テーマ「採卵」
こんにちは。
みなとみらい夢クリニック培養室です。^^
前回は培養室の大まかな一日の流れを紹介させていただきました。
今回は【採卵】について詳しくお話したいと思います。
培養室では患者様の体から離れた卵子と精子を受精卵(=胚)に育て、
体にお戻しするまで大切にお預かりしています。
【採卵】は培養室のスタッフが患者様に直接関わる一番始めの部分となります。
体外受精の流れでいうと↓の部分です。
今回は【採卵】を大きなテーマとし
1:女性の体のつくり~基礎知識勉強編~
2:卵を取るってどうやってるの?~手術室編~
3:検卵とは?
この3つについてお話していきます。
❶女性の体のつくり~基礎知識勉強編~
採卵を知るにはまず、
女性の体の作りについて知ることが必要になります。
女性の生殖器は
膣の上に子宮があり、
子宮の上部から卵管が2本伸びていて
その先にそれぞれ卵巣があります。
卵巣の中には【卵胞(らんぽう)】とよばれる、
卵胞液に満たされた袋があります。
基本的にこの袋1つの中に1つ卵子が入っています。
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卵胞は、最初は小さいですが、
成長するにつれて徐々に大きくなっていきます。
最終的に卵胞の膜の一部が破れて卵子や卵胞液が外へ飛び出します。
これが「排卵」になります。
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排卵してしまうと
卵子は卵管の中に進んでしまうので
回収できなくなります。
よって、排卵のほんのちょっと手前で
卵子を回収することが重要となります。
大きく育っている卵胞の中には
しっかり育っている卵子が入っていることが多いため、
ホルモンの値と共に卵胞の成長を観察し、
中に入っている卵子の成長を予測し
ベストなタイミングで回収を行います。
❷実際の採卵
当院の採卵について詳しくご説明していきます。
なお、採卵は日帰りです。
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採卵は手術室で行います。
手術室は奥様のみの入室になります。
手術室です↓
オペ着に着替え本人確認後、オペ室に入室していただきます。
そして患者様は手術台に横になり、足置きに足を置いていただきます。
ここでも再度本人確認を行います。
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次に↓の道具を使用して膣の消毒を行います。
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消毒が終わったら
膣に超音波の機械を入れて卵巣を観察し、
卵胞の位置と大きさを確認します。
そのエコーの画像を頼りに
膣壁から卵巣へ最短距離で針を刺し、
卵胞液を吸引します。
育っている卵胞を全て吸引すると
患者様の採卵は終了となります。
オペ室から退出、
その後ナースセンターのベッドでお休みいただきます。
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ここからは採卵した卵子がどのように流れていくかの説明をします。
吸引された卵胞液は、
採卵針→チューブを通過し看護師が持つスピッツに溜まっていきます。
吸引した卵胞液が途中のチューブなどに残らないように、
卵胞液を吸引したあとは培養液を再度吸引し、
チューブの中をしっかり洗い流します。
卵子ははとても小さく繊細なので、
冷たくならないように、使用するスピッツや培養液など卵子に触れるものは
全て体温程度に温めておいたものを使用しています。
スピッツにたまった卵胞液はクリーンルームに運ばれ、
クリーンルームの中で培養士が顕微鏡を使用して
卵胞液の中にある卵子を探します。
この作業を「検卵」と言います。
❸検卵について
ここからは検卵についてです。
卵胞液の中には、
卵子に栄養を与えていた細胞や血液のかたまり、卵巣組織など様々なものが紛れています。
そこから卵子を探し出して回収します。
これを「検卵」といいます。
しかし、採卵直後の卵子には
卵丘細胞(卵胞の中で卵子に栄養を与える役目をしている細胞)がくっついています。
この卵丘細胞は大きいこともありますし、小さいこともあります。
また、全くないこともあります。
卵子の細胞自体は丸いのですが、
どんな卵丘細胞が付いているかによって見え方が大きく変わります。
卵子の大きさは約100μmであり1mmの10分の1と、
とても小さく検卵は顕微鏡下で行います。
そのような様々な細胞が存在する卵胞液の中から
すばやく卵子を回収することが重要になります。
また、検卵をする際に用いる培養液は、
体外で作業をする専用の培養液です。
検卵で卵胞液の中から回収した卵子は、
培養専用の培養液に移します。
その後インキュベーターという、
子宮の中の環境を再現した機械に入れてあげます。
ここまでが当院の採卵の方法になります。
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