朝日新聞の牛丼レポとフェイクニュース

今は新聞は取っていない 。しかし学生時代は 熱心な購読者であった。 夕刊も取っていた位だ。 夕刊の文化欄が醸し出す 知的スノビズム に対して 憧憬を抱いていたのだろう。

当時デフレ により 牛丼の一大ブームが あり 記者の体験レポートが掲載されていた。それによると 「つゆだく」「ねぎだく」という注文法や牛丼の食べ方も 指南されていた。

牛丼という庶民的な食べ物をあえて紹介することに内心いやらしさも感じた。田中康夫が東京ペログリ日記でキャンティと松屋を同列に取り上げことに対しての違和感と似ている感情だ。
しかし身近なことであり興味を持って熟読した。
一読後、疑義を感じた。 食べ方として卵を頼んで、始めは肉のみをを小鉢の卵汁につけてすき焼風に、残った卵汁は牛丼にかけるといった味わい方が提案されていた。一粒で二度美味しいということなのだろうが、正直こんな貧乏くさい食べ方をしている人は見たことがない。

あと 「つゆだく」は一般的になりつつあった言葉であったが、客としては気後れする部分もあったので新聞という権威が後押ししてくれたのはありがたかった。
しかし「ねぎだく」など 聞いたこともなかった。 折しも 野菜が高騰していた時期であったし、しかし新聞記事になるくらいであるからと試してみたい気持ちに駆られた。

後日牛丼屋に行って、 注文時に 「ねぎだく」と付け加えてみた。
予想通りとはいえ 店員の戸惑う顔と 他の客の 白眼視は 今でも忘れられない。
おそらく、伝聞に頼った記事なのだろうと思うが、リテラシーを考えるきっかけになった。今で言うところのフェイクニュースの根っこはこういうところにあるのかも知れない。

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