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ドラマみたいな現実

本日も言い訳からスタートです。
ここでは楽しいことだけ書きたいけれど、今日の記事は楽しい話にはならなそうだってことも予めお断りしておきます。
昨日記事を投稿できなかったのは、その前夜に子供が救急外来に行く事態になったため。幸い子供は回復傾向にあるけれど、昨日は私にMacBookを開く気力がなかった。

この日の救急は受付の方が「今日はマジでヤバい」と話しているのが聞こえてきたくらい、搬送が多かったようだ。次々に到着する救急車。手短にしかし適切にやり取りする救急隊員と病院関係者、小走りの看護師さんに険しい顔で廊下を行き来する医師達。
受付横の待合所にいると「正直バイタルがかなり下がっていて…」「ご遺族が来てるんですが」などといった会話が飛び交い、痛みにうめき声をあげる男性の声も聞こえてくる。

私の隣に座っていた男性は奥さんが搬送された方だった。到着された時はやれやれなんて口に出して落ち着いた風を装っていらしたけれど、書類に必要事項を書く時にとても難儀されていて、実はかなり混乱されていたのがわかった。
しばらく経ってからその男性から連絡を受けた娘さんらしき方が駆けつけて、その場で泣き崩れた。娘さんが来るまで居ても立ってもいられないのか廊下をずーっと行ったり来たりされていた男性は、娘さんの前では気丈な姿で、事の経緯を冷静に説明しながら娘さんの肩を抱いて慰めていた。
そんなご家族の横で私は目に溜まった涙が溢れないように瞬きを止めて斜め上を向いていた。
救急の待合所にいるだけでもうドラマの中に入り込んだようだった。あれだけ救急医療ドラマが作られているのも納得だわ、なんて思いながら…
でもこれは全部現実。
ここを職場として日々従事している救急医療に携わる方々を心の底から尊敬する。

我が子は命に別状がない状態ながらも、原因がわかるまでは気が気ではなかった。
スマホで病状について調べればネガティブな情報にばかり反応してしまうし、かといってインスタやTwitterを眺める気にもなれず、最終的に真向かいの少し黄ばんだ壁を見つめるだけになった4時間に及んだ待ち時間はなかなか辛いものがあった。
日付が変わる少し前にようやく診察室に呼ばれ、点滴やらが繋がれた状態ではあったが子供の様子を確認できてホッとした。病状の説明を受け、とりあえず入院は免れてそのまま帰宅となった。
病院に到着した時と変わらず、外はとても風が強かった。
強い風が吹いた日には、あのご家族は今日の日を思い出すだろうか。
病院前からタクシーに乗って、早く風が止めばいいのにと思った。







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