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【藝人春秋Diaryラジオ書き起こし③】伊集院光とらじおと 2021年11月10日放送分

番組名:伊集院光とらじおと
放送局:TBSラジオ
放送日時:2021年11月10日 8時30分~11時
出演:伊集院光
アシスタント:安田美香
ゲスト:水道橋博士

https://bit.ly/32RlucW

博士は10時台のゲストコーナー『伊集院光とらじおとゲストと』に出演。
こちらの出演部分の書き起こしとなります。

ジングル①

おはようございまーす。えーっ、浅草キッド水道橋博士です。
今日はですね、ボクの新刊『藝人春秋Diary』が出ましたので、
ぜひ「死神」伊集院光に褒め殺ししていただきたいと思います。

博士出演前

伊集院「TBSラジオ『伊集院光とらじおと』。時刻は10時になりました。改めましてこんにちは。伊集院光です」
安田「わっしょい! アシスタント、安田美香です」

「わっしょい!」は安田さんの口癖。

https://ameblo.jp/xanadu09/entry-12149966130.html

伊集院「え~まあ元気な声を久しぶりにボクは聞きましたけど、今日のゲスト、浅草キッドの水道橋博士でございます」
安田「はい」
伊集院「この番組は4年ぶり2度目の出演ていうことなんですけど。絶賛お知らせしますよ。『藝人春秋Diary』、分厚い本だねぇ~」

※博士の前回同番組出演は2018年1月10日なので、正確には3年10ヶ月ぶり2度目の出演。この時は前年11月に発売された『藝人春秋2』上下巻について話す。(YouTubeの音源は発見できず)

https://ameblo.jp/suidobashihakase/entry-12651836725.html

安田「辞書ぐらいありますよね~」
伊集院「あのぉ…今何か手頃な凶器を探してる方は、凶器にもなります大きさ的には。読み応えも殴り応えも相当ある厚さなんですけど(笑)」
安田「いやいやいや(笑)」
伊集院「内容に関しては後ほど、追って触れていきたいと思います。わっ、来年還暦? えっ博士、来年還暦なんだ! ちょっと先を行ってる、ボクの先をいつも行ってる人なので、ちょっとその辺の境地なんかもお聞きしたいと思っております。水道橋博士、この後すぐ登場です」
※CM

博士とのトーク①

安田「『伊集院光とらじおとゲストと』ここからはゲストをお迎えし、ご本人にまつわる○○とについてお話を伺います。
本日のゲスト、水道橋博士さんは1962年生まれ。岡山県出身の現在59歳。1986年、ビートたけしさんに弟子入りし、翌年、玉袋筋太郎さんと漫才コンビ・浅草キッドを結成。『ザ・テレビ演芸』で10週連続チャンピオンとなって脚光を浴びると、1992年にスタートした『浅草橋ヤング洋品店』で全国区の人気を獲得しました。個人ではライターとしての才能を発揮し、雑誌などにコラムやエッセイを数多く執筆。高い見識と行動力でその守備範囲は芸能界に留まらず、スポーツ界、政界、財界など幅広いジャンルにおよぶ水道橋博士さんが本日のゲストです」
伊集院「ということで、スタジオには水道橋博士です。よろしくお願いいたします」
博士「よろしくお願いしま~す」
安田「お願いいたします」
博士「ちょっと焦げ臭いと思うんですけど」
伊集院「あぁ~」
博士「いろいろと燃えてることが」
伊集院「そうです、そうですよね」
博士「行くとこ行くとこに火炎瓶が投げ込まれてる状態なんで。すいませんね、申し訳ないです」

伊集院「でも博士、お互いそうですけども、感情のアップダウンのある人生じゃないですか」
博士「はいはいはい。大変ですよねぇ」
伊集院「ちょっと前まで相当ダウンだった時期あるじゃないですか」
博士「ちょっと休んでましたからね、ボク」

博士が体調不良により活動休止をオフィス北野(現TAP)が発表したのは2018年11月5日(報道では同年11月9日)。今回出演の3年前のこと。

伊集院「休んでたでしょ。今すげぇらしいじゃないすか!」
博士「今すんげぇ仕事してます。仕事してるっていうより、地上波のレギュラーが30年ぶりにゼロになったんですよ、今年」
伊集院「はぁ、はいはいはいはい」
博士「そしたら、ああ自分で番組作ろっと思って『アサヤン』っていうのを」
伊集院「タイトルまんまだ(笑)」
博士「『浅草橋ヤング洋品店』(のオマージュ)なんですけど。阿佐ヶ谷のライブハウスを借りれるっていうことで、週1でそこを借りて2時間半のライブをやって、それをYouTubeで1時間にして広告を入れて番組としてやるっていうのを始めたんですよ」
伊集院「すごいのが、ベテラン芸人の始めることでもないじゃないですか」
博士「ない…でしょうね」
伊集院「還暦目前で始めることでもないじゃないですか。よくあるのは、やりたいなと思ってだいたいおまかせで出るだけは、まあまあありますけど」
博士「これ、事務所いっさい噛んでなくて、台本も全部書いてるし、キャスティングも自分でやって直接タレントさんに電話して事務所の交渉をし、請求書領収書を全部自分で出してるっていうね」
安田「すごい…」
伊集院「なんなのそれ!? すごっ!」
博士「伊集院にもオススメするよ。タレントっていうのは、こういうことを代行していただいてたんだなっていうのがわかるから」
伊集院「なんかちょっとわかんですよ。なんかこのYouTubeなんかできる前に、それこそ博士とか1回話したことあるかもしんないけど「もうオレ、テレビになりたい」っていう。なんかそんな話しましたよね?」
博士「できるじゃん! オレたちのキャリアだとっていうのね」
伊集院「そうそうそうそう」
博士「それでキャストを自分で選んで。まあ伊集院なんかもDVDなんかではそれやってると思うけど、自分の考え方を全部投影した番組を作るみたいなやつをね」
伊集院「で、なんかその自分がすみずみまでやったらどうなるのって」
博士「そうそうそうそう。編集まで伊集院がやるとかっていうやつ。やってたよね」
伊集院「なにかしら若手のころからテレビ出ても、「なんであそこ切っちゃうんだよ」とかってずっと繰り返すわけじゃないですか我々」
博士「そうそうそうそう」
伊集院「それでいうと、思い切ってやってみると逆に感謝もできるしね」
博士「感謝もできる。ああ事務所はこういうことやってくれてたんだなってわかるし、あとキャスティングが面白いのは、この人とこの人を会わすのにスケジュールが合わない時、誰を優先していくんだみたいなさ。この人のこの曜日は合ってるけど、この人はNGだとかさ。あとギャランティの交渉なんかもライブギャラだから、とてつもなく出てもらえるようなギャラではないんですよ。それだけれども西野(亮廣)君とか東野(幸治)君とか古館(伊知郎)さんとかね、今度劇団ひとりも出てくれるんだけど。そういうのってマネージャーにも通じるんだけど、「オレはギャラで出るんじゃないから」みたいな感じになる時の気持ち良さ、嬉しいなぁと思いますよ。長年やってきて良かったなぁって思いますね

伊集院「その気付きでいうと、その編集とかでいうとね、ある日突然自分もDVDとかの編集する時」
博士「やってるもんね」
伊集院「気付いたのは、「この話、4度目ですよ!」とかって言うじゃないですか。すげぇ邪魔じゃないですか。要するに「4度目」って言っちゃうと、4回全部残さなきゃなんなくなっちゃうから、そんなものは時間の尺的に無駄ですみたいなことになるから、「何度言わせんですか!」っていうのはいいけど、「さっきも言ったじゃないですか」はまあまあ言うけど」
安田「はいはい、うんうん」
伊集院「「もう5度目ですよぉ!」なんて言った日には、もう全カットに決まってるみたいなことが初めてわかりますよね。触るとわかるみたいな」
安田「へぇ~(やたらと感心)」

伊集院さんの「もうオレ、テレビになりたい」は、2008年12月25日にTBSラジオから有料配信された『JUNK座談会スペシャル2008』でも発言。同じく編集ポイントの話にも触れている。
また伊集院さんが自分でDVDの編集をするというのは、かつて自身が企画構成等をしていた下記テレビ番組のこと。
『伊集院光のばんぐみ』
『伊集院光のしんばんぐみ』
『伊集院光のばらえてぃーばんぐみ』
『伊集院光のてれび』

博士「そういうのも面白いね。昔、田代まさしさんと共演してた時に浅草キッドが出ると、田代さんが「使えねぇよぉっ!」って突っ込むんですよ、ちょっとギリギリなことを言うと。そこで使えなくなるんですよ」
伊集院「なっはっはっはっは」
安田「はっはっはっは」
博士「「それ使えねぇよ! オンエア載らねぇよ!」とか言うんですよ」
伊集院「はいはいはいはい」
博士「それダメじゃないですか。そのツッコミは」
伊集院「そうそうそうそうそうそうそう」
博士「そうしてるうちに本人が使えなくなったんだっていうね(笑)」
伊集院「ふっはっはっはっはっはっはっは(笑)」
博士「ボクらが司会になったっていう番組ありましたけど」
伊集院「今やってんのはYouTubeと『アサヤン』?」
博士「『阿佐ヶ谷ヤング洋品店』というのをやっていて、あとYouTubeで『博士の異常な対談』ていうのをやってまして、これが今、揮発性の高い
伊集院「高い(笑)。空気の乾いてるっていう」
博士「燃えやすいガスが充満してる感じで」
伊集院「(笑)。これは今まで誰とか出てます?」
博士「今もう、歴代、伊東四朗さんとか80代以上の人をなるべくお話を聞こうっていう気持ちが強くて、徳光(和夫)さんも80歳になられて是非っていうことで、しかも3時間ぐらい回してるんですよ

伊集院「うわあぁぁぁ~」
博士「必ずものすごく下調べをやって、芸能史をきっちり残していこうっていう感じでやってんですけど」
伊集院「へえぇぇぇ~」
博士「村松友視さんとかね。もう80歳超えてますからね。だからすごく「間に合った」っていう感じがね、もう失礼な感じだけど「間に合いました!」っていう感じでお互いがしゃべれる。ゆっくり話したかったんだっていうことで。伊東四朗さんなんて初めてこれだけ長くお話できましたからね」

伊集院「ここに伊東四朗さん来てもらった時(2018年5月28日放送分『伊集院光とらじおと』内『伊集院光とらじおとゲストと』より)も、やっぱりそういう、なんて言うのかな今の芸能界じゃない芸能界の話、めちゃめちゃ面白いですよね」

博士「面白いですよ。ボクらはストリップ小屋出身だから、言わばフランス座出身、新宿のフランス座なんですけど。そっからいわゆるそのぉ、テレビがなかった時代の芸能っていうか舞台とか、まあコメディですよね喜劇史みたいなのは。もともとオレ、その研究は興味があるジャンルだから、それをずっとお話聞いてるっていうのがすごく楽しいですよ」

伊集院「へえええぇぇぇぇ~」
博士「今度は(カンニング)竹山君が来てくれるんですよ、これに」

伊集院「全然新しいけど(笑)。竹山君もおそらく話してないことや昔は話してたけど今はもう死蔵されちゃってるような熱いエピソード、いっぱいありそうですしね」
博士「『放送禁止』ライブ、全部観てるからオレが。そういう意味でも、いろんな話がありますよね」
伊集院「博士は結構、そういうライブ行く…それこそオレの落語会も来てもらったし」
博士「行くようになったのが、本当は落語家さんは言われません?「客席で観ちゃいけない」っていうの」
伊集院「言われる!」
博士「言われますよね」
伊集院「あれはご法度なんだよって言われますよ」
博士「必ず言われますよね」
伊集院「言われる言われる」
博士「ずっとそういうの行ってなかったんだけど、最近ホントに行くようになって。それこそ本に書いてる話でいうと、和田アキ子さんのツアーとかを初日に行ってみるとかね」

余談だが、博士が和田アキ子さんのライブに行った2017年10月25日は、浅草キッドの出囃子『東京ワッショイ』を作った遠藤賢司さんの命日。ブログでも追悼をしている。

伊集院「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ。すごいわかる! それこそ寄席なんて別に出入り禁止じゃないんだけれども、その不文律がなんとなくあるから勝手に客席で観るのはダメっぽいっていうのと、じゃあ細かく挨拶してくのもみたいなことで割と遠のいてたんだけど。でもコントライブなんかは割とみんな交流してますもんね」
博士「そうですよね。あと楽屋にご挨拶行かなきゃいけないのかなみたいなのを感じちゃうじゃないですか」
伊集院「あれどうしてます?」
博士「でもチケットで買った分には、そんな前の方(の座席)でもないので、そのまま失礼しますって感じで帰るんですけど、またTwitterやってるからボクが。和田アキ子さんがいかに素晴らしかったかっていうね、“最後まで泣かないで最後の曲で泣くところにプロを見た”みたいなのを書くじゃないですか。いつの間にか和田アキ子さんに伝わり、夜中に電話があり、「アンタ…自分ありがとな。アンタだけや。それ見てくれてたの」って。「今な歴代マネージャー来てんねや」って言って、次々と10人以上のマネージャーが「どうもありがとうございます」」
伊集院「楽屋に行った方がよかったじゃない。楽屋の方が全然ラクだよ(笑)」
博士「そう! 最終的に「ホリプロの社長をしております、堀義貴です」って。「申し訳ありませんでした! もう二度と勝手には行きません」っていう(笑)。なんでオレ、頭下げてんだろうっていうさ」

※詳細は『藝人春秋Diary』28章『不滅の女 和田アキ子』、もしくは博士がnoteで公開しておりますので是非お読みください。
https://note.com/suidou_hakase/n/n4fdce375d1ef

伊集院「でも自分もいろいろ見せてもらうんですけど、楽屋行くのイヤなんですよ。いいライブほど、これちょっと博士と違うかもしれませんけど、いいライブほどオレの中に刺激されるやる気と劣等感
博士「ああ、それはいつも言うね。劣等感はね、やっぱいいライブって、すげぇ感じちゃうんだよね
伊集院「すっごい感じる! こんなに同年…たとえば、さまぁ~ず行くじゃないですか。同年代がこんなにやってるっていう喜びと同時に“オレはどうした?”っていう、その劣等感がすごすぎて。そこでさまぁ~ず、楽屋で会って向こうから「ありがとね」なんて言われることに、もうオレ耐えられないのよね」
博士「いやぁわかる。オレだって若い頃はボクシングもそうでボクサーになれる年齢まで、ボクシング観てると“なぜオマエ闘わないんだ?”っていう…体重もいけるわけじゃない?」
安田「はあぁぁ…」
伊集院「はいはいはい」
博士「“なんでオマエやってないんだ?”って。その点、プロレスはすげぇラクだったんですよ」
伊集院「どうせ、あのガタイではないわけだから、そもそもっていうことだ」
博士「そうそうそう。でもミゼットがいけるよって話もあったんだけど。まあそれはともかく」
伊集院「へえええぇぇぇぇ~。でもそれこそライブ、自分とこ来てくれて」
博士「6月13日ですよね、日曜日に。夜の部行きましたけど」
伊集院「でも博士なんかは、ほぼ芸能界で唯一、落語は観てないものの落語に籍があることを知って、その籍がある頃に会ってますもんね」
博士「そうそうそうそう。それはもちろん…」
伊集院「そういう人がほとんどいない…」
博士「感慨深さで観てるし、前回このラジオに来た時に「伊集院の深夜放送っていうのは、伊集院の落語の新作の高座をやってるんだ」っていう話をして、伊集院がオレが帰った後に「博士が言ってたのは違うんだ」って話をしてるから。伊集院が落語を始める、竹内香苗さんに言われて始めていくまでの過程全部に思い入れがあるから、あぁーっと思って観てましたよ」

伊集院「なるほど。オレたぶんね、博士とちゃんと話して一番最初に、いまだに覚えてる伽藍洞っていう」
博士「はいはいはい、(東)中野のね」
伊集院「(東)中野にあった喫茶店を借りて、若手のお笑いがライブをやってる時に落語家であるオレが観に行ってるの。そんときになんか打ち上げ一緒に参加させてもらって、落語家のオレはこういうことできないけれども。みんなすごいねみたいな話をしてるから、やっぱり落語家なんだよね。あの時にラジオはちょっと出てるものの。で、そこを経て、こういう付き合いになるじゃないですか。「新作落語なんだよ」って(博士が)言った時に、オレは「そうじゃない、博士それは違うんだよ」っていうことで、じゃあ「オマエの言う落語ってなんなんだよ?」ってなるわけですよ、そうすると」
博士「もちろんもちろん」
伊集院「そこで観るわけだ」

余談だが、博士と伊集院さんが初遭遇したライブの打ち上げ先の居酒屋で「六百万円事件」が起こる。しかし、伊集院さんは事件前に中座したため、その現場を目撃していない。
「六百万円事件」については、『お笑い男の星座』をご参照ください。

https://hakasenomise.official.ec/items/50777096

博士「だからやっぱ古典(落語)をやるんだっていうね。ボクの観た回は昼が『厩火事』やって、夜はトリですからね」
安田「はい、そうでしたねぇ」
博士「『死神』1時間ね」
伊集院「『死神』やりましたねぇ」
博士「あれは結構驚いたね」
伊集院「どういう意味ですか? 正座が1時間できたから(笑)」
博士「はっはっはっは」
伊集院「この体で伊集院シビれずに正座したから?」
博士「いや、あんな大根多をやるのかっていうのは、やっぱ思うし。あとオレ、爆笑問題の漫才を客席で観たのも初めてですよ」
安田「ああぁ~」
伊集院「それ、でもすごいトピックじゃないですか! ホントなら」
博士「トピックですよ」
伊集院「それこそ芸人が芸人の舞台を客席でどうのって話じゃなくて」
博士「初めて観た」
伊集院「どう思った?」
博士「日記には書いてますけど、こういう時事ネタかっていう。時事ネタ、自分もやるからこんなふうに切り口でやるかってやるんだけど、やっぱ(六代目三遊亭)円楽師匠の会じゃない。円楽師匠はいるわけじゃない。そっから錦糸町ラブホテルの話に入っていくところが、まあ笑ったな。そこでね」
伊集院「あれを袖で2人で見てんですよ」
博士「そうそうそうそう(笑)」
伊集院「オレとウチの師匠と一緒にこうやって並んで」
博士「お弟子さんがたくさんいて、みんなゲラゲラ笑ってたのに、そこに入った途端、誰も笑わなくなったっていう」
安田「はっはっはっはっはっはっは」
伊集院「…すごいですよね」
博士「あれは重要なことっていうか、本人の目の前で言えること」
伊集院「そうなんです、そうなんです!」
博士「悪口、陰口って本人がいないとこで自由に言えるけど、本人を目の前にして言えるから、やっぱそこがお笑いの痛快さなわけじゃない」
伊集院「でいて、その時にウチの師匠が袖で立って、いい顔するんですよ。よくぞイジってきたねっていう感じの顔をする、あの感じの良さとオレのバツの悪さと組み合わさる感じとかが」

博士「だからオレ、二階(俊博・衆議院議員)さんだっていい顔してたと思うのよ」
伊集院「ああ、なるほどなるほど」
博士「返しをしながらね。ちゃんと会話のキャッチボールになっていて、お互いがちょっと嫌味なことを言い合いながら懐を試してるみたいなね。ああいうのって失礼とかじゃなくて、会話としてコメディアンがやってることと大政治家がやってることっていうのは生の舞台、生のテレビで中継されてるもので「よしやってやる、受けてやる」っていうことでやってるわけじゃないですか。だからすごく丁々発止で、あれはボクは面白かったけどなぁ」

伊集院「二階さん自体がそれを下向いて苦虫を嚙み潰してたわけじゃないじゃない」
博士「じゃなくてなくて」
伊集院「ないじゃないですか。そこで普通に失礼がちゃんと言えるわけだし、爆笑問題もあそこでは建前の会話をして違うところで言ってるわけでもないっていうのは、それがいろんなところで賛否あるのはわかるけれども、オレらは一応お笑いの人だからお笑いの図式としてはそういうことでしょうっていう」
博士「それはもしああしなかったら、太田(光)君はなんで冠番組やったんだろうって話になるからね」
伊集院「あとはまあその、世間でいろんな意見があるのはまあしょうがないよね、もうねそれはね。オレたちそういう意味じゃ、オレたちが逆に言うとまともなことを言うはずだと思われてるのも困ったもんで」
博士「困ったもんですよ」
伊集院「困ったもんじゃないですか」
博士「“オマエらも正論言え”っていう圧力、同調圧力。困ったもんですよ」
伊集院「これが難しいのが、それこそたけしさんとかが「社長にしたい人」で1位だったり「尊敬する人」1位っていうことになっちゃったじゃないですか、ある時期から。それとあんなものにはなっちゃダメだよって言われる替わりに、めちゃくちゃやっていいみたいなことがウマく同居できなくなってる気がしません?」
博士「もちろん。それで高田文夫先生が「たけしも談志もあそこまでやらなかった」っていうふうに言ったのは、本当にやらなかったわけではなくて散々やってきましたけどっていうのが入っていて、もっともっとすごかったですからね」

伊集院「はあぁ~なるほど、なるほど」
博士「当時SNSがないだけで、どれほどそういう無礼失礼、そういう突破するようなお笑いがこう突き抜けていくようなことを世の中に対して、めちゃぶつけしてきたかっていうのを。それを“貴方は師匠の素晴らしさがわかっていない”とかさ来ると、いえいえいえって気持ちになりますよ、そりゃ」
伊集院「でもこれ、どうしたらいいんですか? お笑いが尊敬されるものであり憧れの職業でありになってるでしょ。しかも今は下世話なお金の話とかもするから、金銭的にもすごい恵まれている人なわけでしょ」
博士「そうそうそうそう」
伊集院「その全拍子揃ってるヤツがお笑いなのにもかかわらず、お笑いだから何言ってもいいみたいなことが成立するの? これからオレら」
博士「サシャ・バロン・コーエンていうアメリカ(※正確にはイギリス)の俳優さんでマネーメイキングスター(※2006年にランクイン)で、必ず政治家と交わってはドッキリ的なことをやって」
伊集院「めちゃくちゃな人ですね」
博士「めちゃくちゃですよ。殺人指令が何度も出てるような人であるけれど、大学をすごくできて(ケンブリッジ大学卒業のインテリ)お金持ちマネーメイキングスターでもある、っていうそのことで評価の部分が必ずあるんだ社会の中に、ってことを書いていたんだけど、“それは博士、それこそが権威主義じゃないですか?”って。“大学も良いしお金も持っているっていうことを認めて、その人がやることがすごいって言ってるのは、博士自身がその権威にひれ伏してる”って言われて「なるほど」って、そこは思ったなあ」

※サシャ・バロン・コーエンについては、文庫版『藝人春秋3 死ぬのは奴らだ』のボーナストラック『第4章【芸能奇人・文庫版ボーナス編】サシャ・バロン・コーエン』にて、博士が執筆されています。

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167916671

伊集院「あああぁぁぁぁ…反省としてっていうか「はあオレもそうなんだ」って。そこが関係ない話にしてるじゃんっていう本来だったらっていう」
博士「そこを言わなくてもいいじゃんっていうことで」
伊集院「彼が金持ってること大学出てること関係なくてただ面白いし、アイツの言うことは痛快だなでいいはずなのにっていう。まあそうねぇ…」
博士「でも社会構造上ね、同調圧力が日本は強くて欧米なんかは言わば道化、王様と道化っていう関係をそれこそ15、16世紀、シェイクスピアの時代からあって、王様はそれを許すっていう伝統文化があるっていうのは間違いないし、日本で言えば歌舞伎なんてずっとそうだし。だから令和の時代になって、芸人はすごく収入もあり高学歴でみんなの憧れの職業だから、とにかく好感度を求めてお客様を大事にし、そして品行方正でいなさいっていう圧力は強いですよね」
伊集院「それがボクらは、はたしていいとこだけ取っていいのかどうかみたいなことがちょっとあって。たとえばね芸人がそんなものにコメントすることはなかったにもかかわらずニュースに呼ばれて、ニュースで芸人らしいふざけたことを言うっていうので叩かれる筋合いはないんだけど。普通にニュース、オレはニュースコーナーをやるじゃないですか。やるし、ニュースのコメンテーターでやたら芸人いるじゃないですか。その上で無知なんじゃねぇのかって話をすることは許されるのかって、難しさっていうのかな。「その仕事は取ります。だけれども品行方正はイヤです。常識なことを言うのは無理です」みたいなことは、この時代めちゃめちゃ難しい。オレは答えが出てるわけじゃないの。正しい正しくないって言ってんじゃないですよ。難しいねっていう話をしてるんですけどもね」
博士「難しいですね。ウーマンラッシュアワーなんかそうで、いろんなとこ行って無知をさらしながら切り込むよね。角度はあることを言っているけど、でも所詮貴方は知らないっていうことを言われるから。だけどオレは彼(村本大輔)に「もっと本を読んでくれ」って。「君はお笑い界の代表なんだから。M-1(※正確には第3回(2013年)THE MANZAI)優勝したんだから」っていうのを、横綱でいてほしいからもっと教養をつけてほしいっていうのは。この論争はかなりあったんですけどね」
伊集院「これもまた矛盾してくんのがね、知識をつけて言うべきなのか無で言うべきなのか、みたいなことって。言ってることわかります?」
博士「わかります」
伊集院「芸人だからむしろ無で、バカだから一理だけあるヤツっているじゃないですか、言ってることが。バカだから故に哲学的になるみたいな切り口もあるじゃないですか。それがなんか小利口みたいな位置で止まるじゃないですか所詮それが。そのことがとてもみにくい結果になるんじゃないかみたいのを」
博士「もちろんそれがあって、伊集院なんかもオレも50歳を超えてるから本なんかをもう10代の頃から20代の頃から。生意気ですよ。一丁前なことを言い続けてきてるし書いてるし、いろんなところで言ってるし大人をバカにしてきたけれど通過儀礼を経て、たとえば結婚であるとか子供が産まれるとかそういうことを経てから、両親が死ぬということを経てわかることっていうのは通過儀礼を通り抜けないかぎり、本当の知じゃないんですよ。知ってないことなんですよ。ただ知識ってのは多分にそういう要素があるけれど、その通過儀礼そのものを自分が得れないとしたら本によって得るっていうことは、そうやって自分をプラスにしようっていう。もちろん「無知の知」であっていいんだけど、知らないことの大事さもあるんだけど。でもそれが通過儀礼と一緒なんだとオレは思ってる」
伊集院「なんか言い方替えると、それでも足りないことを自覚しながら詰め込んでいくしかないんでしょ、っていうところかしら。ていうか今、全員キョトンとしててリスナーの中に2人ぐらい「なるほど」って言ってる人がいてくれたらいいんだと思いますけど、一度CMを入れます。水道橋博士、来てもらってます」

ジングル②

伊集院光とらじおと、水道橋博士と、炎上と

博士とのトーク②

伊集院「TBSラジオ『伊集院光とらじおと』。時刻は10時まもなく30分になります。ということで、今日のゲスト・水道橋博士。こっからもよろしくお願いします」
博士「はい、よろしくお願いします」
安田「お願いします」
伊集院「なにより、ちゃんと本の話をしましょう」
博士「はい、そうですね。さっきの話ちょっとだけ言うと、本を読めば読むほど自分が無知であることを知る、本を読んでないことを知るっていう話をしてたんですよね」
伊集院「そう基本的には。それがわかった上で読んでくしかねぇだろうよっていう。人前で話すんならっていうことですよね。さあそんななかで、ちょっと安田の方からお知らせ系をお願いします」
安田「はい。水道橋博士の著書『藝人春秋Diary』スモール出版から発売中です。博士のライフワークでもある『藝人春秋』シリーズの最新刊で、『週刊文春』で連載されていた全60作を完全収録。芸能界から政界までさまざまな人物について綴った渾身のルポルタージュです」
伊集院「全部見れてないですけど見て思ったのは、博士らしいのはこれ全部載せるだけでも大変なことじゃないですか」
博士「大変です。3冊分ありますからね
伊集院「そうなの」
安田「分厚いんです」
博士「3冊に分けて出版しようとしたものを1冊にして、TBSに持ち込んでわかったんですけど、ツルハシ以外にも凶器は持ち込めるっていう」

伊集院「はっはっはっはっはっはっはっは」
博士「というのが、わかりました」
伊集院「殴りかかれるっていう(笑)。でも思ったのは、それを出すだけでも大変で、たとえば誤字脱字だけ直すっていう出し方もあるじゃないですか。でも後日談は書きたいし」
博士「書きたいし」
安田「う~ん」
伊集院「すごい手がかかったでしょ?」
博士「あとこれ週刊誌の連載で『週刊文春』に連載した1年分なんですけど、それをスラッと並べたらこの半分で済むけれど(総ページ数は560ページ)。「その後のはなし」を入れるんですけど「その後のはなし」が何を入れてるかっていうと、この本を1冊にする時に事象を並べていってその後テーマで串刺しにするっていうことをやってるんですよ。だからそのテーマそのものが何本かで串刺しにしてるので、たとえばそれが「人生の予告編」っていうテーマであったり、「文が人をつなげる」っていうテーマであったり、そういうものが最後に向かって修練していくように作ってある本なんですよね。だからどこを読んでも同じじゃなくて、最後に向かってカタルシスが向かっていくっていうふうな作りを。毎回そうしてますけど」
伊集院「それって基本的には『藝人春秋』っていう連載自体は、博士の興味がある人とか会った人とかのことをとにかく書くっていうことじゃないですか。でいて、週刊誌として連載がある時にはその一人ひとり面白れぇなって話でいいんだけど、それが単行本になる時にはまたそういう作品性があった方が…ないと博士はちょっと気が済まないというか」
博士「気が済まないですねぇ。ええ」
伊集院「オレすごい思うんですよ。ラジオの本を出す時にラジオでしゃべったことを速記すればいいじゃんっていうと、それは生放送でしゃべることはこうだけれども文字で残る時はこうって、結構特性違うじゃないですか」
博士「めちゃめちゃこだわってるよね。伊集院だって200冊ぐらい本出ても不思議じゃないですよ」
伊集院「いやいやいや」
博士「だって、しゃべりをまとめればいいわけだから」
伊集院「そうですね。書くだけでよければそうなんですけど。それは逆に言うと、オレはラジオが好きだからラジオをバカにしすぎだって思うし。なんかそんなところありますねぇ。オレは自分でゆかりがあるところで、ブッチャーブラザーズぶっちゃあさんのくだりがすげぇ好きなんですけど。なんならオレ、博士に『ぶっちゃあ伝』を1冊出してほしいくらいなんですけど」
博士「しかもあれって週刊誌でやってるから、はじまりは太川陽介さんから始まるんですよ」
伊集院「まあメジャーですもんね」
博士「メジャーだし、週刊誌的に言うと文春が太川陽介さんの奥さんの話を取り上げたから、そこが起点なんですよ」

伊集院「はいはい」
博士「だからそこから始めてるんですよ」
伊集院「で、太川さんとゆかりの深いぶっちゃあさん」
博士「ぶっちゃあさんにつないでいって、蛭子能収で下車するっていう」
安田「はっはっはっはっは」
博士「これなかなかの因果鉄道を結んだんですよ」
伊集院「これがよくできてるのが、それを『バス旅』にたとえてるんだよね。最初の始発の駅自体は太川陽介なんだけれども、その途中でぶっちゃあさんに一度乗ったりとか経由するとことして蛭子さんがあってっていうまとめ方が、なんかねそれこそオレのトークを新作落語って言ったようにちょっとした漫才なんですよね、ああいうノリって」
博士「そうですそうです」

※詳細は『藝人春秋Diary』35章『路線バスに乗車・太川陽介発ぶっちゃあ経由たけし軍団結成秘話』と36章『蛭子能収・私はバスにのりたい』をお読み下さい。

伊集院「お客さんのツッコミ入りながらストーリー立てとかが面白くて。芸人とか関係ない安田美香はどこが、誰が出てくるくだりが好きなの?」
安田「私は小泉今日子さんのところが好きでした。博士がキョンキョンさんが大好きで、会いたいけど絶対会いたくないぐらい好きで、それを大久保佳代子さんのトークで」
博士「トークっていうより、大久保佳代子さんは化粧してるだけなんですよ」
安田「化粧前で2人で話してるっていう、キョンキョンさんについて話してるっていう書き方であんまキョンキョンさん出てこないんですよね」
博士「全然出てこないです」
伊集院「キョンキョンが好きでって好きすぎると、会って何か触れるのが怖い感じっていうか」
安田「それを2人で話していてっていう(笑)」
博士「これは自分も好きな作品ですね。テクニック的な話になってるのでね」

※詳細は『藝人春秋Diary』5章『一昨日、明後日の小泉今日子』をお読み下さい。

安田「はい。あとがきがまたすごいグッと来て、ぜひそこは読んでいただきたい」
博士「それはぜひぜひ」
伊集院「でもホントにひと項目、厚さだけ見ると手に負えないと思うだろうけど、もともと週刊連載のものなので今日ここまでっていうのもすごくやりやすいし」
博士「ホントにそうですよね」
伊集院「ホントにいい作り方だし」
博士「51編の話の連なりでできてるので」
伊集院「連載の頃からすごいと思ってるんですけど、挿絵!」
博士「挿絵がね、これもう」
伊集院「江口寿史さん」
博士「これを1枚も落とさないっていうのがボクの目標だったんですよ」
伊集院「江口寿史さんといえば、【作者都合により休載です】でおなじみのスランプ来るとまったく描けない人が」
博士「“白いワニが出てくる”っていうので有名なんですけれど」
伊集院「職場に白いワニが出てきたから今週の『すすめ!!パイレーツ』はお休みっていう人だから。これ週刊連載、よく引き受けてくれましたね」
博士「よく引き受けて…「自分によく頼んだな」って思ったらしいんですよ。「週刊誌をオレに!?」って」
伊集院「週1で描くのムリだろオレにはっていう」
博士「だけど4回ぐらい、やっぱり落としましたよ」
伊集院「ああ、そうですか」
博士「実際は。特にぶっちゃあさんのなんか「(顔を)知らない」って言って、アブドーラ・ザ・ブッチャーでしたからね写真が(笑)」
伊集院「上がってきたやつが(笑)」
博士「普通に写真でしたもん」
安田「でも、その絵をいっぺんに見れるこの1冊にまとまってるっていうのもすごい」
博士「そうなんです。そういう画集としても特に美人画を描かれる先生だから、こういうおっさんだらけなのが珍しいですよね」
伊集院「すごいなんかね、博士の筆でオレのこと書かれるの怖いのね。怖いからイヤなんだけど、たとえば今パッと開いたところに太田光の似顔絵見ちゃうと」
博士「これめっちゃ評判がいいんですよ
伊集院「めっちゃめちゃいいよね!
博士「これが一番評判いいんです」
伊集院「これオレ、太田光だったら江口寿史にこう描かれたことが」
安田「はい」
伊集院「めちゃめちゃ名誉で嬉しいと思うんだ。すげぇ複雑な」
博士「それですぐあれですよ、『(爆笑問題の)日曜サンデー』に呼ばれて、この似顔絵の話になって「今博士に毎週描かされてるけど本当は美人を描きたいんだけど誰を描きたいですか」って言って、吉岡(里帆)さんの名前を挙げて、その翌週はそれをボクが書くんですよ。だからそういう共同作業っていうか、絵師とはそういう遊びもあるんですよね」

伊集院「なんか面白いですね、つながってく。それで1個だけ聞きたいのは絶不調の時。博士が絶不調の時って、それがなんにもつながらなくなるわけでしょ?」
博士「つながらない」
伊集院「何の発想も面白いの方には行かなくて。オレも経験あるから、悪いことにしか行かなくなるっていう時があるわけでしょ」
博士「悪い発想してるんじゃなくて脳の機能障害みたいな。何も動かないってことですよね」
伊集院「あんだけ次々と面白いことがつながってたのに、何も発見できなくなるじゃないですか。どう脱出したの?」
博士「またそのことも本とかに書きたいんだけど。まあそれはでも悩んでる人もいるし、そういう脱出方法とかちょっとまとめて書きたいなとは思ってますね」
伊集院「へぇ~。ホント聞きたいこと全部聞いとこうかな。漫才は?」
博士「あっ漫才もね、やりたいですよ。今事務所が違うんでね、相棒とね」
伊集院「そう…そうねぇ」
博士「だけど最近してるたとえは、“籍は抜かないけど別居してる熟年夫婦”みたいなんですよ。だから“漫才は床を共にする”っていうことなんですよ」
伊集院「ちょっとセックスレスみたいな」
博士「そうなんですそうなんです。なんかのきっかけで、またできるようになるんじゃないかな(笑)」
伊集院「でも面白いですよね。それが若い頃の自分たちだったらイコール仲悪いと思っちゃうじゃないですか。でもそうじゃないじゃないですか」
博士「そうじゃないですよね。だからやっぱ一緒の部屋に寝るべきですよね」
伊集院「あぁ、はいはいはいはい」
博士「別居っていうか同居してないと、やっぱ機会が減りますよね」
伊集院「それは博士でいう同居は、一緒に仕事をするっていうこと?」
博士「もそうだろうし、また同じ事務所になるとかね。そういうことも大切だと思ってますけどね」
伊集院「ですよねぇ。もう60(歳)寸前じゃないですか。若い頃は60寸前って、もう落ち着いてると思うじゃないですか。落ち着かないですね世の中」
博士「いや60ぐらいでも、まだ若きおぼん・こぼんみたいなもんですからね」
伊集院「はっはっはっはっはっはっはっはっは」
博士「いつどうなるかわからないぞ、っていうね」

◆注釈
浅草キッドの現在の関係については、『週刊アサヒ芸能』2022年1月13日号(徳間書店)内『内山信二・吉田豪・浅草キッドが“ビッタビタ”選考 輝く!有名人スキャンダル大賞』にて上記同様に発言。

https://bit.ly/3eX9NUk


伊集院「そんななか時間も来てるので」
博士「あ、そうなの?」
伊集院「今後新たにチャレンジしたいことや、今ちょっとこういうの動いてるんですみたいな」
博士「60歳とかね、50歳で編集長になるって言って、本当は編集長やりたかったから60歳はもっとビックリするようなね。なんでしょうね、性転換とかやってみたいですね」
安田「え~~~?」
博士「えーーっていうようなね」
伊集院「なんかね~博士のその一貫と、もちろん本だって一貫してることしてないこといっぱいあると思うんですけど。オレが見てるなかで軸になることは、オレねずっと思ってたのはずーっとすごく博士っぽいなって思ってたのが、博士がもう何年前かな? 健康に関する本を書いた時に「書かなそうじゃん」っていうことがもう面白いことっていうのかな。要するに博士が一貫するのはお笑いのことを書くのが一貫してると思ってる人はちょっと浅くて、やんなそうなこと、そんなことやんのってことをやることがお笑いってことでいうと、博士にはすごい一貫性があって」
博士「健康本書いた時に伊集院が、その後オレが体調を崩して「あんな健康本を書くからだ」って言われた時に、伊集院が「いや違うよ。あれ書かなかったらもっと悪くなってるよ」って」

伊集院「そうそうそうそうそう(笑)。あそこで書くために勉強しといて良かったっていう話でね。まあ博士がいるからホントに照れも隠さず言えば、“博士がいるから負けてらんない”って、今でも思いますもん。今でも思うし何かをコメントする時に、そのままは言わないけど博士だったらここで黙ってないだろうなっていうことがオレを刺激したりとか、博士は黙らずにここでこういうことを言うからツラい目に遭うんだから、オレは黙っとこうと思う時もあります(笑)。だけど、どっかにやっぱりちょっと」
博士「反面教師もあるからね」
伊集院「どっかに必ず博士がいるのは自覚してますね」
博士「『人生ゲーム』を同じ盤の上で爆笑問題もそうなんだけど、同じ頃にスタートして「アイツ、3つ子供のやつ背負いながら行ってんな」って。「また太田が接触事故起こしたぞ」とか、そういうね」
伊集院「オレは54(歳)で(博士は)59(歳)じゃないですか。5マス先にいるじゃないですか。5マス先にヤベぇマスあんなみたいなことも、ちょっとわかるから(笑)」
博士「でもその盤の上に一緒にいる感じはすごくあるんですよ」
伊集院「ありますねぇ~。なんか話尽きませんが、今日のゲスト、水道橋博士ありがとうございました」
安田「ありがとうございました」
博士「どうもありがとうございました」

<感想>
放送尺自体は35分ほどだが、博士と伊集院さんの対話量がとにかく多い。
それだけこの短い時間の中で話したいことが山ほどあり、お互いを知り尽くしているだけにどこから攻めても話が噛み合う信頼感があったのだと思う。
当日の日記も是非ご参照ください。
そしてトーク前半の最後に出てきた「無知の知」については、当日夜に配信した博士のツイキャスでも詳細に本を読むことの必要性を語っています。こちら下記より是非ご覧ください。

最後に個人的には伊集院さんの「テレビになりたい」を契機に、何年ぶりかに『JUNK 座談会スペシャル2008』のことを掘り起こし、再聴できたことがなによりも嬉しかった。
当時は極楽とんぼ・加藤浩次さんの相方・山本圭壱さんが謹慎となりコンビとしての活動を休止中。その後、出演者の一組、アンタッチャブルも諸事情で柴田英嗣さんが活動休止、コンビ再結成までに10年ほど時間がかかった。さらに雨上がり決死隊は昨年解散という結果に。極楽とんぼは山本さんが復帰したが、同じく昨年、加藤さんが独立した。
そういった「その後のはなし」を知った上で、2008年にタイムスリップして聴くとこれまた面白かったりする。
そして伊集院さんが現代につながる、ある予言めいた発言もしている。
興味ある方は下記よりぜひご聴取いただければと思います。


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