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テーマ「分割胚・胚盤胞」

こんにちは★培養室です。

今回は分割胚(ぶんかつはい)と胚盤胞(はいばんほう)の違いについてです^^

患者様とお話していると時々
「分割胚・胚盤胞は何が違うの?」
「どちらを移植したらいいの?」
と聞かれることがあります。

 その疑問にお答えします。

➀胚の成長について

まず、簡単に言うと分割胚・胚盤胞では発育段階が違います。


下の図で胚の発育について説明します。

分割胚は培養2日または3日目の細胞の数を数えられる時期の胚を指します。
分割期胚(ぶんかつきはい)という事もあります。

分割胚まで成長が進み、ある程度細胞数が増えてくると、細胞がくっついてひとつの塊になります。
桑の実に似ていることから、桑実胚(そうじつはい)と呼ばれます。

更に細胞が増えると、一部で特に増殖する細胞(内細胞塊:ICM)と、透明帯の内側を覆う細胞(栄養外胚葉:TE)に分かれます。それに伴い中心部分に大きな空間が現れます。
これが胚盤胞という段階です。
(ICMは将来赤ちゃんになる部分、TEは将来胎盤になる部分です。)

(倫理的な観点から体外で培養できるのは胚盤胞までとされています。)

次に、分割胚と胚盤胞のそれぞれの移植の良いところを紹介します。

②分割期胚移植のメリットとは

簡単に言うと
 胚にやさしい
・ 着床のタイミングを微調整してくれる

です。

体の状態にもよりますが、
当院ではまず分割胚移植を勧めさせていただくことが多いです。

外で培養される胚は光を浴びるなど子宮の中とは違う環境に置かれます。
それは胚とってストレスになる可能性があります。

子宮の中では育つ胚も、体外ではストレスによるダメージで育たないということも考えられます。

よって、分割胚の段階で移植をして、体外に出ている時間を短くしてあげることで(子宮の中で長く育ててあげることで)、胚本来の力が発揮されやすいというメリットがあります。

 また、胚は子宮とシグナルを交換していると言われており、成長に合わせてシグナル交換ができるので着床のタイミングが合いやすいとも言われています。 

では次に胚盤胞移植です。 

③胚盤胞移植のメリットとは


簡単に言うと
・ 着床率が高い
です。

インターネットなどでは、
「胚盤胞移植のほうが移植あたりの成績が良い」と出ています。
その通りです。

なぜなら、分割胚から胚盤胞までに育たない胚も多く存在しますが、
それらの胚が淘汰されているから
です。

胚にとって多少ストレスのある体外の環境で培養しても、胚盤胞までしっかり育ってくれた強い胚だけを選別した上で子宮に戻すことができるので、分割胚移植と比較し着床率は高くなります。

④自分はどちらがいいの?


ここまで分割胚移植と胚盤胞移植の違いを紹介しました。
 
では、自分はどちらが良いの?
と思われる方もいらっしゃると思います。
 
結論としては、
「患者様それぞれによって異なるため、医師と相談」となります。
絶対にどちらが良い!という事はありません。
 

例えば、

例①
卵管造影で卵管を調べた所、両方閉塞していた。
➡分割胚は子宮に移植した後、子宮表面の運動や様々な因子により卵管まで転がっていき、卵管の因子を受けて胚盤胞まで育って子宮に戻ってくると考えられています。(卵管回帰説)
卵管が閉塞している場合、分割胚が卵管に戻ることができません。よって卵管の状態を考慮し胚盤胞移植を勧めます。
 
例②
胚盤胞移植がしたい!と思っているがずっと胚盤胞凍結ができない。
➡体外培養のストレスに胚が負けている可能性もあります。分割胚移植はどうか。
 
など状況によります。

 
ですので、当院ではそれぞれの患者様の体を慎重に診ながら、治療を進めていきます。
 
貝嶋院長の基本的な治療方針としては、まず極力ストレスがかからない分割胚移植。次に胚盤胞移植をというベースの上で患者様の状態を診ながら治療を選択していきます。
 
さて、ここまでざっくりと説明させていただきましたが
患者様一人一人に合った、オーダーメイドの治療となりますので、
ご希望や、わからないことがありましたら医師をはじめスタッフにいつでもお声がけください^^

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