見出し画像

テーマ「精製」

こんにちは。
みなとみらい夢クリニック培養室です。

今回は【精製】についてご紹介します。

精製とは、体外受精や人工授精に用いるために、提出して頂いた精液を検査して洗浄する作業になります。

朝8:00~培養室内にある精製室で行っています。
(➡培養室のスケジュール)


■ 基本的な体外受精の流れ

体外受精の流れでは、
ご主人様側の黄色で囲った【採精→精液検査・精子調整】の部分になります。

(図1)体外受精の流れ


■ 採精


採精は当院2階にあるメンズルームで行うか、ご自宅で採精したものをお持ちいただきます。

(2021年5月現在は感染症対策のため、ご自宅で採精してお持ち込みいただくようにお願いしています。)

(図2)フロアマップ


■ 精液検査

射出直後の精液は粘性が強いため、すぐに検査ができません。
そのため、精液検査は採精してから30分以上経って、さらさらになった状態で検査します。

検査では計算板を使用し、精子濃度・精子運動率・正常形態率を調べます。

精液量は重量法で測定しています。

顕微鏡を使って、計算板のマス目の中に精子の数がどれくらいいるか確認し、その中の運動している精子、正常な形態をしている精子もカウントします。

普段の精液検査では使い捨てのS-Chipを使用しています。

粘性が高い場合や精子濃度が少ない場合はマクラーチャンバーを使ってカウントします。

(図3)計算板


当院ではWHO(世界保健機関)の基準値を参考にしています。
体外受精では、基本的にこの基準値をもとにして受精方法を決めていきます。

(図4)WHO基準値


■ 精製

精液は精子と精漿からなります。

精巣で作られた精子は
精巣→精巣上体→精管→射精管→尿道を通っていく中で
精嚢液・前立腺液といった分泌液と混ざり
精液として射出されます。

(図5)精液

そのため、体外受精に用いるには、
精液を遠心処理・洗浄する【精製】という操作が必要になります。


【精製】は、良好な運動精子を選別・濃縮し、不要物を除去する目的で行います。

精子分離剤の上に精液を重層し遠心することで、精漿と精子に分けられ、
良好運動精子を回収してくることができます。

(図6)精製


精製は清潔な操作が必要なためクリーンベンチ内で行います。
1つのクリーンベンチには1検体のみを置き、作業ごとに何回も患者様のお名前を確認するなど、安全な環境を整えています。

<精製室>

(図7)精製室


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?