みつはしみなこ

絵本作家・俳優・語りべとして活動。絵本「まんまるこころ」(ダイヤモンド社)ほか。出演映…

みつはしみなこ

絵本作家・俳優・語りべとして活動。絵本「まんまるこころ」(ダイヤモンド社)ほか。出演映画「東京夜曲」「ドッグス」「東京日和」「白痴」ほか。津軽ことばや方言で青森県・東北地方の民話、絵本の公演など、さまざまな語りの公演を続けている。保育士の資格を持つ。新聞で随筆と挿絵の連載がある。

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実家の猫

 8月のある日。東京に戻って荷ほどきをしていると、猫の毛がどの荷物にもくっついている。昨年末に実家にやって来た飼い猫の毛だと気づく。    先月の帰省で、どうし…

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過ぎし日、小さなこどもたちと出かけたお散歩コースに新幹線が運がよければ交差する瞬間が眺められる橋があった。図鑑で見るドクターイエローはヒーローみたいな存在で、連結おもちゃはいつも取合いになる。ニュースで引退を知って、新幹線がやって来たときのこどもたちの歓声や興奮した顔が浮かんだ。

青海波の柄は、安寧な暮らしがつづくようにの意味がある吉祥模様。納豆ごはんが食べたい‥と見たら思った大型スーパーで見切り品だったごはん茶碗。懐かしく無骨な感じがして気に入る。玄米ごはんに塩だけ入れてかき混ぜた納豆ごはんを朝によく食べる。使ったら少し大ぶりだったが、それもまたよし。

6月下旬に公開予定の映画、観たくて覚え書き。厳格で嫌われ者の教師、母に邪魔者扱いされている生徒、ベトナム戦争で一人息子を亡くしたばかりの料理長、それぞれが問題を抱え孤独で帰る場所がない。 そんな三人が高校の寮でクリスマス休暇を一緒に過ごすことに‥。予告編を観たら観たくなった映画。

熱中症対策に白いピケ帽を選ぶ。無意識だったが小津監督のピケ帽に似ている。小津安二郎の映画は、銀座にあった並木座で観た。若い頃、鎌倉へお墓参りに出かけた。質樸な石に“無”と彫ってある。先にいらした白髪でジーンズのよく似合う男性は小津組の方だった。缶ビールを墓前で静かに飲まれていた。

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漫画家の赤塚不二夫氏が飼っていた猫が、自分をもはや人間と感じているのではないかと思うポーズで寝たりくつろいでいる写真を見たことが昔にある。実家の猫が、たま〜にやって来る人間に気を許しすぎて、ものすごい格好で目の前でくつろいでいる。安心してくれるのはうれしいが、いつも吹いてしまう。

15

先月は肉体労働にいそしむ帰省だった。炊事当番なので、育ち盛りの中学生が好きそうなメニューを意識して作った。がっつり飯を作りながら、自分の好物ばかりだと気づく。ドライカレーと牛丼の甥の食いっぷりが気持ちよく、数日の間に二度ずつ作った。米が進むおかず好きの共通点を見つけ、密かに喜ぶ。

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石ころに続き、かごの聖地が故郷の辺りだと記事を読んで知る。かご好きは、幼い頃から道具としてのかごが身の回りに溢れていたからかもと、文を書いている途中‥。実家の江戸か明治の頃の農機具や馬具や編笠などをしまっている真っ暗な納屋を一人で片付けたときに見つけた網の補修用の糸が入った木箱。

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ある日、朝食はパンケーキにしようと約束してたくさん焼いた。うれしかったのか甥と姪は5枚と4枚を皿に乗せた。バターを塗り好きなシロップをかけて食べ始める。食べれると思った量より1枚ずつ残したねと甥が言った。残りの粉で、翌日はおやつに小さくたくさん焼いておいた。迷わず5枚皿に乗せた。

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じゃがいもの天ぷら

 先日、野菜があったので夕飯に天ぷらを揚げた。じゃがいもとアスパラガスとしいたけの天ぷらと、玉ねぎとにんじんと三つ葉と干しえびでかき揚げにした。  天ぷらを揚げ…

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くらもちふさこさんの漫画で、外にいる猫が気持ちよさそうに寝ている場所の下に水脈があると知った。過日、実家で昼寝していると、枕の上の少しのすき間でねこも昼寝するようになった。起こさないようそっと起きるが、どうやら一緒に昼寝したいらしい。この世の平和で“ねこと昼寝”は至極。ピンぼけ‥

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実家と思ったら、同じ地域で見学が出来る家だった。姿が似てる。昔ばなしに出てきそうな実家だが好きだ。何百年も経って土台が朽ちて、茅葺きも暴風雨で茅が飛ばされたり雪の重みで形が変化する。葺き替えるとなると職人を他県に頼み費用がもの凄い。建物がよい形で残ってほしいと考えると心がゆらぐ。

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焼きドーナツ

 気に入っておやつに袋買いをしていた某パンメーカーのたくさん入っている揚げないドーナツが全てのお店から無くなった。入荷すると割とすぐに売り切れるので、自分以外に…

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今朝の夢、覚え書き。白い壁の1Rマンションのような部屋に大中小の大きさで色とりどりのたくさんの亀と自分がいる。床に亀がいると端で立っているしかない。亀は壁や天井のそれぞれの場所に自由に移動してゆったりしている。床が空いて座れた。さて、この亀は何を食べるかなとエサのことを考えて‥。

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石ころ

 こどもの頃、歩き遠足は近くの海だった。小学生の頃はクラスでも身体が小さいほうだったので、海までの砂地の道は歩きづらく、歩いても歩いても目的地に着かなくて途中で…

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インド綿のブラウス

 この2日間、気温25度で汗ばむ一日だった。4月に7月の暑さだとテレビのニュース番組で話していて、去年の猛暑というか酷暑が思い出された。  去年の東京は141日…

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実家の猫

実家の猫

 8月のある日。東京に戻って荷ほどきをしていると、猫の毛がどの荷物にもくっついている。昨年末に実家にやって来た飼い猫の毛だと気づく。  
 先月の帰省で、どうしたものか自分の旅行カバンがお気に入りの場所になり、開いた状態のカバンの中に鎮座し、荷物の匂いを嗅いだりかじったり、爪でガリガリ爪研ぎしたり、くつ下を丸めて作ったボールをコロンコロンと転がして遊んだり、脱いだ裏返しの片方のくつ下を嗅いだり、で

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過ぎし日、小さなこどもたちと出かけたお散歩コースに新幹線が運がよければ交差する瞬間が眺められる橋があった。図鑑で見るドクターイエローはヒーローみたいな存在で、連結おもちゃはいつも取合いになる。ニュースで引退を知って、新幹線がやって来たときのこどもたちの歓声や興奮した顔が浮かんだ。

青海波の柄は、安寧な暮らしがつづくようにの意味がある吉祥模様。納豆ごはんが食べたい‥と見たら思った大型スーパーで見切り品だったごはん茶碗。懐かしく無骨な感じがして気に入る。玄米ごはんに塩だけ入れてかき混ぜた納豆ごはんを朝によく食べる。使ったら少し大ぶりだったが、それもまたよし。

6月下旬に公開予定の映画、観たくて覚え書き。厳格で嫌われ者の教師、母に邪魔者扱いされている生徒、ベトナム戦争で一人息子を亡くしたばかりの料理長、それぞれが問題を抱え孤独で帰る場所がない。 そんな三人が高校の寮でクリスマス休暇を一緒に過ごすことに‥。予告編を観たら観たくなった映画。

熱中症対策に白いピケ帽を選ぶ。無意識だったが小津監督のピケ帽に似ている。小津安二郎の映画は、銀座にあった並木座で観た。若い頃、鎌倉へお墓参りに出かけた。質樸な石に“無”と彫ってある。先にいらした白髪でジーンズのよく似合う男性は小津組の方だった。缶ビールを墓前で静かに飲まれていた。

漫画家の赤塚不二夫氏が飼っていた猫が、自分をもはや人間と感じているのではないかと思うポーズで寝たりくつろいでいる写真を見たことが昔にある。実家の猫が、たま〜にやって来る人間に気を許しすぎて、ものすごい格好で目の前でくつろいでいる。安心してくれるのはうれしいが、いつも吹いてしまう。

先月は肉体労働にいそしむ帰省だった。炊事当番なので、育ち盛りの中学生が好きそうなメニューを意識して作った。がっつり飯を作りながら、自分の好物ばかりだと気づく。ドライカレーと牛丼の甥の食いっぷりが気持ちよく、数日の間に二度ずつ作った。米が進むおかず好きの共通点を見つけ、密かに喜ぶ。

石ころに続き、かごの聖地が故郷の辺りだと記事を読んで知る。かご好きは、幼い頃から道具としてのかごが身の回りに溢れていたからかもと、文を書いている途中‥。実家の江戸か明治の頃の農機具や馬具や編笠などをしまっている真っ暗な納屋を一人で片付けたときに見つけた網の補修用の糸が入った木箱。

ある日、朝食はパンケーキにしようと約束してたくさん焼いた。うれしかったのか甥と姪は5枚と4枚を皿に乗せた。バターを塗り好きなシロップをかけて食べ始める。食べれると思った量より1枚ずつ残したねと甥が言った。残りの粉で、翌日はおやつに小さくたくさん焼いておいた。迷わず5枚皿に乗せた。

じゃがいもの天ぷら

じゃがいもの天ぷら

 先日、野菜があったので夕飯に天ぷらを揚げた。じゃがいもとアスパラガスとしいたけの天ぷらと、玉ねぎとにんじんと三つ葉と干しえびでかき揚げにした。
 天ぷらを揚げていると、家に残っている食材をいろいろと揚げたくなる。揚げていると水分が出る食材は油がバチッとはねるので天ぷらに向いた食材を探す。
 新しょうがが残っていたので千切りにしてかき揚げにしようかと思ったり、さつまいもの天ぷらにしょうゆをぼたぼた

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くらもちふさこさんの漫画で、外にいる猫が気持ちよさそうに寝ている場所の下に水脈があると知った。過日、実家で昼寝していると、枕の上の少しのすき間でねこも昼寝するようになった。起こさないようそっと起きるが、どうやら一緒に昼寝したいらしい。この世の平和で“ねこと昼寝”は至極。ピンぼけ‥

実家と思ったら、同じ地域で見学が出来る家だった。姿が似てる。昔ばなしに出てきそうな実家だが好きだ。何百年も経って土台が朽ちて、茅葺きも暴風雨で茅が飛ばされたり雪の重みで形が変化する。葺き替えるとなると職人を他県に頼み費用がもの凄い。建物がよい形で残ってほしいと考えると心がゆらぐ。

焼きドーナツ

焼きドーナツ

 気に入っておやつに袋買いをしていた某パンメーカーのたくさん入っている揚げないドーナツが全てのお店から無くなった。入荷すると割とすぐに売り切れるので、自分以外にも購入していた人がいたはずだ。
 粉もんの食べものが大好きだけれど、毎年受けている検診が近いので控えている。2、3ヶ月では付け焼き刃かもしれないが、ふだんより意識して控えているだけで、体重もいくらか減ってからだが軽くなった気がしている。
 

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今朝の夢、覚え書き。白い壁の1Rマンションのような部屋に大中小の大きさで色とりどりのたくさんの亀と自分がいる。床に亀がいると端で立っているしかない。亀は壁や天井のそれぞれの場所に自由に移動してゆったりしている。床が空いて座れた。さて、この亀は何を食べるかなとエサのことを考えて‥。

石ころ

石ころ

 こどもの頃、歩き遠足は近くの海だった。小学生の頃はクラスでも身体が小さいほうだったので、海までの砂地の道は歩きづらく、歩いても歩いても目的地に着かなくて途中で泣きたくなった思い出がある。
 日本海と陸奥湾と太平洋に囲まれた故郷の海は大間産のマグロでもよく知られているが、雪国で厳しい冬ではあるけれど寒いからこそ身が締まり油の乗ったおいしい魚が育ち、海の幸に恵まれている。
 成人を迎えた頃、帰省する

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インド綿のブラウス

インド綿のブラウス

 この2日間、気温25度で汗ばむ一日だった。4月に7月の暑さだとテレビのニュース番組で話していて、去年の猛暑というか酷暑が思い出された。
 去年の東京は141日も続く夏日だった。梅雨らしい梅雨もなく夏が始まり、9月も夏のように暑いままで、もしかして10月もこのまま暑かったらどうしよう‥と思ったら急に秋になった。
 余談ながら、大好きな作家の庄野潤三さんに「インド綿の服」という作品がある。足柄山に家

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