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サブカル大蔵経275村瀬秀信『気がつけばチェーン店ばかりでメシを食べている』(講談社文庫)

今日のお昼、かなり久しぶりに大戸屋に行きました。買収問題で存続は大丈夫なのかな?と心配していたのですが、お客さんもほぼ満席でした。注文した四元豚ロースカツ定食に付随する薬味の種類の多さに若干戸惑いながらも美味しくいただきました。

ひとりの店員さんの声がちょっとびっくりするくらい元気で、少し空回りしていて、何か本部の危機を跳ね飛ばそうとしてるのかなと妄想しました。

横浜球団史の著作も感動的だった、現文春ペナントレースコミッショナー村瀬秀信さんの「散歩の達人」連載の単行本。
山口文憲さんの『空腹の王子』から幾歳月、外食チェーンの店がこれだけできた中で、店それぞれの人格と、そこに集まる人の想いを語ってくれた本。

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そう。吉野家の牛丼はあくまでも七味があってこそ。あえて言う。牛なんておまけなんです。あれは牛のダシが利いた七味丼なんです、と!p.11

 これ読んで、我が意を得たりと、すぐに吉野家七味をAmazonで取り寄せました!紅生姜とお新香は送料が高く二の足を踏んでいます。

ココイチのショップカードにある「辛さ票」のセリフを何度も何度も読み返していた。「1辛」口中ボーボー、三口でシャックリ。「2辛」汗はタラタラ、耳までマッカ。「3辛」目はパチパチ、十二指腸もビックリ「4辛」頭はガンガン、二日酔いもマイッタ。「5辛」食身ガクガク、三日はケッキン。「6辛〜10辛」内臓破裂、医者の紹介致します…。p.23

 これ読んで懐かしくなり、こないだ久しぶりにココイチ行って来ました。もう「ボーボー」の表記はありませんでした。ちなみにこの30年間、チキンカツの3辛しか食べてません。

仕事への意欲も、食欲も性欲もなくした僕らが行き着く先は一体どこなのか。答えは多分、「マクドナルド」のような気がする。p.70

 この世の浄土かアジールか。マクドナルドは昔のお寺の代わりなのかもしれない。

そう。かつて牛丼屋は孤独な男が心を許して落ち着ける吹き溜まりだった。中島みゆきの名曲「狼になりたい」、故・団鬼六氏のエッセイ「牛丼屋にて」などに見られるやり切れない寂しさを抱えた男たちがたむろする情景は、もはや今のビールの本数制限がなされた牛丼屋にはない。p.79

 団鬼六《牡丹》所収の名作「牛丼屋にて」。たしかに、もう吉野家に、あの雰囲気はないか…。

正直、文字を書くことがつらい。なのに、チェーン店?いかねーよ。「日高屋」だけしか。p.148

 ここまで村瀬さんに言わしめる日高屋は旭川にはありません。今度東京とかで日高屋を見かけたら、今まで「東京チカラめし」や、「ルノワール」を見た時と同じ気持ちになるかも。その街に風景のようにあるチェーン店が一番うらやましい存在だったりします。

ちなみに今日の夜は、近くに新しくできた丸亀製麺の2号店に行きました。子供連れが多い中、ひとりで来ているお年寄りも多く、うどんのテーマパークのような活気あふれる店内でした。

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