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ナイトバードに連理を Day 7 - B

【前 Day 7 - A - 6】

(898字)

「ともかくお前が無事でよかった」

 見慣れた会議室を囲んで卓につき、早矢は近衛と清心にそう切り出した。待ち合わせてから図書館に着くまで、三人の間に会話はほとんどなかった。

「自力で何かしたわけじゃないけどね。目が覚めたらあの甘ってお医者さんがいたから、怪我した人たちの手当てを手伝ってただけ。その人たちも結局……」
「けど、それで助かった人もいる。ココちゃんはすごいよ」

 近衛はゆっくりと、そうしなければ言葉の意味が変わってしまうと恐れるように丁寧に言った。近衛は目を閉じて頷いた。

「清心は強いね」

 近衛がそう言うと、清心は意外そうに眼を見開いた。

「そんなことないよ。たぶん、慣れちゃっただけ」
「悲しいこと言わない。話を聞くくらいなら私でもできるからね」
「……うん、ありがとう」

 肩を寄せ合う二人の会話に早矢は入りかねていたが、ただ眺めるその心に疎外感はなかった。これでいい。清心には自分以外にも味方が、心の深くに寄り添える味方が必要だと早矢は思った。近衛はその小癪な思考を読み取ったように早矢をぎろりと睨んだ。

「……で、どうするの? いろいろ歯車が狂っちゃったけど、今度こそアマフリに頼んで逃がしてもらう?」
「それしかないよね。見捨てられることはないと思うんだけど」

 水を向けられ、早矢は深く頷いてから自分のアイデアを話した。清心は全力で首を横に振った。

「駄目。絶対、駄目。アマフリの人が助け出してくれるって言うなら、それでいいはずでしょ。二人にこれ以上、危ない目に遭ってほしくないよ」
「分かってる。実際、やれる保証もない。けどこのままあいつを放っておけばまた犠牲が出る。そうなったらまた空鳥が苦しむことに――」
「そんなこと、どうだっていい!」

 清心はバンと机を叩いた。その初めて見る剣幕に、今にも泣きだしそうに揺れる瞳に早矢はたじろいだ。

「私は、たくさんの人の死を見てきた。もう慣れてしまった。けど、それでも……いいえ、だからこそ、二人には絶対に死んでほしくない。せっかく助けられたのに、こんなこと……」

 清心は言葉を詰まらせ、嗚咽した。その揺れる背中に近衛が手を当て、言葉を失った早矢に笑って見せた。

「なら勝ち目があればいい、でしょ?」 【Day 8 - Aに続く】

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