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Fotorevista

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写真とフォトストーリーを集めたマガジンです。 #写真 #フォトストーリー
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写真を写心と言い換えるのは反知性的と思うのだ

 写真を写心と言い換えて悦に入る写真愛好者は少なくない。  それどころか、自ら【写心家】と名乗る人物も複数存在している。  なぜ、わざわざそんなダジャレみたいな言い換えをするのかといえば、写真に心を写すから写心、なのだそうだ。  写真に心が写るかどうかはさて置くとしても、写真に心が写っているかどうかを感じ、判断するのはあくまでも写真を見るニンゲンであって、まかり間違っても撮影者が自分から言うものではない。  だが、この言葉は実に広く使われていて、また人々の興味を惹いているのは

おじさんポトレって【写真館の肖像写真】なんだろうなぁ……

いわゆる被写体界隈で【おじさんポトレ】ってミームがあって、まぁ嫌われてますね。使われ方も、ほぼほぼ罵倒語です。で、おじさんポトレを簡単に説明すると記念写真で、カメラマンが言うところのニコパチです。それは、以下の記事で【よい写真】として紹介されてるようなポートレートなんですわ……。 ねんのため申し上げておきますが、記事に他意はありません。むしろ、すごくよくできた記事です。営業写真館的なポートレート、はっきり言って【お客様が喜んでお金を払いたくなるようなポートレート】を撮るなら

困りごとの相談に乗じ、アドバイスのフリして困ってる人を傷つける人間のクズと、それを回避しようと斜め上の対策を講じるあかん人の話

困りごとの相談に乗じ、アドバイスのフリして困ってる人を傷つける人間のクズ タイトル出落ちもいいところだけど、実際にそういう人っていっぱいいるよね。実は、今朝もスレッズで見かけて、自分もダメージ受けた……。 たとえば「外食でオーダー漏れが多い、どうしたらいいんだろう?」みたいな困りごとをSNSにポストしたら、フォロー外からリプライで…… 困ってる人が「別にチェーンの居酒屋とかの話ししてないんですけど」って返したら、今度は……。 みたいに重ねられ、困ってる人は心が折れてし

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SAITAMA RUNWAY2024 みてきた話

ランウェイ撮影のまとめ基本的にライブやステージ撮影と同じ要領 照明がバッチリ当たるので絞っても大丈夫 むしろ絞って全身のファッションを撮ろう 会場見取り図は絶対に事前チェックしよう 最低200mmできれば300mmの望遠が必要 モデルさんはセンターで止まりポーズ取る マニュアルでもなんとかなるので頑張ろう モデルさんの出場順はできるだけ把握する SAITAMA RUNWAY 2024 という、ファッション系オーディションイベントがありまして、撮影させていただい

個撮百景 Portfolio of a Dirty Old Man第8話:質と量のあいだに

 三脚のアイコンがあるとすれば、まさにそれだろうというシルエットの上に、これまた絵に描いたような蛇腹カメラが乗っかっていて、俺は戯画化された写真家のようにかがみながら、ピントグラスをのぞいている。格子の入ったすりガラスには、裸の女が逆さまに映し出されていた。窓から差し込む光が、スリムに引き締まった女の肌へ、曖昧な陰を落とす。俺はルーペが拡大した肌の明暗境界線にピントを合わせ、慎重にレンズボードを固定する。  こういう撮影だと、オートフォーカスは、まぁ当てにならない。だから、凹

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再生

映画『おしゃべりな写真館』予告編

まぁ、いわゆる『えぇはなし』をかき集めて煮詰めたような作品みたいですね。その点では『零戦えぇ話集』だった「永遠の0」みたいな感じにヒットするかも知れないですよ。意外とw ただ、登場するカメラは丁寧に選ばれてるようで、主人公の現用機がニコン、写真館に残されていたカメラがペンタックスに東京光学と、おそらくトヨビューの旧型とか、奇をてらわないリアリティ、真面目さを感じます。 言っちゃなんだけど、わかってない人はライカにハッセル、リンホフで固めちゃうと思うんですよね。 というわけで、カメラに興味を感じる人も、配信かなんか始まったらチェックしていいんじゃないでしょうか? 作品情報 あらすじ 北海道河東郡にある鹿追町を舞台にしたドラマ。目を患ったフォトグラファーが、亡くなった義父から写真館を継いだことをきっかけに、義父が計画するも実現できなかった写真集の制作に挑む。監督はドラマ「最強のふたり~京都府警 特別捜査班~」などの藤嘉行。藤監督作『明日へ -戦争は罪悪である-』などの中原丈雄、『星屑の町』などの小宮孝泰、『月の道』などの中川和恵のほか、山木雪羽那、賀来千香子、橋爪功らが出演する。 配給 シネメディア 公開予定日 2024年10月11日

個撮百景 Portfolio of a Dirty Old Man第7話:虚構と現実のあいだに

 食器を洗ってインスタントコーヒーを用意し、パソコンを立ち上げる。半月ほど前はここからソーシャルメディアの泥沼に首まで、いや鼻先だけ残してほぼ全身つかっていた。だが、先月末にアカウント削除宣言を投稿して以来、タイムラインはみなくなってる。とはいえ、みないのは本当にタイムラインだけで、毎日アカウントにはログインするし、リプライやメンション、メッセージなどはチェックするのだけど。  まぁ、みっともないと、自分でも思う。  とはいえ、これしか連絡手段がない人たちについては、最後の最

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八月十五日午後

ミストの夏

ミステリアスな2本のゾナー 戦前と戦中のオールドレンズ

ごく簡単なゾナーの説明ゾナーとはレンズの構成型につけられた名前です。子供番組の怪人ではありません。 画像撮影用レンズは、複数のレンズで構成されていて、それぞれの型式を構成型と呼びます。 ゾナーとはツァイスのベルテレという設計者が開発した構成型で、詳細については以下のwikiを参照してください。 ここで重要なのはゾナーはツァイスのレンズで、当時(いや、いまも?)ライバル関係にあったライカには供給されなかったことです。ところが、なにごとにも例外はありまして、さまざまな要因からラ

思い出のSONY α100を、他のカメラと比べてみたよ

手元にある現役デジカメの最古参はSONYのα100ですけど、特性を踏まえて処理すれば味わい深いシャシンになるから、けっこう気に入っています。 カメラの説明はメーカーサイトを参照してね。 このα100は2006年に発売されたカメラで、ソニーがはじめて送り出したデジタル一眼レフとして、大変話題になったモデルです。 撮像素子はAPS-Cサイズです。当時、すでにキヤノンからEOS-5Dというフルサイズ機も登場していましたが、市場ではまだまだAPS-Cサイズが主流でした。撮像素子の

個撮百景 Portfolio of a Dirty Old Man第6話:本番とリハのあいだに

あらすじ  主人公の【俺】は、都会の片隅に暮らす写真撮影が趣味の中年男。夕暮れ時、思うような写真が撮れないところへSNSに溢れる浅薄なカタカナ言葉を思い出し、苛立ってしまう。今日こそアカウントを削除しようと決意したものの、以前に撮影した地下アイドルから撮影依頼メッセージを受信し、決意も吹き飛んでしまう。いかし、彼女がブログで取り上げた写真という言葉に拒絶反応を起こし、依頼を断ろうかと悩む。口実を探そうと、地下アイドルのメッセージを丁寧に読んで自らの大人気なさに思い至り、撮影を

ポートフォリオレビュー/アワード 2023 Vol.2 松永 誠「I surrender」 (推薦写真家:中藤毅彦)を鑑賞しました

富士フイルムが45歳以下の若手写真家応援プロジェクトとして運営する「ポートフォリオレビュー/アワード」を鑑賞しました。 個人的にVol.3 minachom「短パン男」 (推薦写真家:浅田政志)とVol.4 茂木智行「Scratched Moments」 (推薦写真家:GOTO AKI)から強い印象を受けました。 その他Vol.1 加藤 卓「土と太陽」 (推薦写真家:野村恵子)もよくて、非常に見応えのある展示でした。 そういった力作の中でもVol.2 松永 誠「I surr

松原 徹写真展「夢の夢」を観てきました

新宿の自主ギャラリー「プレイスM」にて、松原徹「夢の夢」を観てきました。 残念ながら、会期は昨日までだったのですけど、実に素晴らしい展示でした。ギャラリーの展示案内にも作品が紹介されていますけど、どことなく不穏で気味の悪い写真ですが、同時に魅力的で惹きつけられるなにかを感じました。 作家氏ともお話したのですけど、あの技法でこれほどまでに内省的な作品が生み出せるとは思っていなかったし、またあの撮影地でこれほど超現実的な写真が創り出せるとも思っていなかったので、その点でも深い衝