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サブカル大蔵経576カレー沢 薫『きみにかわれるまえに』(日本文芸社)

現代の経典です。

漫画史に残る作品だと思います。

予定調和な展開も、単純な善悪も、ここにはない。

著者の信念が頑なにそれを拒否している。

ペットが照らす人の哀しみが、哀しみのまま、尊さに変わっていく、17の物語。

18番目は、読んでいるわたしの物語。

カレー沢薫さんの結晶。

ニチブンコミックスというのが渋すぎる。

地元の本屋で一冊だけ残っていました。

増刷求む。

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いや喋んなくていいし
時間も戻さなくていいから
1秒でも長生きしてよ。p.11

 このシーン前の、犬の涙が、神コマ。

1人になったわけじゃない
あの子たちと一緒に歩いた足跡が
ちゃんと残ってる。p.74

 支え

甘やかしたわけじゃあないよ。p.96

 父の深謀。

でもどんなに悲しくたって
出会わなければよかったなんて
絶対思わないから!p.119

 悲しみと喜び、家族だから。

息してるだけでこんなに嬉しいのに
なんで出来なくなったことばかり見て
悲しんでいたんだろう
歩けなくなった距離を嘆くより
ゆっくり一生懸命歩く姿を
愛おしく思えば良かったんだ。p.128

 動物から教わることばかり。

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第一話をめくるとネコがきた。

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