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メール(スマホ・携帯)の片手打ちにご用心

手をぎゅっと握りしめて、パッと開く。
この動作がなめらかにできますか?
バキバキッと音がしたり、うまく指が曲がらなかったりしませんか?指を使いすぎると炎症が起き、手首や指が痛んだり、スムーズに動かせなくなったりします。
このような症状が腱鞘炎(けんしょうえん)です。キーパンチャーやピアニストなどの職業病として知られていましたが、最近はスマホ操作により引き起こされるケースが増えています。


■腱鞘炎かどうかのセルフチェックを


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以下のような症状は腱鞘炎の疑いがあります。

・指がだんだん痛み出した。
・指を動かしたとき変な音が出る。
・親指の付け根に圧痛や腫れ、手首の痛みが起こる。
・手や指を使うと痛み、握る動作などができない。
・指から肘(ひじ)の間の筋肉を押すと痛む場所がある。
・指を強く伸ばしたときの痛みが出る。

腱鞘炎には「ばね指(すべての指の屈筋腱に起こり得る)」と、「ドケルバン病(手首の親指側に起こる)」という二つのタイプがあります。

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ばね指は、曲げた指を伸ばそうとすると痛みや引っかかりを感じ、力を加えるとバネがはねるように指先がピンと伸びます。親指付け根に発生します。
ドケルバン病は、手首親指側腱鞘に炎症が起こり、腫れて痛むものです。重症化すると親指を広げることができなくなり、指を動かすと強く痛みます。


■英国ではメール打ちすぎで年間380万人に障害


携帯電話会社の英ヴァージン・モバイル社は、スマホや携帯メールの打ちすぎで指の痛みなど「RSI」(反復運動過多損傷)を患う人が、年間380万人に上ると発表しました。
RSIというのは、同じ動作を休みなく繰り返すことで発生する症状の総称で、上記の腱鞘炎のほか腱滑膜炎、各種管症候群などがこれに含まれます。                          
同社の調査によると、イギリスでは約12%の人が1日当たり1~20通のメールを発信し、10%の人はそれ以上、多い場合は100通以上を打ち込んでいます。
同社では「数分間打ったら一回休む」ことなどを呼びかけるほか、予防マッサージを考案し、専用ウェブサイトで紹介しています(図)。

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■米マイクロソフト社の調査では68%が痛みを訴え


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携帯端末の多用による反復運動過多損傷は何もイギリスに限ったことではなく、ヨーロッパ全土、そしてアメリカなどでも問題視されつつあります。マイクロソフトの調査によると、仕事が原因のRSI(反復運動過多損傷)は増加の一途を辿り、オフィスワーカーの68%が何らかの痛みを訴えているそうです。
従業員に痛みと消耗性の不快感を引き起こすRSIは過去1年で30%増加し、これによって引き起こされる労働時間の減少は6億ドルもの損失にあたると計算されています。
症状は一般的に背中や腰、肩、そして手や手首に表われているそうです。 RSIは、症状によっては手術の必要も出てくるそうで、対策としてはこまめな休憩を心がけることが効果的だそうです。


■シニア世代にもRSIが急増


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パソコンと接する時間が増えたシニア世代にも、“パソコン指腱鞘炎”ともいえる症状の事例が出始めているそうです。マウスのクリックを繰り返すことにより、指の腱鞘を傷めるもので、加齢とともに指の腱鞘が硬くなっていることが発症の一因といわれています。
専門の医師は、マウスの長時間使用を控えるよう呼びかけるとともに、症状に気づいたときの早期の治療を促しています。
また。中高年、とりわけ女性の場合、ケータイメールに夢中になりすぎないよう注意が必要です。
専門医は「若い人は、軽い腱鞘炎になっても一晩寝れば回復しますが、出産後や更年期の女性は、女性ホルモンの低下により腱鞘が硬くなり、ケータイメールを打ちすぎると親指の腱鞘炎を起こしやすくなります」と指摘します。

指や手首をよく使ったあとは、なるべくストレッチをして筋肉の緊張を解きます。曲げ伸ばしをしてほぐしておけば、腱の負担も減り炎症が起きにくくなります。


ベッドで寝ころびながらのスマホにご注意


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ベッドの中で、うとうと、ぬくぬくしながらスマートフォンやiPadを眺める、「寝モバ」が好きだという人は多いようです。
しかしこの寝モバは、度を過ぎると、ある睡眠障害を引き起こす引き金となる事を知っていますか?
アメリカでは睡眠中にスマホ(携帯)から無意識にメールを送る「Sleeping Text」という現象が社会問題となっています。
これは夢遊病のような一種の睡眠障害で、症状が酷い場合(重要情報の流出や迷惑メールの無意識下での送信)には医師の処方を受ける必要があるほど深刻な疾患だと言われています。
この症状を防ぐ為には、睡眠前にスマホ(携帯)をベッドから物理的に離しておく必要があります。
毎晩「寝モバ」を行っている人はSleeping Textの予備軍と呼べるでしょう。注意が必要ですね。

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■スマホを置いてさっさと寝よう


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OnlinePsychologyDgree.netという海外の教育情報サイトの調査によると、スマホやタブレットPCを持つ人の95%が布団の中でネットサーフィンやメール、動画の視聴をしているそうです。


【ネット中毒の実態】
・95%の人は布団の中でネットサーフィンやメールの送受信、動画の視聴をしている。
・18歳から29歳の90パーセントがスマホを自分のベッドの真横に置いて寝る。
・10人に1人が電話やメールの着信音によって、寝ている間に少なくとも数回は起きてしまう。
・2人に1人はたまたま夜中に目覚めてしまった時、すぐにスマホ(携帯)をチェックする。


【健康への影響】
・寝る前にスマホを使う人々の63%の人が寝不足気味であることが判明。
・電子機器は着信音などで人を起こしてしまうだけでなく、深い眠りの妨げになる。
・画面から出ている光を2時間浴びると睡眠を促進するメラトニンが22%減少する。


■布団の中ではスマホは小さな太陽


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ドライアイ治療のスペシャリストである後藤眼科医院(神奈川県鎌倉市)の後藤英樹院長によれば、「人間は、無意識のうちに1分間に平均14回のまばたきをするが、スマホなどに熱中していると、1分間に5回程度までまばたきは減ってしまう」
「涙の量が減り、目の表面の角膜や結膜が傷つく。目が乾燥するだけでなく、目に必要な栄養分の補給や目の修復の妨げにもなる」そうです。
画面から放たれるブルーライトの影響も無視できません。「そもそも人間の歴史上、光源の光そのものをこれほど近くで長時間見つめるようなことが少なかったでしょう。そのため、目への光の影響が心配されているのです。ブルーライトを多く含むLEDディスプレーの機器は、いわば『小さな太陽』のようなもの。夜間の長時間の使用で不眠が引き起こされるなど、生体リズムへの影響にも注目が集まっています」
「光のエネルギーは、距離の2乗に反比例するため、目からの距離を30センチから倍の60センチにすると、4分の1に低減することが可能です。意識して輝度も下げるようにしましょう」(後藤院長)


■ノー・スマホ・デー(タイム)を設けよう


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スマホなど携帯末端との付き合いには節度を持ち、さらには意図的に自然に触れることによって、目も身体も休ませる必要があります。
前述の後藤院長も、「私も携帯端末は文明の利器として便利に使用していますが、月に1日でも『ノー・スマホ・デー』、寝る前の数時間は必ず『ノー・スマホ・タイム』を設けるよう心掛けています」
便利なツールに振り回されることなく、意識してスマホを遠ざけて、デジタルデトックスしましょう。

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