ジゼル・フロイント ~撮影ノオト~
パリで出会った写真家
パリ滞在中、ギャラリー・フランスのオーナーに、ポンピドゥ―・センター(フランス国立近代美術館)で開かれる、オープニング・レセプションに誘われた。ポンピドー・センターでは初の写真家による回顧展だという。私はジゼル・フリュンドというその写真家の名前を知らなかったが、興味を抱いてレセプションに参加した。1991年12月のことだ。パリで彼女の名前はジゼル・フリュンドと発音されていたが、日本での表記はジゼル・フロイントだと後に知った。
展示作品はドキュメンタリ―写真のほか、作家や画家のポートレイトがほとんどだった。会場を巡ると、20世紀の歴史に残る人々ばかリが並んでいる。文学界ではジェイムズ・ジョイス、コレット、ヴァージニア・ウルフ、シモーヌ・ド・ボォ―ヴォワール、美術界ではアンリ・マティス、マルセル・デュシャン、フリーダ・カーロなどが、当時開発されたばかりのアグファやコダクロームなどのカラーフィルムで撮影されていた。
私はメキシコの自宅の庭に立つフリーダ・カーロのモノクロームの写真に惹かれ、その前で写真を撮らせてもらった。レセプションの会場だったので、フロイントは小さな花束を手に、満面の微笑を見せている。
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