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サブカル大蔵経467吉田徳寿『安藤昌益の痛快漢字解』(農山漁村文化協会)

安藤昌益全集を出しているのは農文協なんですね。

農文協では、米を愛し、農を愛す八戸の偉人、ヒーローとして扱われる昌益。

人が昌益に出会ったらどうなるのか。そのひとつの形として結晶された本書。

むしろ文字をなくした方が人間本来の社会の姿になるのでは。p.24

一見、昌益の革新性・異常性が見えづらい形の字書なのですが、よく読むとびっくりする、みたいな感じで、それはまた痛快。

学と欲とは体と影の如し。立身出世を目指す利己心・上昇志向に基づいていることを見抜いて批判していました。p.8

人工の仏教や儒教だけでなく、学問そのものの欺瞞を批判する昌益。

漢字のもつ社会性(作為性・差別性・階級性)を暴いて、漢字を廃止ないし制限していくための一里塚として書かれた。p.13

さらにはなんと、漢字そのものが、批判の対象となります。

昌益は、江戸時代、京都で修行中、仏僧らの醜いご乱行を数々、例えば若い修行者を性的に犯す僧侶らの実像を目のあたりにした。p.85

私たちはすべての知的な営みに絶望する昌益の思想ともっと出会うべきなのか?

私はもう昨年、出会ってしまいました。

もう戻れないか、忘れてしまうか。

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【田】耕す、米の親。p.39

 米の親っていい響き。人が耕すのではなく、田んぼが親。

【仏】〈人〉に〈弗〉は射殺された人、死人。みちぬすびと。p.84

 道盗人かぁ。

【美】〈善〉〈養〉の字もこのたぐい。お供え。羊の肉を好み殺して食べた。p.169

 美も善も養うも、羊の生贄…

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