらこの家のものはどう分ければいいのだろうか…いや、ひとり暮らしをして自分だけが好きな物をイチから集めて暮らすもの楽しそうだな(スラムダンクのポスターも飾れるし)…ということまで考えてしまったのはここだけの話で。





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