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サブカル大蔵経746田崎健太『真説・佐山サトル タイガーマスクと呼ばれた男』(集英社文庫)

対談中、「えっ」とたまに驚く佐山さんが印象的です。

体術、法術、話術、全てを備えた隙のない孤高の偉人、佐山サトルは、その時だけ、素になるのだろうか。

田崎さんは、そのためにインタビューしたのだろうか。

佐山さんが掣圏道で旭川に居を構えていた時、緑橋通りですれ違ったことがあります。人を寄せ付けない雰囲気でした。

小学2年生の時、休暇を利用して掣圏道が本拠を置いていた旭川市へ遊びに行ったこともある。「1ヵ月ぐらいいたんです。すごくいいところで、帰りたくないと思ったことを覚えています」p.574

ご子息の聖斗さんが旭川のことを触れてくれているのが嬉しいです。

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佐山が格闘技に惹きつけられたのは、小学4年生のときだった。キックボクシングの沢村忠がテレビに現れたのだ。p.34

沢村ー佐山という星座。「カミノゲ」での変態座談会でも沢村との交流が語られています。沢村の影響力はもっと語られるべき。

レストラン泉は、南千住駅から千住大橋に向かう旧日光街道、通称コツ通り沿いにあった。p.63

佐山が上京した住み込みバイト。私も一昨年コツ通りを歩きました。あしたのジョーの磁場に近い所。

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例のクーデター事件で、新日プロを去ったのは私とタイガーの2人だけなんですね。2人で話し合ってみると、お互い誤解していたことがよくわかった。p.247

「アサ芸」の新間インタビュー。結果的に追い出された二人が潮流となるのが、何度読んでもそのあやが面白い。

この時期、佐山はワードプロセッサーと1日中向き合っていた。p.254

 印象的なフレーズ。元祖文系レスラー。

坂口は新間を身動きの取れない状況に追い込んでいた。誤算があったとすれば、すでに新間を信じて走り出した男たちがいたことだった。p.264

 坂口の政治力が結果的にUを産んだ?

馬場はニヤリと笑った。プロレス界には信用しちゃいけない人間が3人いる。それは猪木、新間、ユセフトルコだ。p.367

 馬場は、ホントに田中正悟に語ったのだろうか?ブラジル育ちの猪木、実家が日蓮宗寺院の新間、怪人ユセフトルコ。異能の三人をキラー馬場が俯瞰する図。

後の大相撲力士、小錦である。p.490

 エンセン井上と小錦の背景、ハワイ。

修斗から離れた佐山に声を掛けたのはアントニオ猪木だった。p.560

 猪木の神業的なタイミング。UFO。猪木の出世の本懐とは、プロレスであり、分けない地続きの格闘技であるならば、猪木が釈尊で、佐山は阿弥陀如来か。


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