見出し画像

サブカル大蔵経953『KAMINOGE』119.120.121.122(玄文社)

「KAMINOGE」も120号で丸10年!

おめでとうございます。すごい!

私がこの10年間唯一買い続けた雑誌です。

井上崇宏編集長の特筆すべきすごさを誰かもっと評価してほしい。

意地でも毎月出すスケジューリング。

数号にわたり引き出した上で同じ号に因縁の仲をマッチメイクする忍耐力と構成力。

フットワークの軽さと絶妙な距離感の聞く力。

山口日昇、フミ・サイトー、ターザンにきちんと場を与える任侠力。

レイアウトやデザインのオシャレ力。

ガンツ&マッスル坂井の支えもすごいというか美しい。

プチ鹿島も古泉(吉泉)さんもバAさんも同時代の語り手として最高すぎます。

ブッキングするゲストたちもハズレなし。

九龍ジョーの離脱だけが残念。

いつかぜひ九龍ジョー、井上さん、マッスルさんを第2号以来出ていない吉田豪さんにインタビューか鼎談して欲しい。

画像2

【119号】

ところでさ、リングを降りてからプロレスを語ると消えていくよ?(長州力)p.033

 長州の言語感覚、もはや教科書レベル。

俺たちは竹内さんの手のひらの上にいたんだって思うと、やっぱりプロレス界は奥が深いなって思うよ。(玉袋筋太郎)p.102

 本書での玉袋の言語受身返しも際立つ。

画像3

【120号】

いまのレスラーはあまりにもプロレスをかぶりすぎちゃっている。(長州力)p.073

 珍しく今のプロレスラーに触る長州。私は僧侶ですが、僧侶をかぶりすぎてないか。と自問自答しました。KAMINOGEもかぶってないか?という長州のゲキかも。

だからマッチメイクして生きてるんだよ。(長州力)p.084

 ここまで長州が語ってくれたことに、逆に井上崇宏編集長の凄みを感じました。

国際はいまの総合格闘技みたいな練習をみんなやっていたんだな。(玉袋筋太郎)p.111

 影響受けて私も最近国際を見てます!小林への女子の歓声がすごかった。この高杉ゲストの座談会で初めて草津への評価が上がったのが良かったというか感慨深い。

馳浩にプロレスを教わった世代は、みんな受験型プロレスですよ。(ターザン山本!)p.162

 長年私も友人と語っていた馳浩元凶説。馳が分岐点になっているのを猪木もわかってたんだ…。ターザンの言うようにある意味おそるべし馳。知事選の結果でプロレス界との関わりどうなるか。

思想のない人間だから足4の字で勝てるんですよ。(ターザン山本!)p.164

 武藤の無思想ゆえの思想が開花。

画像1

【121号】

カブキ、毒蝮、ヒロト、中嶋、読み応えあり!もう哲学書、社会学のテキストです。

だから夢を叶えたからって幸せになるかどうかは知らない。幸せになるなんて一言も言ってない。(甲本ヒロト)p.26

 夢と幸せは違う…。

とにかくプロレスと歌舞伎って似ているんですよねえ。(中村獅童)p.46

 大河の演技にもカブキイズムを感じる。

あれは大森だよな?p.62

反則はするけど、カウントオーバーはしない。p.66

徳光(和夫)さんが水道橋(博士)に乗せられて、えらい目にあったろ?p.74

毒蝮三太夫の現役感すごすぎる!永久保存版のやりとり。玉袋相手にもぶっこんだのには毒蝮プロレスの一端を垣間見ました!

画像4

【122号】

だからボクらはみんなから「うーん…。なんかモヤモヤするなあ…」みたいな存在じゃないとダメだも思うんですよ。(渡辺隆)p.027

 渡辺隆の自己分析はすごい。ちょっと頭ひとつ抜けてるかも。

混血ばっかだよ。でも血が混じってたほうが強いんだよ。(武藤敬司)p.070

 プロレス団体の歴史を俯瞰する武藤。新日出身で純粋を良しとしない感覚に驚く。

きっとオカダよりもそっちとやったほうが勉強になるよ(笑)。(武藤敬司)p.074

 藤田や船木ら純プロ以外のレスラーとの闘いの方が経験値を高めるという武藤のノア選手へのアドバイスが一番のプロレス。

(急に小声で)最高のプロレスですよ…。(ターザン山本!)p.160

 異分子としての長州、前田、天龍、ターザンという補助線の画期的さ。ターザンの言語活動は、井上崇宏編集長を相手にした現在のこの喫茶店トークが最盛期なのではと思います。今は亡き「週刊ファイト」井上義啓編集長の喫茶店トークの亡霊を、『KAMINOGE』井上崇宏編集長が「週刊プロレス」編集長ターザン山本を通して昇華させているという歴代の編集長の活字プロレスの魂の遍歴を受け継いでいるような矜持を感じます。そして聞き手って大事なんだなあとあらためて思いました。


この記事が参加している募集

読書感想文

本を買って読みます。