音楽を仕事にするということ

※大学の期末レポートでで書いたものが、思いのほか楽しかったので載せます。あんまり真剣に読まないでください。かなり矛盾があります。出せば単位くれるって言われたんだもん。

 現代の人々において、「音楽」は日々の娯楽として欠かせないものとなっている。最近では特に、SNSや音楽配信サービスの普及により、多くの音楽が毎日のように生み出され、世の中に発信されている。しかしそれは言い換えると、音楽を世の中に発信することのハードルは低くなったが、ライバルは以前の何倍も多くなり、「音楽を仕事にする」ということ自体のハードルは上がってしまっていることになる。音楽を仕事にする上での「ゴール」は様々であり、音楽をすること自体がゴールであるというのも間違ってはいないし、事務所に所属する、メジャーデビューする、アニメやドラマ、映画の主題歌を務めることがゴールであってもよい。そのような環境の中で、夢を追うバンドマンたちにとって、音楽を仕事にするということは、シリアスレジャーよりももっと大きくて重たいものであり、シリアスレジャーのその先にある何かを見つけることであると考える。
 まず、音楽の世界におけるシリアスレジャーとは何かを、カジュアルレジャーと比べて考えていきたいと思う。カジュアルレジャーとしての音楽は、多くの人が「趣味」として挙げる音楽に近いものである。例として、音楽を聴くことやライブに行くことが好きであったり、楽器を弾いていたりすることが挙げられる。対して、シリアスレジャーとしての音楽は、「研究する」ということが必要であると考える。他のアーティストが作る音楽の研究、曲作りの研究、楽器の演奏の研究など、趣味よりもっと深く、時間をかけて考えたり練習したりする。どちらも音楽を好きであるということに変わりはないが、音楽にかける時間と労力こそが、音楽におけるカジュアルレジャーとシリアスレジャーの違いであると考える。
次に、音楽を仕事にする人々とシリアスレジャーとの関わりについて考えていきたい。音楽に限らず、趣味を仕事にしている人は多くいるが、中でも音楽は、多くの時間を必要とし、継続や真剣さが顕著に表れるように感じる。先にも述べたように、音楽を仕事のする場合、他の音楽を研究したり、楽器の練習や楽曲づくりなど、音楽に対して時間を多く費やす。またどれも、三日坊主では上達しない。そこからさらに、「仕事」に繋げるためには、自分たちの表現した作品を、人に認められなければ意味を成さない。発信した音楽を聴いてくれる人、ライブに来てくれる人、CDを買ってくれる人がいなければ、仕事として成り立たない。自分たちの中だけで完結した音楽を、人に聴いてもらった先からが、スタートであると言える。もう一つの大きな違いは、「仲間」の存在である。バンドにとってメンバーとは、欠かせない存在であることに加え、完全に一致することのない、各々の音楽の趣味や嗜好を考慮しつつ、それぞれが最高のポイントで中和する音楽をつくりあげていくという、少し複雑な形の仲間であり、信頼だけではなく、音楽に対する真剣度や知識、経験が求められる。そこには一緒にいる年数や時間は関係ないと言えるだろう。個々の意見を取り入れながら、「個人」ではなく、「バンド」としての存在価値を高めていくことが必要であり、他の仕事とは異なる点であると考える。このように、音楽を仕事にするということは、趣味の域から外れた、もっと真剣で大きな感情を持ったものであると考える。
 しかし、音楽とシリアスレジャーは全く関係のないものではなく、シリアスレジャーを経て、音楽が仕事となっていくように感じる。アーティストの作る音楽が、シリアスレジャーを超える大きな要因は、関わっていく人間が、音楽を作る「自分たち」だけではなく、音楽を聴く「他人」の存在であると思う。自分たちの中でシリアスレジャーとしてとどまっていたものを、世の中に出すことで、その音楽は自分たちだけのものではなくなる。「聴きたい人」が現れることで初めて、「音楽」は「仕事」になると考える。「仕事」というからには、お金を稼ぐことが必要であるが、最も重要なのはそこではないように思う。音楽を仕事にするという決断は決して軽いものではない。アーティスト一人ひとりの覚悟と努力が、シリアスレジャーを超え、「仕事」と成っていく。
 カジュアルレジャー、シリアスレジャー、仕事、すべてにおいて意味は変わってくるが、しっかりとした基準があるわけでもないし、線引きがあるわけでもない。自分にあった音楽との向き合い方を見つけ、その実現に向けて時間をかけていくことが、音楽におけるレジャーではないかと考える。音楽を仕事にするということは、シリアスレジャーを超えた、他人とのつながりでできているということ、多くの時間と労力をかけて成り立っているということであると感じた。

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