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サブカル大蔵経656今泉忠明『猫脳がわかる!』(文春新書)

倫理の授業で「今あなたは人間ですか?」という問いから始めています。〈六道〉を毎日行ったり来たり。地獄・餓鬼・畜生・阿修羅・人間・天。あの世のことでも生まれ変わりのことでもありません。今のあなたは、どの〈道〉を歩いているのか。

六道のひとつ畜生。人間が〈迷い〉の存在だとすれば、畜生は〈おびえ〉の存在とされています。

猫は家の中の安全な場所でもすぐビクッとします。

でも、私の方が実はビクビクしているのかもしれない。その時は畜生の先輩として猫に学ぶべきかも。

動物学者の今泉先生の話に耳を傾けます。

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生き物として格好いい。p.5

 猫という身近だからこそ奇跡の存在。

本能・原始脳が強く、不安恐怖に敏感。扁桃体。安心・愛着。p.20

 臆病なのは生物として真っ当だからか。私のおびえも生物として自然なことかも。

短期記憶強く、不快はよく覚えている。忘れない。p.28

 不快は忘れない。これも自然なことか。

寝子・1日16時間睡眠。p.39

 ねこの語源。人間も寝た方がいいかも。

動いているモノはよく見える猫ですが、静止しているモノは見えてない。視力は0.04〜0.3。p.53

 動いているモノの方がよく見える。人間は何が見えているのか。

猫は、喜怒"愛"楽。哀しみはない。p.138

 哀しみは人間だけなのか?哀しむ時だけが〈人間〉なのか。中森明夫『寂しさの力』(新潮新書)を思い出しました。

猫が鳴いても相手にしない人にはあまり鳴きません。応えてくれる人に鳴きます。まさに猫なで声。p.154

 もともと鳴かない動物。猫自身がアクションとしての鳴き声を発見。人間の声は〈鳴き〉だとすれば、会話と沈黙、どちらが基本形なのだろうか。

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