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雑記:電音部アザブエリアは素手で人をボコボコにすると思う

電音部を聴いています。まずはご一聴。

電音部とは? 広義サイバーパンクな近未来東京でDJに青春を捧げる少女達の物語です。ネオン……SF……AI……シンギュラリティ……ショウビジネス……部活動……四つの勢力……プライド……友情とは……愛とは……そのような何か。
認識がふわふわしているのは僕の勉強不足が原因です。とはいえまだ話の本筋が進行していない、というかどんな形で展開するのかも定かでないので、どうにも。耳目を集めている楽曲周辺についてはこちらの記事が詳しいです。

さてアザブエリアです。

左から白金煌(しろかね・あき)、黒鉄たま(くろがねー)、灰島銀華(はいじま・ぎんか)。

強そう。"国内最大の財閥「白金財閥」が区画内の7割を買収、傘下の人間とその家族のために設立された港白金女学院" "学院長の娘" "専属メイド" "白金家に並ぶ名家の令嬢"という設定も外連味が効いています。効きすぎている。エリア間の競争とは別の事件を起こさないはずがない。
持ち込まれた要素は全て使われるのが物語です。「誰も発砲することを考えもしないのであれば、弾を装填したライフルを舞台上に置いてはいけない。」財は力。肉体は力。力ある者こそ闘争と無縁ではいられない。ましてサイバーパンクとなれば。

"生意気な性格をしており、虎の威を借る猫。DJ以外ではそのおかげでよく痛い目にあっている。"と公式プロフィールにある以上、黒鉄たまの好戦性に疑いはありません。小柄な少女の殺意ムーブは『キック・アス』や『LOGAN/ローガン』という素晴らしい例があるのでイメージしやすいですね。俊敏に飛び回り躊躇なく急所を突く獰猛さを発揮して欲しい。一発の威力は乏しく受けに回っても厳しいので必殺の暗器を仕込むのも良いと思います。

白金煌さんはご覧の通りご立派な御御足をお持ちですから、たまとは逆にフィジカルの強さで真っ向から殴り合う人でしょう。『アトミック・ブロンド』でのシャーリーズ・セロンのような長く重い手足で打ち合いながらの制圧前進。ガタイがあるとダメージや流血描写が痛々しくなりすぎないのが良いですね。

殺意の黒鉄、フィジカルの白金に対して、灰島銀華の立ち回りはテクニカルなスピードが売りになります。パンツスタイルの腕利きは近年だと『ジョン・ウィック:チャプター2』でルビー・ローズが演じていてめちゃくちゃカッコいいんですが、敵役の大物という立場もあり殺陣は短め。相手が終盤のキアヌでは厳しい。速さと手数で魅せるタイプなので行き着くと『HYDRA』になると思う。見てないんですよ『HYDRA』。生きている間に一回は見たいな……。

タイトルの感覚は全人類に共有できたと思うのでもう良いんですが、せっかく書き始めたのでもう少し。

ここまでは肉体の話をしましたが、それらとは別に、黒鉄たま以外二人の衣装が全く学生服らしくない、というのも印象として大きいですね。黒鉄たまにしてもパーカーの下が制服っぽいという程度で、実際どうなのかはよく分からない。
そもそも現時点で発表されている3組9人のうち、統一された学生服を着ているのはアキバエリアの3人だけです。電音部が高校生の部活動であることからすれば不思議にも思えますが、ここはキャラクターデザインMika Pikazoさんの存在から読み解くことができます。説明のために例示したいのは同じくMika Pikazoさんがキャラクターデザインを担当された作品、そう『ガールズ ラジオ デイズ』です。

二つの作品はどちらも「地域ごとのチームによる対抗戦」であり、さらに「日常的に着る人物であっても学生服で描かれるとは限らない」というルールも共通しています。ガルラジのパーソナリティには中高生が7人(物語の開始時点で)存在しましたが、明確に学生服で描かれたのは4人だけでした。ではどのような人物であれば制服で描かれるのか。
まだ物語が動いていない電音部の場合はもちろん不明です。一方、ガルラジにおいて制服姿で描かれたのは、同級生でチームを組んだ3人と、地元を出たいと思いつつまだ親元を離れられない1人のみ。対して私服で描かれた3人は学生であることをそこまで言及されませんでした。(学年が変わる前の1stシーズンではそうだった、という但し書きが付きます)つまり制服は学生という属性が物語やメンバー間の関係性においても意味を持つ人物に用いられた。外見でのキャラ立ちや設定の提示だけではなく、個々の物語に直結する要素として学生服があったわけです。

電音部とガルラジは運営元から異なるプロジェクトであり、またおそらくどちらもキャラクターデザイン主導の企画ではないので、物語が同じように展開するという予想には無理があります。しかしこれまでに配信された生放送番組で開示された各チームのキーワードを見ると……

アザブエリア……「愛」 "秘めたる繋がり"を求める家族のような3人
アキバエリア……「成長」 物語上、最も成長する「主人公ユニット」(ここが制服の3人組)
ハラジュクエリア……「和」 "表と裏の素顔"を持つ、アンバランスでバランスの取れた3人

……とあり、全く的外れとも思われません。「主人公ユニット」だけが制服の3人組だったのはガルラジも同じだからです。

アザブエリアに視点を戻しましょう。テーマを踏まえて他エリアと外見を比較すれば、アザブエリアは「成長」を重視しないから2/3の肉体が相対的に成熟している、「和」という相互の力関係はすでに形成されているから制服でなくとも統一感がある、と取れます。ことさらに体格差があることも家族らしさの演出と言えそうです。全てに意味がある。無駄なライフルなどないのだ。

 参考:公開されている人物の身長
アザブエリア……白金煌(164cm)、黒鉄たま(145cm)、灰島銀華(168cm)
アキバエリア……東雲和音(158cm)、日高零奈(156cm)、茅野ふたば(154cm)
ハラジュクエリア……水上雛(148cm)、桜乃美々兎(155cm)、犬吠埼紫杏(150cm)

黒鉄たまと灰島銀華、23cm差。

だからこそアザブエリアは("家族のような自分たち"と"それ以外の他人"という自他の線引き意識が強いテーマがあるから)素手で人をボコボコにする(くらい攻撃的な設定と強靭に自立するビジュアルにデザインされたんだ)と思う。分かりましたか。ご理解いただけたようで嬉しいです。

もちろん今後チーム間での格闘戦はないでしょう。そういう作品じゃないので。代わって劇中で行われるのはAIホログラムスピーカー「FAITHS」を用いたDJバトルです。

AI Hologram Speaker FAITHS
FAITHSとは従来VJ、PA、照明が行っていた作業をAIが一括して行うシステム。DJのプレイする楽曲や会場の盛り上がりを判別し、適切な映像や特殊効果をもたらす。
バトル中、高度なテクニックやフロアのボルテージ上昇を感知し、エフェクトだけではなく、具象化したメカや幻獣等プレイしているDJ固有の効果をもたらす。
 公式ページKeywordより

急に玩具アニメみたいだ。何もわからない。本当にどうするんだろう……。

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