MBAってどんな科目があるの?名古屋商科大ビジネススクールの2年間で私が履修した科目一覧


名古屋商科大学大学院(名古屋商科大ビジネススクール、略称NUCB)に2年間、通学して、多くの必修コア科目、コア科目、選択科目(選択科目のなかでも所属内、所属外、単科などに分かれる)を私は受けてきました。MBAではどんな授業があるのか?5分ぐらいでイメージを摑みたい方に説明します。

(1)履修科目一覧(時系列)

私は、32科目(うち単科が7回)、ゼミ1つを履修しました。32科目のなかで再履修が2科目・4単位分ありました。参加状況ですが、欠席はゼロ。遅刻が1回。未提出の課題レポートはゼロです。(外形的には)真面目な大学院生でした。

履修科目一覧(時系列)

(2)履修科目の分類と一覧表(学問領域別)

私なりにNUCBの科目を分類すると「理論・思考」「企業分析」「マーケティングと経営戦略」「管理会計」「財務」「リーダーシップ・組織」「危機管理、リスク管理」「企業倫理」「イノベーション&デジタル」「経済学・行動経済学」「生産管理」「事業承継」「ゼミ」となりました。それぞれ1科目から最大5科目まであります。

履修科目一覧(領域別)

(3)履修科目ごとの簡単解説

授業の大前提はオール・ケースメソッドです。単科は2日間、それ以外は4日間が基本です。1日分は6時間以上(昼休みを含めると7時間以上)の授業があります。

「理論・思考」科目は、情熱の塊である長沢雄次先生の「Strategic Thinking」と、指導力のある伊藤武彦先生の「Critical Thinking」(単科)です。これらの2つは最初に受けられるとラッキーです。MBAの登竜門というか、これを最初に受けずして他の授業を受けても効果が薄くなります。基礎・土台のような科目です。どちらの先生も熱いです。

「企業分析」科目は、やさしく基礎知識を教えて頂ける芳賀裕子先生の「Business Analysis」と、こちらも生徒のペースで授業を進めて下さる小林伸行先生の「Business Analysis」です。同じ講義名ですが、所属プログラムも違うと内容も大違いです。芳賀先生はとにかくフレームワークの練習です。小林先生は財務諸表の読み込みです。

「マーケティングと経営戦略」科目は、緊張感溢れる授業を生み出す牧田幸裕先生の「Marketing Management」と「Aligning Strategy & Sales」の2科目。笑いが絶えない齊木乃里子先生の「Marketing Communication」、やさしい植野大輔先生の「Marketing Essentials」(単科)です。牧田先生は基礎を徹底的にたたき込むイメージです。齊木先生はブランドとコミュニケーションに特化しています。植野先生はN1です。それぞれ指導方針が違いますし、マーケティング戦略のアプローチも異なります。全て受けることをオススメします。

「管理会計」科目は、基礎からロジカルに説明して頂ける金子智朗先生の「Strategic Managerial Accounting」と、実践的で先進的な内容を教えてくれる古賀健太郎先生の「Driving Corporate Performance」です。いずれもKPIを扱いますが、それぞれ全く別のアプローチをされています。

「財務 」科目は、膨大なオリジナル教材で教えて頂ける小林武先生の「Strategic Corporate Finance」、短時間でシンプルに基礎を教えてもらえる田中誠和先生の「Finance Essentials」(単科)、思考が深い樋原伸彦先生の「Financing of Innovation」です。不可能な順番ですが、田中先生→小林先生→樋原先生の順序で受講できるとパーフェクトなのですが・・・。恐らく無理です。小林先生はファイナンスを俯瞰してとらえられます。田中先生は基礎の基礎です。樋原先生はベンチャーに特化したファイナンスです。

「リーダーシップ・組織」科目は、組織論では超有名教授の髙木晴夫先生の「Organizational Behavior & Leadership」、三宅光賴先生の「Corporate Mission & Strategy Transforming Leadership」、長沢雄次先生の「Transforming Leadership」です。三宅先生は授業が面白いです。長沢先生は、企業を越えて、業界や国のリーダー論です。

「危機管理、リスク管理」科目は、知的な大槻奈那先生の「Crisis Management & Leading Change」、本当は数学専攻ではないかと感じる姉川知史先生の「Risk Management & Sustainability」、幅広い知識を持つ刈屋武昭先生の「Crisis Management for Sustainability」(単科)「Risk Management」(単科)です。私が一番苦手意識があった科目群です。姉川先生と刈屋先生はいずれも財務や数学の知識が必要です。

「企業倫理」科目は、商社の法務経験がある阿部博友先生の「Corporate Governance & Business Ethics」です。普段は必要ない知識かもしれませんが、結局、倫理観が欠如するとすべてがゼロになります。受講をオススメします。

「イノベーション&デジタルトランスフォーメーション」科目は、澤谷由里子先生の「Innovation Ecosystems」、内古閑 宏先生の「Driving Strategic Innovation」、加藤和彦先生の「Changing the Game」と「Driving Digital Transformation」、根来龍之先生の「Driving Digital Strategy(DMP)」です。澤谷由里先生と内古閑宏先生のイノベーション論は、基礎を終えた後に聞くことがオススメです。私としては経営学基礎の上に立ちながら、それの限界について考える授業だと感じました。加藤先生と根来先生は共に早稲田大学で経営学を研究されていました。根来先生の授業が守備範囲が広く基礎的ですが、とても情熱的。加藤先生の授業はプラットフォームビジネス戦略論を掘り下げるので専門的です。いずれもイノベーションがどのように起きるか、いろいろな角度から分析をして形式知に昇華しています。

「経済学・行動経済学」科目は、著書も多く日本銀行政策委員会審議委員もつとめた経験もある原田泰先生の「Taxation Issues and Economic Policy」(単科)と、研究科長の岩澤誠一郎先生の「Behavioral Economics」です。原田先生の授業は「単科だしな」と軽い気持ちで受講したら大変なことになりました。経済学や財政学をもっと勉強してから臨まないといけない、レベルの高い授業です。岩澤先生の授業は、プログラムや授業が芸術品レベルです。

「生産管理」科目は、技術経営に詳しい矢本成恒先生の「Technology & Operations Management」です。私は工場や生産などの現場経験がないのでリアルな情景を思い浮かべずに苦労しました。

「事業承継」科目は、齋藤孝一先生の「SME Business Succession」(単科)です。二日間、「会社法」の条文を徹底的に読みながら。小さな会社の事業承継についてロールプレイングをします。

ゼミは、NUCBの総決算として「経営戦略」を意識しました。

それぞれの指導教員のプロフィールはこちらからご確認ください。

(4)まとめ

NUCBは多彩な授業があります。1年生のときは必修コアやコア科目を中心に履修すると思います。これが順調に進めば、2年次は自身の興味の領域の授業を取ることも出来ます。そして私のように苦手科目を徹底的に潰していくように受けるというスタイルもオススメです。いずれにせよ、ケースメソッド&評価というシステムがベースにあり、多彩な/多才な教員がいるので、多くの学びを得ることが出来ます。そして守備範囲も広いので、是非、多くの大学院志望者に入学して欲しいです。



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