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サブカル大蔵経90村田沙耶香『消滅世界』(河出文庫)

 最後の一人まであきらめない、優しさを感ずる、としか言いようがない。

 近未来の寓話のようでいて、実は普遍的な家族の話のような気もする。

 こういう小説はどうやって人に伝えたら良いのだろう?

 読みながら付箋を貼り、抜き書きも大量にしたのですが、ネタバレにならないため、相当削って、掲載します。

 それをあらためて眺めてみると、私が好きな漫画家たちの作品のひとコマに見えてきました。


私、実は交尾で生まれた子なんですよ。と今ここで言ってみたらどうなるだろうか。p.88

 ここは吉田戦車

私は孕まない子宮に、精子の泳がない精液を流し込む。そのことに、もう何の意味があるのかわからなくなっている。p.161

 ここは早見純

まるで、街全体でヒトの子供というペットを飼っているような光景だった。p.198

 ここは楳図かずお

何をしてるの?おかあさん。そうね、私はね、作ってるの。自分の身体で、今まで人間がしたことがないことを、作ってみようとしているのよ。p.273

 この主人公の最後の最後での異様な能動は、榎本俊二。

 村田沙耶香に対抗できるのは、榎本俊二しかいない、と思いました(なんの対抗かわかりませんが、これも変な男性警報の発動なのかもしれません)。


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