見出し画像

サブカル大蔵経958陣内秀信/三浦展『中央線がなかったら 見えてくる東京の古層』(ちくま文庫)

列車開通以前の東京を透視する。

東京本もついにここまで来たという感慨。

活字プロレスならぬ、活字旅行の時代だ。

そしていつの日かまた歩いてみたい。

画像1

駅ができたところは、当時は何もなくて、土地が安かったから用地買収がしやすかったと言うだけの話です。p.13

 中央線幻想から解き放たれた考察。駅から離れたところが重要だったいう逆転の発想。たしかに、全国的には駅は街の外れに出来たことも多い。ある意味、東京は駅偏重度が高いのかも。

ニュータウンとしての郊外を私はこれまで批判してきたんですが、いまや郊外はオールドタウンになっている。だからむしろ今は、「郊外がこれからは意外と面白い」と言うことにしているんです。p.24

 鉄道よりも東京よりも古い武蔵野。古道街道目白押し。

しかし、昔の東中野駅はそれほど中野駅と差があるわけではなかったようだ。p.43

 東中野と中野の関係。どちらにも友人がいたので興味深い。

村上春樹は昔、氷川神社よりさらに高円寺駅に近い場所にあった「as soon as」というジャズ喫茶で働いていて、休憩時間に中央公園によく行ってたという話を高円寺の人に聞いたことがある。p.73

 高円寺幻想高まる。高円寺は今や水道橋博士、鈴木もぐら、鬼越トマホーク坂井と群雄割拠。

杉並の本質を知るには、まず川から出発する必要がある。p.91

 近代の構造に惑わされない透視。

国分寺・府中の地域にこれほどまっすぐな南北の道が出現するのは、古代国家による国土建設以外ではないだろうか。p.164

 道路史では、現代と古代が繋がります。

イタリアの例で言えば、大都市という存在の人気が高かったのは1960年代までで、80年代に中小都市に人気が集まって。p.218

 陣内さんのイタリア本は学生の頃からよく読んでました。水と村からの視点。

そもそもインターネットで物が買えるようになっていますから、駅前に百貨店があるとか、駅ビルがあるというのが重要でなくなってきていますよね。p.220

 三浦さんの見立てもその通りだが、家族にこの話すると、やはりデパートに行きたいとのことでした。

地元の人たちは、100年経てばマンションは壊すだろうから、あきらめていないと。陣内p.224

 谷中の富士見坂のマンション反対運動。100年スパンの視点。

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,023件

本を買って読みます。