姉よ、焼き肉食べたい
私は2人姉妹の妹だ。
姉との関係は、友達より気を遣わず、楽。
「焼き肉食べたい。」
『私も思ってた。』
と、唐突に焼き肉を食べに行ったりできる仲だ。
周りの友達からは、仲良いね!と言われるが、
昔から仲が良かったのかと言われるとそうでもない。
小学生の頃はよく近所の子を交えて遊んだりしていた。
だが、姉が中学生になった頃から仲が悪くなった。
姉は中学生の頃から学校での環境がよくなかったようで、よくストレスを溜めていた。
きっと最初は我慢していたのだろうが、そのストレスがいつしか爆発して、私にぶつけられた。
中学生なんてまだ子どもだから仕方ない。
だけど、同じく子どもだった私にとっては大ダメージだった。
姉は覚えていないだろうが、私はあの頃されたことをよく覚えている。
物を投げられたり、お気に入りのお茶碗を割られたり、
機嫌良く一緒に遊んでたかと思えば、いきなり怒鳴られたりもした。
親や祖父も叱ってくれてはいたが、妹の味方ばかりする!
と思われ、それが逆効果でもあった。
小学生の私は、なんで姉がそうなってしまったのかが、理解できずとても悲しく、そして恐ろしかった。
姉が学校から帰ってくる足音が聞こえれば、
すぐに布団やクローゼットに隠れ、できる限り顔を合わせないようにした。
大人になって姉の中学時代の話を母親から聞き、
姉も辛かったのだろうと理解はできたが、
悲しかったことには変わりない。
それから私は中学生になり、部活に没頭していた。
姉も高校生になったことで環境が変わり、とても楽しそうだったのを覚えている。
姉はきっと昔のように仲良くしたいと思ってくれていたが、
私は小学生の頃を引きずっていたので、
仲良くしてこようとしても素っ気ない態度とったり、
また怖い姉に戻るかもしれないと恐れ、距離をとっていた。
その距離はいつしかどんどん開いていって
小学生以降から中学・高校・大学と、
その頃の自分と姉の思い出の記憶が全くない。
冒頭に戻るが、いつから仲が戻ったのだろう?と思い返してみた。
きっかけはこれだ!という思い出はやっぱりなくて、
ただ覚えているのは母から聞いた
「姉が『まることの距離を感じる…』って言ってたで」
という言葉だ。
母にそう言われた頃、私は姉と私の関係は
『仲良しでもないけど、仲悪くもない。』
という絶妙な距離を取れていると思っていた。
けど、そんなことなくて、私のそのちょっと離した距離を
姉はちゃんと感じ取っていたのかと思った。
その頃の姉は私に優しくて、気を遣ってくれていることは常々感じていた。
あの中学生の姉はもういないのに、私がずっと根に持ったまま突き放してしまっていたのか。
その時初めて姉に申し訳ないな、と思ったのだ。
それからだと思うが、姉をご飯やおでかけに誘うようになったと思う。
多分、姉が嬉しそうにするものだから、
私も嬉しくなってよく誘うようになったのだと思う。
いまではどちらかというと私が姉を誘うことが多いくらいだ。
お互いもう30歳を過ぎてしまったが、
毎年一緒に決まった映画を観に行くし、
テーマパークに行ったりもする。
今日も焼き肉からの一杯やってからのティータイムまでして帰路に着いている。
そんな姉が、2日後に少し離れたところに引っ越す。
結婚予定の彼との同棲生活がスタートするそうだ。
いままでみたいに「焼き肉食べたい」で飲みにいけなくなってしまうのだ。
もうあの頃の姉はいないし、
あの頃の私もいない。
これからも全然会える距離なのだが
なんだか寂しいと感じてしまう私は
認めたくないが姉と仲がいいのだと思う。
姉よ。しあわせであれ。
いつも飲まないハイボールを飲んでしまうと
こんなことを書いてしまうのだから、
ほどほどにしよう。
だが、普段考えないことを考えることができるのは
お酒のおかげ…なのかもしれない。
まるこ
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