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自分の、いる場所。

 図書館リノベーションに合わせて、個人的な思いでポスターを掲示した。ポスター内の「図書室に逃げた。本の中までは、誰も入って来れなかった。」という言葉が気に入っている。高原純一著『ぼくとわたしと本のこと』(センジュ出版)の中に出てくる言葉。このポスターを見るたびに、どういう意味なのか考えてしまう。とりわけ読点の捉え方が、日々の感情で微妙に解釈が変わる。つまり、納得解がなかなか定まらない。そもそも、正解なんてあるわけではないから、解釈は自由でたくさんあっていい。
 そもそも本を読むことに、答えは求められていない。本を読むという行為は、知識や答えを得るためではなく、その世界に入り込むことでもある。あなたしか感じられないものがあって、感じたことそのものを他者と共有することは難しい。あなたの面白いと、私の面白いは異なる。でも、それでいいのだ。自分の人生だけは一つで限りがあるけど、本を読むことで他者の、想像的な世界を疑似体験できる。しかも、それはあなただけが唯一体験できることであり、湧き上がる感情はどんなものであってもいい。いつの日か、たくさんの本、もちろん人と出会ってほしい。切に願う。
 ドラマ『俺のスカート、どこ行った?』(2019年放送)第8話。家庭事情で高校を欠席していた光岡慎之介は、文化祭のイベントで女装したことによってある思いに気づき、「いたいように、いる」ことをみんなの前で宣言。まさしく、Diversity(多様性)を取り上げているのだが、何でもかんでもすべてを許容することありきではない。タレントのマツコ・デラックスさん然り、多様性云々ではなく、個性として受け入れられ、一人の人として認められつつあるのだろう。そんなふうにして、一人ひとりを認めてあげるということが大切なのではなかろうか。
 さまざまなドラマを観たり、歌を聴いたりしていると、価値観とはなんぞやと自己対話してしまう。朝、歩いているときに、ふと閃く。“自分のいる場所”というのが、価値観そのものではないかと。あなたがいる場所というのは、誰かに侵されることはないし、神聖なるものであると感じる。どのようなことを心に想い描くのも自由だと思う。それはあなたの心地よい居場所なのだから。
 ところが、自分が持ち合わせている常識で事物を判断し、他者をどうしても自分のものさしで決めつけがちになる。そして、他者の目を気にしてしまい、本当に自分のやりたいことをやれなかったりする。それらを気にしないで生きるには相当な覚悟が必要であって、なかなかできることではない。でも、あなたが本当にやりたいことは何なのか。人生というキャンバスをどんな色で染めていくかは、あなた次第。どんな色で塗っても、それが人生だ。全き人生だ。キャンバスが楽しさ一色になるとは限らない。ただ、今は意味がないと感じるものであったとしても、それらの経験が差し色となって、あなたの人生という一枚の素敵な絵となる。あなたと出会ったことが、今の私を彩っている。

널 알기 전까지는 나 / 의미 없었어 전부 다
あなたを知る前までは 私 / 意味がなかった 何もかも         
                      (NewJeans『OMG』)

🎵 人生いろいろ。人の色もいろいろ。対話を楽しもう~ 🎵
 
【Color 97】何か不安や悩みがあるとそのことについて考え込んでしまいます。また、最近は寒いし、元から身体も弱いのでとても気分が落ち込みます。そんな自分を弱いと思っています。先生は、自分の「弱さ」とどう向き合いますか。
【A】なるほど、あなたは不安になったりすると考え込んでしまうんですね。私も一緒です。因みに、不安や悩みは誰にでもあります。あなた一人だけでは決してありません。天気が悪かったり、寒かったりしたら、確かに気分が萎えますよね。でもね、そんなあなたを弱いとは思っていませんよ。敢えて言うなら、弱さを持っていてもいいじゃないですか。弱さの欠片もない人より、そんなところを持っている人の方がチャーミングだと思うんです。私も弱い人間です。しかし、弱いからこそ、他者と寄り添ったり、分かち合ったりできるんだと信じています。さまざまな体験を通して、悩んだり迷ったりしてきたからこそ、そういう心を持てるのではないでしょうか。自分の弱い部分を受け入れて(認めて)あげたらどうでしょうか。だって、どんなあなたであったとしても、あなたはあなたですから。
 
【Color 98】年末年始は何をして過ごしましたか。
【A】サンタクロースさんからいただいた任天堂Switchで『桃太郎電鉄ワールド~地球は希望でまわってる!~』を家族でやりました。おいおい、ボンビーではなく、精霊って何ですか?!世界のさまざまな知識を得ることもできるし、まじで楽しいです!
 
【Color 99】以前の通信にスマホを持っていないと書いてあり驚きました。スマホがなくて不便だと感じたときはありますか。
【A】取り立てて不便に感じたことはありません。グループに入っていた方がいい部分もあるかなと思いますが、あえて孤立できているので気楽だなとも思います。絶対LINEとか気にしちゃいそうですから(笑)。Googleマップなら、アプリではなく紙媒体の地図を観つつ、自分の頭で考えたり、色々と風景や建物などを楽しんだりしながら、目的地を探す方が好きですね。
 
【Color 100】先生は学生時代、勉強にどんなモチベーションで取り組んでいましたか。
【A】高校教員となって、数学を(で)教えるための一点でしょうか。英語がまじで出来なかったから、2年生の冬にこのままではまずいと感じて、数学を差し置いて取り組みました、多分。私は相当頑固なので、早く教員になりたいって思い込み、今やるべきことに没頭しました。公式に当てはめたらできる程度の問題はもちろんですが、復習そのものにはあまり面白みを感じないです(笑)。ワクワクするのって初見だけですからね。だから、面白い問題に出会う一心とも言えます。私の人生の根幹です。
 
【Color 101】危険物取扱者の資格を取得して役に立ったことはありますか。
【A】甲種まで全部制覇しましたけど、それを元手にして働いているわけではないので、そのものが役に立ったことは殆どありません。でも、取得するまでの過程で、生徒とともに頑張って勉強していたので、“やればできる”という姿(背中)は見せられたかなと勝手に思っています。もともと化学は大好きだったので、挑戦する闘志、そして達成感は得られました。そのものが役に立つかどうか、後先のことを考えるよりも、何かを成し遂げるために切磋琢磨することって大切だと思います。

2024.1.19

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