実際には"牽制"や"批判"の言葉はほとんど含まれていなかった、国連創設75周年記念ハイレベル会合における習近平主席のビデオメッセージ

9月21日(ニューヨーク時間)、国連創設75周年記念ハイレベル会合が行われ、各国の代表がステートメントを述べました。

中国からは習近平主席のビデオメッセージが寄せられました。

(↓産経新聞の関連記事)

多くのメディアは、習主席がビデオメッセージの中でアメリカを批判したとか牽制したと報じています。

中国の新華社から発表された習主席のメッセージの全文にも、かなり強い批判の言葉が使われています。

ですが、国連で実際に上映されたメッセージを見てみると、批判や牽制の言葉は入っていません。

3分半くらいのメッセージです。新華社の全文と見比べると、3分の2くらいがカットされています。

下は、メッセージ全文の英訳です。新華ネットの英語版から発表されたものです。国連での上映で実際に使われていた部分を黄色くしました。

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上の黄色の部分には、産経新聞が報じている「いかなる国も世界で自分のやり方を押し通し、覇権を握ることはできない。一国主義は八方塞がりだ」とか、「いかなる国も国際的な事務を独占し、他国の運命を握る権力は持っていない」とか、「力の強い者が言うことを聞かせることはできない」とか、「冷戦思考に立脚し、イデオロギーによって線引きを行い、(勝つか負けるかの)ゼロサムゲームをやれば、本国の問題を解決できないだけでなく人類が直面する共通の挑戦に対応できない」という言葉はありません。

このことについては、以下のロイターの記事が参考になりました。

 中国の習近平国家主席は声明で「世界の情勢を独占し、他国の運命を決め、発展の成果を独り占めする権利はどの国にもない。ましてや、一国が好きなように振る舞い、世界の覇権者かいじめっ子またはボスになるのを認めてはならない。一国主義は行き詰まる」と主張。名指しはしなかったが米国を批判した。
 この発言は国連総会向けに録画した演説には入っておらず、中国の国連代表部によると、国連に提出された声明に盛り込まれた

ただし、「国連に提出された声明」(書面でのメッセージ)にほんとうに批判や牽制の言葉が含まれているのかどうかは、いまのところ確かめようがありません。新華社から発表されたメッセージの全文は、中国国内向けに強気の言葉をもりもりに盛っただけ、という可能性もあるわけです。

(・・・が、あとで国連のサイトを確かめたところ、習氏の動画の下の”Statements”というところに、新華社のと同じ長文バージョンのPDFがアップされていました。中国語と英語で。国内向けに盛ってはいませんでした。すみません。。。)



※ 実際に上映されたメッセージの全文

主席先生,
各位同事:
  75年前,世界人民经过浴血奋战,赢得世界反法西斯战争伟大胜利。这是正义和人民的胜利。
  联合国的75年,是人类社会迅速发展、国际形势深刻变化、多边主义快速发展的75年。
经历一次又一次考验,联合国仍然充满生机,寄托着70多亿人民对美好生活的向往。
  当今世界正经历百年未有之大变局,突如其来的新冠肺炎疫情对全世界是一次严峻考验。
  面对新形势新挑战,我们必须严肃思考:世界需要一个什么样的联合国?在后疫情时代,联合国应该如何发挥作用?
  联合国要主持公道。大小国家相互尊重、一律平等是时代进步的要求,也是联合国宪章首要原则。要坚持共商共建共享,由各国共同维护普遍安全,分享发展成果,掌握世界命运。要切实提高发展中国家在联合国的代表性和发言权,更加平衡地反映大多数国家利益和意愿。
  要厉行法治。毫不动摇维护联合国宪章宗旨和原则。以制度和规则协调各国关系和利益。
  要促进合作。把本国利益同各国共同利益结合起来,建设和谐合作的国际大家庭。
  要聚焦行动。以解决问题为出发点,平衡推进安全、发展、人权,把发展问题置于全球宏观框架突出位置。
  中国将始终做多边主义的践行者,积极参与全球治理体系改革和建设,坚定维护以联合国为核心的国际体系,坚定维护以国际法为基础的国际秩序,坚定维护联合国在国际事务中的核心作用。
  谢谢。


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