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ヒヤシンス・プロジェクト no.1

ヒヤシンス・プロジェクト始動
11月3週目の金曜日、ある番組のリスナーたちがヒヤシンスの水栽培を始めた。
来春、世界中にいる彼らのもとで、一斉にヒヤシンスが花を咲かせる!

これは、毎週金曜日の夕方配信されるポットキャスト『OVER THE SUN』のプロジェクトで、私の曖昧な記憶では、番組の中でこの話題が少しづつ盛り上がり、決まったような気がする。
これを聞いた時、私の頭の中にはさまざまな場面が浮かんできた。
それは、海の見える素敵なコテージのテラスだったり、煉瓦造りの古いアパートメントの窓辺だったり、陽の当たらない狭いワンルームの片隅、例えば雑然と物が置かれたキッチンの角や、ベッドサイドの床だったりと、とにかくさまざまな場所が浮かんできた。そこには一様にヒヤシンスの水栽培が置かれていて、かたわらの彼らはどこか幸せそうな微笑みを浮かべている。
浮かんできた場面は、何時もすんなり消えていく。でもこの時は違った。
彼らと一緒に、私もヒヤシンスを育ててみたくなった。

告知されてからひと月ほど、時間があったような気がする。にもかかわらず、私はプロジェクトが開始されてからも、まだ球根が入手できていなかった。
もともと集団活動が大の苦手で、みんなで何かするような物事は何時も可能な限り避けてきた。
幸いにもこのプロジェクトはとてもゆるい。開始日が決まっていたにもかかわらず、さっさと始めている人もいた。すでに発芽している人も‥‥。MCのお二人も、別にヒヤシンスじゃないくても、チューリップでも他の花でもとか、言っていた。せっかく参加するんだしと、私はヒヤシンスの球根をネットショップで探した。
意外にも納期がかかるようだ。二週間とか‥。届いたからとすぐに始める訳にもいかないようで、球根を冷蔵庫の野菜室で一週間ほど寝かせるらしい。
もっと早く準備するべきだった。

入手先の情報は番組で発信されていた。
ホームセンターがベストのようで、おしゃれな花屋にはないらしい。
私の自宅から徒歩範囲に花屋が3軒ある。結構おしゃれで、それぞれこだわりがありそうなお花屋さんだ。
ホームセンターは少し距離があったが、屋外の広い園芸コーナーで球根を見つけてほっとした。色によって花言葉が違うようで、番組の中でも紹介してくれたけど、購入時にはすっかり忘れていた。ピンクを選んだのは、単にラベルの写真が一番まともだったからで、他にも赤、黄、白、紫があった。
全て3個入りで、3個ともが同じ色だった。他の色も混ぜてくれた方が親切な気がするが、何か理由があるのかもしれない。
帰宅後、球根を袋のまま冷蔵庫の野菜室に入れ、一週間寝かせることにした。

次に水栽培用のポットを探した。
期待したていたけれど、ホームセンターにこちらはなかったのだ。
翌日、外出のついでに雑家屋さんに寄ってみた。予想外にこれがなかなか見つからない。もう時期が遅いのかもしれない‥。
今度はネットショップが有効だった。デザインも豊富だし、納期も球根の冷蔵中に届きそうだった。球根も余分にあるので、2個セットのポットを購入した。
私の場合、水栽培より鉢植えの方がハードルが低かったと思う。
植木鉢の空きも、土やシャベルもある。ベランダが使えればの話だが‥。
自宅のある古い建物は10年に一度の大規模修繕中で、11月初旬から足場がかかっていた。工事が始まる前に管理組合の指定場所に鉢植えを含めた所有物を移動させた。足場設置中はベランダ使用不可だった。

2週間遅れて球根のお尻を水に浸す。
ようやくヒヤシンス・プロジェクトに参加できた。

2021年 12月2日 木曜日の午後

to be  continued

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