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サブカル大蔵経615福田千鶴『徳川綱吉』(山川出版社)

異能の将軍・徳川綱吉こそが、血生臭い戦国を終焉させて、平和な近世を開いた…。綱吉の政策が今の日本の原型だとすれば、私たちは綱吉チルドレンなのではないか。

その生涯は、養子・中継将軍として権威を作る腐心。酒井・光圀とうるさ方が上司。堀田・稲葉・荻原が部下。娘の死で、甥・家宣に譲る決意に麻疹急死と悲劇の様相。

お犬様の犬公方は、非人間的のようで実は一番現代人的な将軍だったかもしれない。サブカルでオタクだけど、ツンデレのような。本書で初めて綱吉と出会えました。

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綱吉は二の丸に移った時、家綱が用いていた厠を使わなかった。新しく作るまで食事を減らし、厠に行かなかった。p.16

 異常なまでの不浄の観念。忠臣蔵での殿中を血で穢した浅野への憤怒にも繋がる。

息子徳松の死と服忌令。主人の死後、追腹を切ることが美徳とされた武士の論理は、死の穢れとともに排された。p.47

 狂った命のやり取りの排除。しかし、幕末の水戸藩と戦時中の軍でよみがえる。

1688年食犬の風俗廃止。さらに放鷹制度を廃止したことで猟犬及び餌犬の需要がなくなり、野良犬化した。犬愛護令は放鷹制度の廃止と連動。p.52

 鷹狩りが結果的に犬愛護を生んだ連鎖。

綱吉の武家諸法度。「弓馬の道」と言う武士の嗜みを外し、主君に対する忠、親に対する孝、武士の行動規範としての礼を第一に置き、儒学の徳目による君子政治への転換。p.67

 武士の倫理よりも儒学。

儒仏は真に車の両輪の如く。p.72

 106の寺社造営。

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