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いまだに残り続ける応急処置の「間違った常識」

「どんなキズもまず消毒」「鼻血が出たら上を向く」は正しいの?


ちょっとしたケガ、例えばすりキズを作ってしまったときはどんな処置をしていますか。
全国の20~70代の男女を対象に「キズの手当てに関する意識調査」を実施したところ、8割超の人が「キズができたときは消毒した方がいい」と回答しました。
また、6割以上が「鼻血が出たら上を向く」と答えたそうです。
調査した会社は「応急処置にまつわる間違った古い常識が残っており、正しい知識へのアップデートが必要」だと指摘しています。

ほとんどのすりキズに消毒は不要!?


「すりキズをしたときは、消毒をすべきだと思いますか」と聞いたところ、82.2%の人が「消毒をするべき」と回答しました。
また、「通常の絆創膏はキズを保護するだけのもので、キズを治す効果はないことをご存知でしたか」と聞いたところ、42.2%の人が「知らなかった」と回答したそうです。  
さらに、「キズができたときの対応として、普段行いがちなものを選択してください」と聞いたところ、「消毒し肌色タイプの絆創膏を貼る」(44.4%)、「水道水でキズを洗い、モイストヒーリング(湿潤療法)タイプの絆創膏を貼る」(23.9%)、「特に何もせず、キズを乾かす」(16.1%)、「消毒しガーゼを貼る」(16.1%)と続きました。
また、モイストヒーリング(湿潤療法、後述)については、「聞いたことはない」(50%)、「なんとなくどのような治療方法か知っている」(20.56%)、言葉だけ聞いたことがある(19.44%)、「具体的にどのような治療方法か知っている」(10%)という結果になりました。  

すりキズ、切りキズへの対応法

  「すりキズをしたときは、消毒をすべきだと思いますか」と聞いたところ、82.2%の人が「消毒をするべき」と回答しました。
また、「通常の絆創膏はキズを保護するだけのもので、キズを治す効果はないことをご存知でしたか」と聞いたところ、42.2%の人が「知らなかった」と回答したそうです。  
さらに、「キズができたときの対応として、普段行いがちなものを選択してください」と聞いたところ、「消毒し肌色タイプの絆創膏を貼る」(44.4%)、「水道水でキズを洗い、モイストヒーリング(湿潤療法)タイプの絆創膏を貼る」(23.9%)、「特に何もせず、キズを乾かす」(16.1%)、「消毒しガーゼを貼る」(16.1%)と続きました。
また、モイストヒーリング(湿潤療法、後述)については、「聞いたことはない」(50%)、「なんとなくどのような治療方法か知っている」(20.56%)、言葉だけ聞いたことがある(19.44%)、「具体的にどのような治療方法か知っている」(10%)という結果になりました。  


モイストヒーリングとは
キズを治す時は消毒した後に絆創膏を貼るなどして保護し、カサブタを作って治す「ドライヒーリング療法」が一般的でした。
この療法だと、傷跡が残りやすいだけでなく、カサブタの下に僅かしか体液が残らず、キズの修復能力が十分働いていなかったので、キズの治りが遅かったのです。
しかし近年、カサブタを作らずにキズを治す「モイストヒーリング療法(湿潤療法)」が、新しいキズケアの常識として注目されています。
ケガをすると傷口から血や体液が出てきますが、実はこの体液にはキズを治す因子がふくまれています。
さらに、傷口を体液で覆われた環境(湿潤環境)で維持することで、キズを修復する因子が活発に働いて、表皮の再生が促進され、キズが早くきれいに治ります。

モイストヒーリングは、傷口から得る体液(湿潤液)を吸水・保湿性の良いパッドで保持し、傷口の湿潤環境を保つことによって皮膚の再生をスムーズにします。
さらに、傷跡が残りにくいだけでなく、傷口に密着するので、神経への刺激が減り、痛みをやわらげます。

家庭での実践方法

STEP1:傷口を洗う 傷口を水道水で洗って、異物や汚れを洗い流した後、キズとその周りの水分を優しく拭き取り、「高機能絆創膏」を貼ります。消毒液は、しみて痛いだけでなく、キズの治りを悪くするので使用しないでください。STEP2:高機能絆創膏を貼る 傷口より大きめのパッドで、キズを完全に覆うように貼ります。STEP3:定期的に張り替える 1~3日ごとを目安に張り替えます。または、パッドから滲出液が漏れたり、パッドが汚れた場合も、その都度新しいものに交換します。

鼻血が出た時は、目と目の間のおでこを冷やす
また調査では、「鼻血が出たとき、どのような処置を行いがちか」についても質問しています。「鼻をつまみ、上を向く」(61.7%)、「鼻をつまみ、下を向く」(38.3%)という結果になりました。


【鼻血が出たときの対処法】


<昔> ティッシュを鼻に詰め、上を向いて頭の後ろを叩く。
もしくは鼻の上の骨の硬いところを押さえる。
<今> 小鼻をつまみ座って下を向き、目と目の間のおでこを冷やすと5分程で鼻血が止まる。
横になるときも顔は下向きにする。
<解説> 上を向くと、血を飲み込んでしまい気持ち悪くなったり、血が流れ込み気道をふさいでしまったりすることもあります。横になる時も顔は下に向けるようにします。

応急処置でよくあるカン違い

学校や職場の行事などで一度は聞いたことがあると思いますが、ねんざや打撲などのケガをしてしまった際に、まず最初に実施したほうがよい応急処置を、それぞれの頭文字をとってR.I.C.E(ライス)処置というのですが、その内容までご存知でしょうか?
 
R.I.C.E(ライス)処置とは?
Rest(レスト)・・・・安静
Icing(アイシング)・・・・冷却
Compression(コンプレッション)・・・・圧迫
Elevation(エレベーション)・・・・高挙、挙上

おそらくここまでは既にご存知の方も多いと思います。
では、実際にご自身や周りの人がケガをしてしまったときに、正しく処置できますでしょうか?こ実際にあったカン違いの例を挙げながら説明していきます。

実際にあったカン違い

Rest(レスト)・・・・安静
これは文字通り患部に負担がかからないような姿勢をとり、まずは安静にしてくださいという意味です。
決して患部の腫れが引くまで放っておいたり、静かにしていたら治るということではありません。
たまにですが「腫れたけどしばらくしたら治ると思って放っておいたら余計に悪化した」ということもありますので、気をつけください。


Icing(アイシング)・・・・冷却
ライス処置の中でおそらく一番多くの方が間違えて実施してしまっているのがこのアイシング(冷却)ではないでしょうか?
具体的にどのようなカン違いかというと、市販のシップでは冷却にはなりません!ということです。
現在市販されているシップ薬の多くはパッケージを見ていただくと、冷感や温感など「感」の字が入っていると思います。文字通り「冷たく感じる」ためにメントールなどの成分が入ってるだけで、応急処置に必要な冷却効果は期待できません。
では、患部を冷却するにはどのようにするのが良いかというと、「バケツなどに氷水を作り、その中に直接患部を浸ける」
「氷のうやビニール袋などに氷水を作って患部に当てる」など、とにかく氷や水で冷やすということです。
氷がない場合などは流水をかけ続けたり、濡らしたタオルを当てたりして代用してください。
アイスやケーキを買ったときに付いてくる保冷剤も氷の代用になるので、取っておくとよいでしょう。


Compression(コンプレッション)・・・・圧迫
ここでいう圧迫とは、「患部の安静をはかり、腫れすぎを防ぐために押さえてください」ということです。
あまり強く押さえ過ぎてしまったり、包帯などをグルグル巻き過ぎてしまうと患部が腫れてきたときに内圧が高まり過ぎてしまい、症状の悪化や血流障害を起こすこともありますので、患部を包み込む感じで押さえてあげてください。


Elevation(エレベーション)・・・・高挙、挙上
これはあまり間違える人もいないのですが、腫れを抑えるために無理のない程度に患部が心臓より高い位置にくるような姿勢をとるようにしましょうということです。

RICEからPRICEそしてPOLICE +OLへ

従来は、応急処置の手当の基本はRICE処置と言われてきました。
Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)、これらの頭文字をとったものであり、スポーツを始め外傷の緊急処置の基本と言われています。
PRICE
安静だけでは、損傷した組織を保護できないことから、RICEにProtection(保護)を加えたPRICEと呼ばれる処置に変遷してきました。
さらに近年において、急性損傷の早期管理として必要以上の固定、安静は悪影響を及ぼすことが分かってきており、安静(Rest)を、Optimal Loading(最適な負荷)に置き換えたPOLICEという概念が広まりつつあります。
 
POLICE
Protection(保護):装具やシーネなどで損傷組織を保護し、再受傷、悪化を防ぐことが目的。
Optimal Loading(最適な負荷):早期に最適な負荷をかけることで最適な組織修復を促すことが目的。
各組織、部位に対する適切な負荷は専門家の意見を聞いてから行うことを推奨します。
Ice(冷却)疼痛の緩和、異常な筋収縮パターンを改善することが目的。
Compression(圧迫)患部の内出血や腫脹を防ぐことが目的。
Elevation(挙上):浮腫の軽減を図ることが目的。



最新治療法、Optimal Loading:(最適な負荷)とは
生理学的適応を最大化する構造にかかる負荷であり、早期の最適な負荷は治癒に関連する重要なタンパク質の生成を促進し、修復の質を改善することで細胞応答を促進すると考えられています。適切な負荷を適切な組織に機能的範囲内で行うことで、最適な組織修復が期待されます。

救急車の呼び方
通報の際は、おちついて、はっきりと通報しましょう。
*119番にダイヤル
「火事ですか?救急ですか?」と聞か 
れたら、「救急です」と答えます
*住所、目印を告げます
*事故や傷病者の状態を説明
*通報者の氏名、電話番号を告げます
*サイレンの音が聞こえたら、出来るだ
け救急車を誘導してください
*指示されたことがあれば、そちらを行
ってください
*救急隊が到着したら、行った応急手
当、容体の変化、傷病者の既往歴な
どを報告しましょう


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