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私の失敗談

「大人にキレイと未知を」
第3回目は、人気女性美容師さんたちの「デビューの頃の失敗談」です。
どんなに売れっ子でも、どんなに経験を積んだ人でも、「やっちゃった…!」という、思い出すだけでつらい失敗談が必ずあるはず。
失敗しちゃったそこのあなた!あなただけではないですよ!
読んでるだけでためになる、勇気が出る、元気がもらえるリアルエピソードをどうぞ。

「“パーマ失敗したな…”」

スタイリストとしてデビューしたばかりの頃は、今考えると技術が足りてなかったなと思うことがあり、特にパーマがうまくできなかった。失敗したことも何度もあります。怒られたということはないですが、自分の手ごたえでわかるんですよね。「あ、パーマ失敗したな…」と。

カウンセリングに時間がかかったりもしていました。お客様からしたら、私がデビューしたてかどうかなんて関係ないですから、それを思うと自分の実力と経験のなさを克服するため、毎日反省、毎日勉強の連続でした。

施術に入る前、先輩に「こういうお客様なんですけど、どうしたらいいですか?」と聞いたり、あとから「もっとこうしたほうがよかったんじゃない?」とアドバイスをもらったりする日々が続きましたが、すごくかわいくできた時は、「ナイスパーマ!」「ナイスカラー!」と先輩が声をかけてくれて。自分の仕事を見ていてくれる人がいるのは本当にありがたいことだなと思いました。

今では、求められた施術ができるかできないか、明確にわかるようになったのでできないことはできない理由をしっかり伝え、できる内容についても「こういう薬を使います」と事前に説明し、理解して納得してもらうことができるようになりました。でも、最初の頃はそれがわからなかったんですよね。

最近は、デビューしたてのスタッフをそっと見ていてあげる立場になりました。「さっきのお客様、よかったね!」って、結構言ってます。失敗したり、褒められたりすることで、美容師として成長できるのではないかと感じています。


「カットに時間がかかりすぎた」

怖くてバッサリとは切れなかったです。スタイリストになった当初は、ボブはどうですか?って言ったり。自信がなくて、勧められませんでした。人を感じることができない仕事ばかりで…。

あと、カットに時間がかかり過ぎていました。お客様1人だけで、どれくらい時間がかかっているのか、周りの状況がどれだけ変わっているのかもわからなくなっていました。

そうしたら先輩から「遅い仕事で良い仕事はない」という言葉をいただきました。早くて良い仕事が、本当に良い仕事なのだと。「時間をかけることが良い仕事」だと思っていたデビュー当時の私は、お客様の退屈そうな顔にも気がつかないくらい、視野が狭い仕事で、当然、それが原因でお客様が付かなかった時期がありました。そんな私にアドバイスしてくださる師匠や先輩の言葉を「怒られている」と受け取っていたら、成長はなかったと思います。

アシスタント時代はたくさん失敗しました(笑)。色々ありましたが、その経験をさせてくれた先輩がいて、「その失敗を失敗で終わらせるな」と言ってくださったことを、今もとてもよく覚えています。上手く切れなかったな…と思うことも凡ミスも、次までその悔しさを覚えているかどうかが、自分を成長させる「鍵」だと思っています!


「慣れてきた頃が、危ない!」

デビューして少したち、忙しくなってきた頃のことでした。薬剤の準備をアシスタントにやってもらっていた時、私が依頼した薬剤とは違う薬剤だったことがありました。ファッションカラーのはずが、グレイカラーだったんです。

塗っている途中で気がついて、すぐ流し、そのお客様にもご説明して丁寧に謝罪し、お時間は大丈夫ですか?と確認してやり直させていただきました。結果的に大事件にまではなりませんでしたが、冷や汗をかきましたね。

また、こんな事もありました。原宿店から銀座店に異動になってしばらくして、後輩スタッフのお客様をそのスタッフが不在の時に、たまたま私が担当させていただいたことがありました。すると、カットがイマイチというか、もっと切りたかったらしく、後日、お直しで再来店されていました。

私はその日、そのお客様が再来店されているのを知らず(その後輩スタッフが私に気を遣って言わなかったのだと思いますが)、まさに施術中のタイミングで別の用事でその後輩スタッフに声をかけたのですが、その時、うっかり、そのお客様だとは気づきませんでした。

すると「あなたが切ったのを直しに来ているのに、なんのひと言もないんですか」と言われました。確かに、そのお客様からしたら、そうですよね。銀座のお客様は、高いレベルでの接客やマナー、ルールの中でお仕事をされている方が多いですから、細心の注意を払うべきでした。

銀座店に異動したての頃は、銀座という街を意識して気をつけていたのですが、慣れてきた頃が危ない。慣れてきた時にまさに、この事が起こりました。いつも気を緩めることなく、緊張感を持って臨まないと、ですね。


「リピートしなかった、あるお客様」

デビューしてすぐの頃、フリー(指名なしで来た)のお客様に入らせてもらったのですが、彼は地方からわざわざ表参道のサロンに初めて来て、来月から大学生になる、とのことでした。「東京のサロンに来たから、おしゃれな髪型にしたい!」ということで、タレントのロバートの馬場さんみたいに、全頭を緑色にしたい、とリクエストされました。

正直、私は戸惑いました。全頭を緑にするのは似合わないと思ったこと、アトピーでお肌が弱そうな方だったので、全頭をブリーチしたくなかったこと、アトピーのためか、お顔の赤味が強かったので、余計に緑が合わないと思ったこと、など、様々なことを考えた上、全頭ではなくポイントで緑を入れることを提案しました。

彼は仕上がりとしては満足してくれた風だったのですが、その日、オーナーに「なんで彼の髪を全部緑にしなかったんだ」と言われました。その結論に至った事情は説明したのですが、「それはお前の都合じゃないか」と。彼は緑にしたいと思ってテンションを上げて来ているのだから、あの時、お前に緑を否定されてテンションが下がったはずだし、満足もしてないぞと。似合う似合わないじゃなく、彼は緑にしたかった。そういう時は、やりたいようにやってあげないと、と。

それをオーナーに言われた時、悔しくて号泣しました。その時は、それでも私のほうが正しいと思いましたが、実際、彼はリピートしませんでした。自分としてはお肌のことも考えた上で、信念を持って選んだ施術でしたが、彼には求められていないことだった。もし、あの時、彼のリクエスト通りに全頭を緑にしていたら、「やってみたけど、微妙でしたね」となった時、リピートしてくれたはずだと思うんです。

それ以来、スタイリストとして色々なお客様に接していく中で、あの時、オーナーに言われたことは正しかった、と痛感しています。お客様の要望通りにするのがいいのか、よりよい提案をするほうがいいのかは、そのお客様の年代や職業などにもよると思いますが、どういう心境でサロンに来ているのかをよく考えないといけません。

リピート率は数字でチェックできますが、施術が終わった直後の満足度は、その時のお客様の顔を見ないとわかりません。3カ月もすると、オーナーの言葉が心に染みて、素直な気持ちになれました。


「怒りの電話を30分聞く日々」

SNSでの集客が中心になっている今、デビューしたての私は、今振り返れば技術がまだ完璧とはいえない状態であったにも関わらず、ネットからお客様がどんどん入ってきて増えていく中で、どこかで油断をしていたのだと思います。

希望していた髪型が叶えられなかった時、短くしすぎてしまった時など、クレームをもらったことが3回くらいありました。中でも、毎日、1週間くらい続けてお店に怒りの電話がかかってきて、お客様を待たせてでもその電話を30分くらいは聞かないといけなかった、という出来事があったことは、今でもよく覚えています。

そのお客様は妊娠中で気持ちが不安定だったとはいえ、一度切ったら伸びるまで取り戻せないのだ、ということの重大さに気づかされました。今思えば、お客様の顔色が明らかにおかしかったですし、自分でも自覚はありました。

世の中にはたくさんの髪型があふれていますし、同じ髪型でもレベルが高くないと目に留まりません。髪質や似合わせをよく考え、言葉で説得していく力と技術を身に付けないと、すごく危険なことだと思いました。当時の私は、「わかった風」でした。

女性は、ちょっとの違いでも、大きく気分が変わってしまうものです。特に前髪は、mm単位で気にしています。そこは本当に大事にしています。

ライター 森永泰恵

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