ヒヤシンス・プロジェクト　on.15

満開だった桜がどんどん散っていく。
いつもは黒いアスファルトの地面が、今日は白くなっていた。
桜並木は柔らかそうな緑の葉が付き始め、昨日とは違った景色が見える。
そろそろ衣替えかなと思いながらも、私はまだ薄手のコートが手放せないでいる。例年、5月の連休が終わる頃まで着ているような気がする。

ベランダのヒヤシンスは、主役が土植えに変わりつつある。
水栽培から土に移した球根の花は、二度目の花を終えようとしている。
葉はまだまだ元気なので、もう少しこのまま様子を見ようと思う。
二度目の花をつけたのは、一つだけだった。
当初から土に植えたヒヤシンスも、二つ同時に花を咲かせている。
最初に開いた花は後から芽吹いた方に押され、かなり傾いていた。
この花が終わったら、三つの球根を一つのプランターに集めようと思う。

最近は「OVER THE SUN」の配信で、ヒヤシンスの話題も聞かれなくなった。
でも、なんとなく今年の冬には、またこのロジェクトが復活するような気もする。この手の活動に参加するのは初めてだったけれど、思いのほか楽しかった。
私と同じように、あちこちでヒヤシンスを育てている人がいると思うと、それだけで嬉しい気持ちになった。
参加の理由は人それぞれだと思うけれど、私は助けられた。
今、あの頃を振り返ると、気分的にも低空飛行気味だったと思う。
原因不明の脚の痛みに悩まされ、とても不安な日々だった。
レントゲンを撮っても骨に異常は見られず、痛みの理由が解らなかった。
医者は脚ではなく腰だと言うけれど、腰は痛くないし…
クリニックを会社の近くに変えて、MRI検査を受け原因が判明した。
理由が解らないと、人は不安になると実感した。
週一度の通院は今も続いているけれど、治療に光が見えてきた。
仕事以外では、誰かに会いたいと思えなかった。
身体のことも、話したくなかった。
説明するのが煩わしかった。
今、こんなことを書けるのは、現状を受け入れられているからだと思う。
もう少しのあいだ、ヒヤシンスを眺めていよう。

to be  continued