好きだったこと、好きになれたこと。
忘れたくないなあ、と思う。
窓から見えた、夕方の空にかかった虹。
知らないまちで、夜のお散歩。
わたしの好きな曲に、好きかもしれないと思う曲をこっそり混ぜたプレイリスト。
エビフライのしっぽは食べる派なんだね、みたいなどうでもいいこと。
人との会話をこんなにも鮮明に覚えていたことってあっただろうか。それも結局は、たくさんした会話のほんの一部なんだけど。
「いい時間の使い方だね」なんて言われたことなかったし、「今日の選曲ずっとよかった」って実はちょっとそんなふうに思われたくて選んだものでもあったから照れたけど嬉しかった。
「だと思った」って、君から見えているわたしも、わたしの思うわたしに近いのかもとか思って、言わなかったけど嬉しかったよ。
ずっと全部、嬉しかった。
君となら、こころの内側の話をできた。
他の人には意地でも見せたくないと思うものを、なんだって全部見せたくなった。
そういう全部が嬉しかった。
忘れないよ、忘れたくないよ。
好きになれたこと。
あの人と話してるときの自分が好きだったこと。
わくわくした気持ちに包まれて、
きらきらしてて、こどもみたいで。
好きになろうとしたんじゃなくて、
好きになっていたこと。
君といるときだけは、
ちゃんと自分を好きになれたこと。
貰ったものは大きくて簡単に手離せないけど、
ずっとこのままでもいいかもとか思った。
いつか。
嬉しかったこと全部、わたしのなかに溶け込んでいくのかな。そうだといいな。
今はそんなふうに思っている。