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テーマ「融解」

こんにちは❁
培養室です。
 
前回は凍結についてお話させていただきました。

 凍結についてまだご覧いただいていない方はこちらを先にお読みください。
テーマ「凍結」

 今回は、その凍結した胚をどうやって融解するのか説明します。

分割胚と胚盤胞の融解方法は同じです。

分割胚と胚盤胞の違いは?と思われた方は過去の記事をお読みください。
テーマ「分割胚・胚盤胞」

➀急速融解

ガラス化保存法により、水分子が結晶を形成せずに凍結してある細胞でも、融かしている途中で水分子が結晶を作ってしまい、ダメージを受けてしまうことがあります。
そうならない為に、水分子が結晶を作りやすい温度帯を急速に通過させる急速融解を行うことで、細胞がダメージを受けることを防ぎます。

②実際の融解手順

まず、液体窒素から37度に温めた融解液にCryoTOP(クライオトップ)の先端をすばやく投入します。
液体窒素は-196度であり、37度の融解液にすばやく入れることで、+43000℃/分の急速加温が得られます。これにより細胞がダメージを受ける危険な温度帯-20℃~-80℃を急速にぬけ、ダメージを防ぎます。
次に希釈液(a)、洗浄液(b,c)に胚を移すことによって、細胞内に入っているガラス化液が細胞から排出され、水分が流入し元の元気な状態に戻ります。

③胚培養士目線のお話

融解は液体窒素から融解液に入れる際に早すぎても遅すぎてもいけません。
許容範囲+1秒も遅れたらOUTです。
細胞がダメージを受ける可能性があります。
とても繊細な作業です。

よって適切なスピード、角度で投入できるよう何度も何度も練習を重ね、合格した胚培養士だけが作業に入ります。
 
ただし、凍結・融解は胚にとって多少ストレスがかかってしまう作業であることは間違いありません。

どんなに完璧な操作を行っても、細胞膜が弱っている胚などは、細胞の内外でうまく物質のやりとりができずダメージを受けてしまう場合も中にはあります。 
 
凍結・融解を行っても生存でき、移植して育つ細胞をしっかり見極めるのも胚培養士の大切な仕事です。
 
それでは今回はこのあたりで✿


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