サブカル大蔵経530村瀬秀信『4522敗の記憶ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史』(双葉文庫)
ベイの、いや、日本プロ野球球団の興亡。
本当に大事なことは、球団に、街にある。p.387
そして描かれる横浜という街の物語。
著者の村瀬さんを〈文春野球コラムペナントレースコミッショナー〉に後押ししたであろう熱い名著。
優勝がゴールではなく、その前後の歴史を書く視点がたまらないし、そこに本当のファンの気概を感じる。こんな愛憎たっぷり詰まった書籍が出るベイは幸せだと思うし、理不尽なことも多いが、あらためてプロ野球が好きになりました。
今日からプロ野球キャンプイン。昨日は横浜の三浦新監督がテレビに出演していた。今年はどんなペナントになるのか。
「俺が一軍で投げるようになればこのチームは優勝する。」常々そう思いながら自らを奮い立たせてきた戸叶の予想は、間違いではなかった。p.12
戸叶の自己認識能力すごい。優勝する時はこういう人が必ずいる。
村田に盗塁がなかったから。p.28
高橋走塁コーチ解任の理由。
「怒るなよ。もう怒られるのはいいよ。」p.75
森監督が解任された時のセリフ。
「三原くん、明日の試合オリオンズに負けてやってくれないか。大毎がピンチになると永田さんが両手を合わせて一心にお祈りしているんだよ。せめて一勝ぐらいはさせてあげたくて…。」さらには日本一になったオフの祝勝会ではこんなことを話した。「お前たちは今年日本一になった。よくやってくれた。しかしセントラルリーグには6球団あるんだから毎年勝ったら悪い。6年に1回でいいだろう。」p.180
中部謙吉オーナー。ロッテもヤクルトもオーナーの似たセリフあり。勝つと巨人ファンが怒り、売り上げが減ると。
1番悪いのは選手のためじゃなく自分の保身のために球団に縋ろうとする人間ですよ。そういうコーチを俺はたくさん見てきたからね。だから俺がコーチになるのであれば選手のためにいつでも腹が切る覚悟を持って接しなければならない。ラーメン屋を始めたのはそのためです。p.220
オバQ田代富雄の覚悟。そら選手に信頼され、ファンに愛されるわ。
駒田さんの話はご飯を食べに行った時などに聞かせてもらっていたんですけども、ずっと、この人、しゃべらせた方がいいな、と思っていたんです。チームが低迷しかけているときは、経験のある人の一言が聞くんです。経験がないとがむしゃらに一生懸命やることしか考えない。不思議と肩の力抜いてくれるんですよね。p.254
石井琢朗の慧眼。
「あぁ…悔しいね。悔しいまま75歳になっちゃったよ。」近藤の育成能力は再評価されつつあるが無念は今もなお晴らされていない。p.259
育成の近藤。ロッテでも…。
色々と…本当にいろいろあったんです。そういう球団でしたからね。引退勧告の時も僕にはまだ口外するなと言っておいて次の日の新聞に出ていましたからね。大矢さんもかわいそうですよ。球団が僕らに直接クビって言えないから、恩師である大矢さんに言わせてね。p.298
石井琢朗が広島に行った時は驚いたが、こういう背景が球団側にあったのか。
佐伯さんが日本一を争うドラゴンズに移籍したのは、野球の神様が見ていたからですよ。文句ばっかり言っていた俺と、やることをやった佐伯さん。その差がこんなに開くんだなって。だから僕はそこから何があってもどんな使われ方をしても絶対にあきらめない。そう誓ったんです。p.314
そういう高森だからこそ、「野球小僧」等の連載は元選手の中では一番読ませる。
なんでドラフトの方針や結果のレポートって残ってないんですか?なんで歴代の監督の方向性とかが書面で残ってないんですか?なんて聞く事は今までタブーだったらしいんですけど。p.338
改革者・池田も球団を去った。
那須野巧は板橋区は大山で経営するお好み焼き屋ひだまりのトイレに勝手に貼られる。p.388
那須野の存在があったからこそ。
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