見出し画像

桜が咲いた日

空虚感…
そして虚無感

突然やってくる、やり場のない心

何かやろうと思っても
何もやりたくない
どうしたらいいのか
何をしたいのか
わからない

わかっているのは
この状態から早く抜け出さないと
又あの深い淵に落ちてしまうということ

何度も何度も
落ちかけても、なんとか這い上る

一度落ちてしまったら、簡単には出てこれないことを知っているから

自分しか
自分でしか、自分を助けられない

真衣は、このまま、沈んで行きたいような衝動と必死で戦っていた。

このままでは、又あの暗い場所に、心が逃げ込んでしまう

最近の真衣は、疲れていた。
仕事でも、プライベートも

仕事は年度末の忙しさと、同僚の不在により、不安と疲れで、ヘトヘトだった。
仕事後の疲労感は、家に帰ると突如襲ってきて、一歩も歩けない。何もしたくない。
そんな感じだった。

そんな中、親友と喧嘩をした。

親友が、絶対に苦難の道となる道を選ぼうとしていることに対して、必死で止めたけれど、わかってもらえなかった。
苦労するのは自分なんだから、ほっとけばいいじゃん。
周りはそういうけれど、やっぱり大切な友達に、しなくていい苦労をして欲しくなかった。

でも気持ちは伝わらない。
一途に思い込んだら周りが見えない。
そんな子だって知ってはいたけど

私は無力だ。

とはいえ、それだけで、
こんな空虚や虚無に襲われたのではない気がする。

小さな小さな玉が、少しずつ瓶に溜まって行くように、私の心が、不安や悲しみや、恐れに侵されていく。

以前私を、暗闇から助け出せたのは先生だけだった。
先生は私に、休養と、薬と、セルフカウンセリングする術を教えた。

だから私はもう、再びあの淵に落ちそうになっても、自分で自分を救う事ができる
もう私は、淵に落ちない

そう、マインドコントロールをかける。

本当は、何度も足を突っ込んでいることを、どこかで知っている。

違う
違う
私は淵に落ちていない
私は大丈夫

そう言って、騙し騙し生きていることを。

テレビの音も
好きな音楽さえも、
耳障り。

ただなんとなく味がしないご飯を食べて
満腹なハズなのに、夜甘いもの手を出して
もたれた胃をさする

何をするわけでもなく、
ボーっとしたまま時間が過ぎて、
気づいたら夜12時過ぎていて

眠れるだろうか…

真衣は、布団に入ると、目を閉じた。

翌朝、目が覚めた。

眠れた。

真衣は、ほっとした。

まだ大丈夫。
まだ頑張れる

でも、昨夜放置した残骸が目の前に広がっている。
そーいえば寝る前の、ストレッチも瞑想もしなかった。

自分で勝手に決めた
やるべきこと
やらなければならないことを
たとえ、三日坊主と言われても
一度サボり出したら、続かなくなるぞ!
そういう声が降りてきても

無理にやらなくていい。

大切なのは、自分の心と身体だから、

今、まだ眠れる時に
エネルギーが残っているうちに
しっかり睡眠をとって
朝早く起きて
朝日を浴びること
朝の空気を吸うこと

これが1番の疲れた心も身体の薬だということは、わかっているから

やるべきことをやらなかった自分を責めてはいけない。
大丈夫
間違ってない。


窓を開けたら、家から見える川べりが
ピンク色に染まっていた。

桜が咲いてる
可愛くて優しくて、美しい桜

家を出ると、桜の花に近づいて、
そっと桜の花に触れた

真衣の心は、ふっと明るくなった。

お花はいい
自然はいい

そういえば、先生が、土いじりもまた、
疲れた心のセルフカウンセリングを助けると言っていた。

今度の休みは、お花の苗でも買ってきて、可愛い鉢に植えようかな

やろうと思うことができただけで、セルフカウンセリングは成功だわ

真衣は、ふふっと笑って、
さあ、今日も仕事頑張るぞ‼️

そう言って、足早に駅に向かった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?