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サブカル大蔵経937大塚英志監修、山本忠宏編『まんが訳 稲生物怪録』(ちくま新書)

まんがとは何なのか。その研究の果てに。

「まんが訳」というのは「スピーチバルーンとコマ」ではなく、「切断」と「編集」、つまりモンタージュであることや、それによるまんが研究が本来の目的であったp.219

監修者・大塚英志のあとがき。

絵巻物を分解して、コマ割りして、アップにしたり、繰り返したりして表現するという画期的手法〈まんが訳〉。 

まんがが先か、絵巻物が先か。

絵巻物とまんがの歴史的なつながり。

山本忠宏さんのインタビュー

古典に新しい命が吹き込まれたような。

マンガがまた何かを呑み込んだような。

時間と紙の枠がデジタルで溶けたような。

マンガの新しい形が生まれたような。

そう考えると、どんだけ原作があるんだということにもなるような。

本書の『稲生物怪録』は初めて目にしたバージョンでした。荒俣宏や稲垣足穂の監修したバージョンが印象的なので、少し違和感を感じてしまいました。

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ただ、著者たちが所属する日文研に所蔵されている資料を使用したということみたいで、ある意味埋もれていたヴァリアント資料を蘇らせたのだなと。

突如世に出された化け物たちが一番驚いているかも。

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何事にも一向に構わず放っておき、ただ物の怪と同居している。p.22

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 平太郎の肝っ玉が作品の肝

また誑かされたのだp.75

 日本ドッキリ史の一ページか。ドッキリ文化って世界や日本でどのくらいあるのだろう。

柿が天井からパラパラと落ちて来て四人がうち寄って話している中を転がり回ったp.117

 この後、平太郎はこの柿を…

映画の撮影をしているような気分になります(鳩野マメ)p.218

 実際の作業は漫画家の先生。昔の写真部の暗室のような。



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