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サブカル大蔵経812岡崎守恭『自民党秘史』(講談社現代新書)

政治というと、政治家の生臭いイメージがありますが、三人寄れば政治が始まる、とも言え、実は身近な私事の現象だと思います。だから、政治家のエピソード、特に一昔前の魑魅魍魎の世界は興味深いです。

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本書は、さいとう・たかをの漫画『大宰相』を補完するように興味深く読めました。

昔の自民党内は、派閥が政党なんだなと。
今も久しぶりそのような気配が。

河野洋平さんが、「河野だけはダメだ」と今の太郎さんと親子して同じこと言われていたりして、これが自民党物語の鉄板伝統なのか?と確認できたり、今こそ読むべきエピソードが散りばめられています。

さらに、ネアカの竹下、酒癖の悪い宮澤、角栄に怒鳴られる渡部など、キャラクターの宝庫。

金丸ー田辺ラインの党派を超えた自民・社会コンビが絵を描く黒幕だった凄みも。

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悔しさを噛み締めながらも、中曽根氏はこれで親密ではなかった田中六助の力量を十二分に知る。昨日の敵は今日の友を地で行って、やがて六助氏が最強の防波堤となって中曽根政権を支えることになるとは、この時は誰も思いも寄らなかった。p.19

 昨日の敵が今日の友というプロレス的展開がたまりません。プロレスと政治は完全にリンクしてましたね。田中六助の活躍は『大宰相』でも描かれていましたが、六さんは名脇役というか、主役を食ってます。

創生会旗揚げ直前の田中派新年会。ズンドコ節で佐藤ではなくわざわざ田中氏の名前を出した竹下。p.34

 竹下さんの弟さんは、この図太さはなかったのか、真面目な方だったのかな…。

二階堂も江崎も田村もみんなグループを持てばいい。俺は共産党以外と他の政党を作るよ。p.37

 角栄にとっての政党とは自民党に固執したものではなかった。この辺のホラなのか真面目なのか、スケールも大きい。

河野はキュッだな。p.74

 キラー竹下、降臨❗️

村山としては自民党総裁ハト派自分を支えてくれた河野氏を後継にするつもりだった。それを察知した小渕氏が森喜朗幹事長のところに河野だけはダメだと飛んできた。p.76

 河野一族の言葉と行動には、致命的な信頼を損なう伝統があるのか、と思わせる。

加藤さんはインターネットに狂わされた。p.92

 野中広務は、鎮圧した後、つぶやいた。

沖縄に尽くそうと思ったのは薩摩藩による過酷な琉球支配。p.116

 山中貞則は、業田良家の『シアターアッパレ』でのキャラ立ちが印象的ですが、鹿児島の政治家が沖縄のことをそこまで思っていたのは知りませんでした…。

この本がなかったら発狂していたかもしれない。藤波氏のうめきが聞こえるような言葉である。p.143

 最澄を読む藤波孝生。悲運の人か。

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