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【読書感想】いちデザイナーとして涙なしでは読めない名著

前田育男氏の著書「デザインが日本を変える〜日本人の美意識を取り戻す〜」を読んで感動したので久々に綴っていこうと思います。クラシカルデザイナー、特にプロダクトデザイナーにはオススメです!
ちなみにこの絵が初めて描いたおじさんの絵になりました。(どうでもいい〜)

マツダデザイン復活の記録

著者の前田氏はマツダデザイン部のすごく偉い人です。マツダデザインを再建した立役者。こんな人が上司だったらいいのに。
基本的には「今までのマツダデザイン史」「前田氏がデザイン本部長になってから行ったデザイン改革」のお話です。
どのようにマツダデザインを再建していったか、魂動デザインはどのようにして生まれたかなどが詳しく書いてあります。
また、随所に前田氏のマツダ、車、デザインに対しての熱い思いが込められています。その熱量に私は完全に絆され、たびたび涙腺がやられました。

言葉は“カタチの一部”

まずカタチがあった上で 、それを体現する一言があることでカタチは一層明確な像を結び 、相手に伝わりやすくなる 。つまり大事なのは 、カタチと言葉 ― ―まるで車の両輪のように 2つが並び揃ってこそ初めて相手を動かす力が生まれるのだと私は固く信じている 。
【前田育男/デザインが日本を変える〜日本人の美意識を取り戻す〜(光文社新書) 〈第2章〉言葉論[哲学を共有する]】

デザインという言葉がかなーり広い意味を持つようになり、なんかよくわからんものはとりあえずアートかデザインにカテゴライズされているように感じていますが、本書に出てくる“デザイン”が、私の思っている“デザイン”という言葉だし、私が日々モヤモヤと思っていたデザイン・デザイナー像を見事に言語化してくれていると感じました。

前田氏の言っている“コトバ”というのは、モノの説明をくどくど語る言葉ではなく、イメージと意味を結びつける、デザインの本質や核心、哲学を一言で表す言葉のことです。本質を閉じ込めるための言葉というカタチ。あくまでカタチ。言葉すらもカタチ。カタチの一部。まずカタチありき。

何よりもまず美しいものを作る

なぜなら私たちはデザイナーであり、目で見る情報が一番大事だからだ。一見した印象が全てであり、それで見るものを圧倒できなければこちらの負け。
【前田育男/デザインが日本を変える〜日本人の美意識を取り戻す〜(光文社新書) 〈第2章〉言葉論[哲学を共有する]】

 とにかく美を追い求め、デザインで人を感動させたいと思う。とことんデザインを突き詰め己のセンスを磨き、感性で勝負するーー
まさにこれが私がデザイナーになった理由であり、実現させたい目標でもあります。
プロダクトデザインの中でもとりわけカタチの美しさこだわっているカーデザイナーだからこそのデザイン、カタチに対する考え方はとても勉強になります。
私の場合はまず感動ありきでデザインは一つの手段だと思っていて、人を感動させられるのであればそれは絵でも映像でも音楽でも文章でも構いません。自分がたまたま興味があったもの、自分が感動を受けたものがプロダクトだったので、私はプロダクトデザインを選びました。

デザインへの熱い思い

有無を言わさず魅了するもの 、言葉を失くすほどの感動を呼び覚ますもの ― ―そういうものでありたいと思うのだ 。(中略)私にとって好き嫌いのレベルを超えた絶対的な存在こそが 〝いいデザイン 〟であり 、美の黄金律もきっとどこかにあるはずだと信じている 。シンプルに美しく 、ひたすらにカッコよく 、周囲が追いつけないくらいぶっちぎっていたい
【前田育男/デザインが日本を変える〜日本人の美意識を取り戻す〜(光文社新書) 〈第6章〉情熱、執念、愚直】

とにかく全編通して前田氏のこだわりと熱い思いが詰め込まれた一冊です。
サブタイトルにもある通り、日本の美意識やデザインに対する問題点、氏の考え方なども書かれています。
デザイナーの方もそうでない方もこの熱量に絆されてみてはいかがでしょうか?
私はこの本を読んで魂が動きました。


あなたは最近、魂の動く音を聞きましたか?

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