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サブカル大蔵経328エリアーデ/宮治昭訳『エリアーデ著作集第六巻 悪魔と両性具有』(せりか書房)

ニューヨークの二番街を妻と歩いていた時、彼は突然「おお、わが生は永遠なり!」と大声で叫んだ。p.18

学生の頃、尊敬する先輩が、エリアーデの『ホーニヒベルガー博士の秘密』(福武文庫)を薦めてくれて、それがいまだに心の一冊となっています。サンスクリット学者の周りで起きた事件の小説でした。

エリアーデは宗教学者であり、小説家でもありました。ルーマニアという国が生みだしたアジアとヨーロッパ、東西の明暗を結ぶ天才だったのではないでしょうか。

本書では、エリアーデがインド思想を解放してくれている感じがして、そこにはオリエンタリズムは感じられませんでした。

エリアーデの大きな功績は絶えず自己を他者に聞き続けてきたことにあろう。p.294

 誰かのエッセイで、ルーマニアで気のいいお爺さんと話してたら、その人がエリアーデだったと。いうのを読みました。

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インドの宗教と哲学はにおいては、予想されたように、「光」の神秘は遥かに複雑である。/周知のように、無量光の仏陀、阿弥陀如来は『光』の体験に中心的重要性を与えている神秘的な宗派、阿弥陀教の中尊である。p.27.37

 エリアーデの伝える阿弥陀思想。

性力シャクティの化身である少女ムドラーとの性交儀礼の際にも、内的な光を体験するのである。/光と時間。/ゾロアスター教における永遠の光。p.44.79.95

 光と時間。アミタ思想の源泉。

神と悪魔の近親関係、数多くの神話がデーヴァとアスラの同体性ないし兄弟関係を際立たせている。/インドラと蛇の怪物ヴリトラは兄弟。/ヴリトラはわれわれの内部にいる!p.115.119.120

 神話をわたしに引き寄せる。

バルザックがスウェーデンボルクから借用した両性具有の神話(『セラフイータ』)/ドイツ・ロマン派にとっては、両性具有者は未来の完全なる人間の典型であって。/未来の人間はキリストと全く同様両性具有者となろう。/教義の中で両性具有の観念に中心的位置を与えたのはキリスト教のあるグノーシス派である。/女性要素が男性原理へ変化した時、一なるものの二の状態を語っている。この対立の結合はさらに、輪廻と涅槃の逆説的共存に対応する。輪廻の他に涅槃は存在しない。と仏陀は明言したのである。(へーヴァジュラタントラ2.4.32)p.105.130.134.151

 マハーバーラタに出てきた両性具有者との関連も気になります。今、バイキングにミッツが出ています。

アメリカ人は、祖先、贈り物を積んで帰ってくる死者なのである。すなわち原住民にとっては死者の霊、まぼろし、亡者なのである。p.172

 やはりアメリカは呪術的だ。

太陽は糸によって世界と自分自身を結びつけているがゆえに、宇宙の織り手であり、しばしば蜘蛛に比せられる。「布の織り手は疑いなくあそこで輝いているものである。」(『シャタパタブラーフマナ』9.2.2.22)p.229

 スートラ(sūtraお経)も原語は糸。

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