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あのとき

小学生の頃、父親のお金をくすねたことがある。記憶が正しければ、600円くらい。

当時お小遣いを特にもらっていなくて、母の買い物について行ったときは100円分までお菓子を買ってよかったけど、それ以外で欲しいものを十分に買ってもらったという記憶がない。きっと、そんな事はないはずだけど。

どうぶつをフォレストにおいでよするゲームが流行った時期、私も周りの友だちに負けじと、ゲームが欲しいと思った。親にもそのアピールをした。

でも私は、ゲームを買ってもらえなかった。「女の子だから、ゲームはしなくて良い」という(今の時代だとブチ切れる人がいてもおかしくない)理由で。

私と同じ女の子であるはずの友人らはゲームを買ってもらって、みんなで集まった時には楽しそうにプレーをしていた。手持ち無沙汰なわたしは、ひとまず部屋の外に出て散歩をしていた記憶がある。

いくら事情を述べたって、お金をくすねることは許されたことではない。小学生の頃とはいえ、それくらいの判断はしてほしかったなぁと思う。

一方で思うのは、どうしてお金をくすねたかという動機が全くわからないことだ。600円では、どうぶつをフォレストに招くこともできない。わからないことを急いで雑な言葉に表すつもりは毛頭ないけれど、ただ覚えているのは、ゲームをする友人らの輪に入れないあのときの寂しさだ。

お金が人生の全てではないけれど、お金がある人生は幸せだと思う。社会人になり自分で稼げるようになって、両親や家族にあげたいものを贈れることが、今のわたしが誇れることのひとつだ。

最後にもう一度。

お金は人生の全てではない。でも、大事。

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